- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122005501
感想・レビュー・書評
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明治元年に熊本に生まれ、軍人としてロシアにわたり、大正、昭和と激動の時代を生き抜いた著者の手記をまとめた本です。
第一巻となる本書では、武士の家に生まれた著者が、少年時代に神風連の乱や西南戦争を目にしたことや、陸軍幼年学校での体験、さらに日清戦争を経て、日本を脅かすことになるであろうロシアを研究することに精力を傾ける若き日の著者の姿がえがかれています。
著者ののこした手記を、子息の石光真人が編んだ本シリーズは、開国と維新という出来事を経て、日本が大きく変化を遂げつつある時代を、当時の人びとはいったいどのように見ていたのかということを知ることのできる貴重なドキュメントといってよいでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の石光真清は慶応4年(明治元年)熊本生まれ、昭和17年没。日清日露の戦争をくぐりぬけ、ロシアや満州で諜報活動に従事した。現代風に言うとやっぱり職業「スパイ」なのかしら。
四部作の自伝のうち、私が読んだのは1冊目のこれだけ。熊本生まれの著者は、神風連の乱や西南戦争を少年期に実見しており、私の興味はもっぱらそこのみ。
随分昔に読んだので再読したい。 -
生誕からロシア留学まで。
最初パラパラめくった時、意外と分量が多く難しいと思ったが非常に読みやすくいつのまにか読了。 -
西南戦争、日清戦争。そしてロシアの足音。帝国主義時代のど真ん中に青春を投じた真清に日本や世界の将来はどのように映ったのか?そしてどんな思いでこの手記を書いたのか?当時の真清と直接会話してみたい。
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満洲馬賊は昔もてはやされたことがあった。しかし、それがどのようにして生れ、どんな活動をしていたかについては想像の域を出ず、夢のような絵空事を並べていた年寄りも多かったように覚えている。この書を読んではじめてその実情の一端を知り得たように思う。
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明治・大正・昭和を生きた元士族の手記。子供時代に神風連の乱、西南戦争を体験し、20代を軍人として終え、30にしてロシア留学に旅立つまで。作者の長子の編集力がいいのか、とにかく読みやすくて面白い。
徳川の時代が終わったばかりの日本人の行動・思考は今とかなり異なるように見える。おおらかだし、感情表現が豊か。西南戦争時の薩軍と熊本の子供の交流などは、ファンタジーを読んでいるかのよう。
作者は自分の弱点をごまかさず、弱かったりずるかったりするところも正直に書いていく。続きの3巻を読むのが楽しみ。 -
こういう本が残っていたということを何よりも喜びたい。
まるで小説を読むかのような手記。
それも、ドラマを見ているかのような。
読書の真の愉しみを味わわせてくれる。 -
明治維新の年に熊本藩士の家庭に生まれ、陸軍・諜報活動に生涯をささげた石光真清の手記。本書『城下の人』はその第一冊目にあたり、神風連の乱、西南戦争から日清戦争後の台湾掃討に至るまでの日本近代史が、魅力の語り手を得て生き生きとよみがえる。一級の史料であり、読み物としても十分におもしろい。
事実と年号の羅列に終始しがちな国際関係史・日本外交史の勉強に立体的な視覚を与えてくれる貴重な本としてもお勧めしたい。 -
明治から大正にかけてシベリアや満州で諜報活動に従事した、石光真清の手記。明治元年から日清戦争が終わるまでを舞台にした、壮大なプロローグ。<br>
<br>生活史としても大変素晴らしく、西南戦争の舞台になった熊本での生活、当時の東京での暮らしやそこかしこに登場する後世まで名を残す人物達との邂逅、日清戦争後の所謂台湾平定における戦闘の描写など見所は沢山ある。<br>
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石光真清は秋山真之と同じ年の生まれだけど、石光は陸軍を選んで秋山は海軍を選んだ。2人の生活はどちらかというと石光の方が不真面目に見えるけれど、石光の場合は手記なので真実見がある。坂の上の雲で描かれる秋山の人物像とは一概に比べられない。けれどそこを踏まえて環境や考え方や生活を対比させてみるのもまた非常に面白い。 -
明治元年生まれの陸軍軍人(後にロシア諜報)の幼年期から青年期の手記。
熊本での西南戦争の様子、台湾占領などいきいきと描写。
たんたんと「武士道」とか「志」があった時代を感じさせる。
大きくふりかぶって、おいおい、だいじょうぶか?と思わせた「国家の品格」よりもずっと「品格」ある。
戦後教育を受けた我々は「明治政府の富国強兵」なんて言葉は「負」を連想、「わるうござんした、帝国主義なんておっかけて〜」なんて気分になるが、これを読むと過去を現在の価値観で断罪してはいけない、とつくづく。
熊本の地理に暗いのが残念。後の手記も取り寄せて読もうと思っている。 -
明治維新から日清戦争当時の歴史がよく判る。
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これが実在の人物であることに驚きを隠せない