- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121505804
感想・レビュー・書評
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とても興味深い内容だった。
特に、韓国旅行と韓国の農業事情が面白かった。
「韓流」に代表するように韓国は国策として海外に
コンテンツを売ることを目指してきた。
これは国内の市場が小さいから
ごく当たり前のようにも思える。
国土が狭く、中山間地が多い韓国は、
日本と同じように農産物に高い関税をかけるなどして
農業を保護してきた。
そこで政府が取った農業対策は、
なんと農家の「廃業支援」というのが意表を突く。
廃業後の3年間は、
それまで得ていた収入を補填するという制度だ。
小規模な零細農家が「退場」することで、
残った農家の大規模化が進んだ。
日本がコメ農家を中心に様々な名目で補助金を交付して、
生産性の低い小規模な兼業農家を守ってきたことと対照的。
流通構造の改革も注目すべき点だ。
韓国のコメ流通の中心は、韓国国内にある
米穀総合処理場(RPC=Rice Process Complex)で
一貫して行う。
コメの集荷、乾燥、貯蔵、精米、販売までを一貫して行い、
RPCの運営は農協か民間法人が担う。
コメを集荷、貯蔵する農協、転売する全農、
そして精米し販売する米卸売業者と
3段階の流通プロセスをたどるのに比べると、とてもシンプル。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やや農協悪玉論の一方的な立場に立ち過ぎているきらいがあるが、新聞社らしくデータに立脚した現実的な分析と取材に基づく生々しいストーリーは読みごたえがあった。
欲を言えば農協サイドの視点からの反論も加えて、バランスよく構成して欲しかった。例えば生乳の流通改革ではホクレンが一方的に旧態依然のダメ組織のように描かれているが、その存在理由には長い歴史の中で築かれた彼らなりの合理性もあるように思われる。こういう議論では0か100の極端な善悪二分論に陥りがちだが、現実はそれほど単純ではないはずだ。 -
さすが新聞記者が書いただけあり、小泉vs全農の辺りは迫真に迫る勢いであっという間に読んでしまう。
農業というものの可能性を感じることができる1冊。三橋貴明さんの本とは違い、どちらかというと反JA的な内容。
それにしても農業というものは知れば知るほど面白く思う。なにがって、可能性が。大きいよね。障壁もデカイけど。
今後調べたいものメモ
日本農業法人協会 全国農協青年組織協議会 全国農業青年クラブ連絡協議会
グローバルGAP→国際安全基準
JA北つくば JA越前たけふ JA帯広かわにし JA浜中町
ミルクマーケットジャパン
コッパートクレス→オランダの会社
みらくるグリーン→大阪の植物工場
農業総合研究所→サミットの農家直売所に関わる -
長期的な衰退傾向、米国のTPP離脱……日本の農業はどうなる? いったい10年後に誰が田んぼや畑に出るのか? 一方で、意欲ある農家が経営を意識した取り組みを始めている。「岩盤規制」に風穴をあける動きもある。JAグループも改革に向けて動き始めた。現場から農業の今を伝え、将来を展望する。小泉進次郎氏、JA全中会長の談話を収載。