富士日記〈上〉 (中公文庫)

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著者 : 武田百合子
  • 中央公論社 (1997年4月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028418

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富士日記〈上〉 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • きっと一生のうちに、何度でも読み返す本。
    これを読むと、自分の大切な人を、もっと大切にしたくなる。
    愛想も何もないただの日記、日常のメモなのに、どうしてこんなに惹かれるのか。
    誰かに見せるつもりで書いたわけではないからこその魅力だろうか。
    ただ生活しているという、その一点が胸に迫る。
    あまり数のない武田百合子の作品の中でも、原点となるこちらの作品が、やはり一番だと思うのは私だけだろうか。
    彼女独特の自由な感性が、存分に発揮されている。
    磨かれていない石の美しさ。

    上巻は夫・泰淳、娘・花による記述も度々ある。同じ日をそれぞれの視点で書いているところが面白い。

  • 夫である武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間―その日々を書き連ねた日記。
    大切のひとのそばで一日一日を丁寧に、衣食住を全うする。特別なことがなかった日も、言葉におこすと小さな出来事が特別に感じる。味わいのある感性豊かな文体からそのやわらかな人柄に触れ、読んでいる先から武田百合子さんという女性が好きになります。
    心地良い空間にご一緒させてもらった気分。

  • CREAの読書特集で映画監督の大森立嗣さんが、ブログやツイッターでは書けない、読めない、生きることのすべてが詰まった日記だと絶賛されていたので、読んでみたくて。

    昭和な生活感にどっぷ~り浸れました。

  • 他の人が書いた、これほど長い日記を一気に読み終えると、その生活が自分の中に流れ込んできてるような不思議な感覚を今感じている。それは現実的で飾りのない文章のおかげなのだと思う。自分の親も眠る「富士霊園」が出てきたりと近辺の今昔も楽しめた。

  • 上中下巻の上の途中。どこから読んでも気分が良い。内田百閒の随筆読後と同じ感じがする。無人島に持って行く本1冊だけ選べと言われたら、内田百閒の随筆と富士日記で迷うだろうな。

  • 上巻は昭和三十九年七月から昭和四十一年九月まで。

    初めのうちは「本当に普通に日記なんだな...」って感じだけど、
    読んでいくうちに不思議とどんどん惹きつけられていく。
    四季の移ろいや三食のごはん、生活に必要なお金。
    そんな生活と背中合わせにひっそりと、しかし確実に「死」がある雰囲気。

    山梨という土地に憧れているので、なおさら興味深かった。
    時折、夫である泰淳氏に子どものように叱られてしまう
    おてんばな百合子さんにすっかり夢中。

  • 人の日記を読むのは楽しい。今は一億総ブログ時代で、全く知らない人の日記を読むことはそうめずらしくないけれど。
    武田百合子の日記は、人の目を意識していない、メモ書きのような日記。それでも、彼女の目を通して、彼女の身の回りの情景が鮮やかに描写され、いつの間にか追体験している。私は、同じ日を過ごしても、こんなに淡々と日記を書けない。

    どっしりとした女性。
    時々、説明のつかない勘のよさを絶妙に表現され、否応もなく心を掴まれる。中巻、下巻もゆるゆると、日々過ごすように読むことにしよう。

  • 武田百合子さんってなんて魅力的なのだろう!
    百合子さんにかかると、日記がただの日記でなくなってしまう。
    日常が面白く、風景描写は卓越した巧さ。
    百合子さんのかなり気の強いところと動物や人に対する温かい
    優しさにホロっとくる。

  •  小川さんに続いて堀江さんも薦めている、とあっては読まずにいられない符合の一致。日記やブログを読むのは好きではなかったが、なるほどこれが日記文学なるものらしい、面白くて上巻を一気読みし、いまの寒さを山荘で年越ししている気分に読み替えてしまう。
     車の運転もして列車便を出しに行くのも彼女なら、家の不備を指摘し管理会社を怒鳴りつけ、はた迷惑な人を罵倒する強さももっているのに、夫に対しては直接言い返すのでもなく悔しさを日記に書くことでやり込める。その自分の感情に対する観察眼が素敵。ましてや他人(車が溝にはまってしまったカップルやたまたま見かけた水泳客のような一過性の人々から、スタンドのおじさん、外川さんといった常連まで)の言動からその個々人を描写する力は圧巻。目の前でこんなにもたくさんの人間劇を見られる観察眼をもっていたら、楽しいだろうなと思う。

  • 角田光代さんの解説が代弁してくれています

    ブログでもSNSでもない、本来ひとに読ませるものとして書かれていない、日記の凄み。
    有名な旦那の影に隠れて、彼が死んで初めてお目見えした知られざる文才。

  • NHKのグレーテルのかまどで高山なおみさんが紹介してたのを見て読みたくなって購入。
    まだ読んでる途中だけど、その文体・言葉に衝撃を受けている。50年弱前に書かれたものと思えない新鮮さ。

  • ビールが合いますよ!

  • 夫の武田泰淳と娘の花と愛犬ポコと富士山麓の別荘で過ごした昭和39年7月から昭和41年9月迄の日記。日々の献立や何をして過ごしたか等、今の言葉で言うなれば「スローライフ」な生活。夫や物事に怒ったり、他所の子供に注意すると反抗されるので口汚く罵ったりと天衣無縫な性格が伺える。時々言い回しの文章にハッとしたり。例えば「墨を飲んだような気持ち」とか。当時の物価や献立の質素さに吃驚したり。地元の人々との交流も何だかほっこりする。カバー見返しの著者の写真が格好良くて憧れます。

    20120607
    再読。元気な武田泰淳、ポコ、何よりも武田百合子に逢いたくて。わたしは武田百合子の文章をとろとろと読むのが好きだ。

  • 上中下。
    落ち着いて生活することが心底うらやましい。
    食べたいものを作って食べ、愛で、人の横に居て、年をとっていくこと。武田泰淳の死ぬ下巻で泣く。
    犬が星見た~も面白い。

  • 百合子さんの本はすべて、一生読み続けるだろうと思う。だから、常に「いま読んでる」んだ。

  • 最後のほうの、百合子の百合子っぷりがすごくて、
    電車のなかで読んでいたのに、声をだして笑った。

  • 直感的にして、現実的。なのに時々“放心”しがち。細部にこだわる記述が見られると思いきや、いきなり大胆にまとめてみたり。その気まぐれさが面白い。文章の魅力は著者自身の魅力なのだなあ。

  • 武田百合子さんは、感性をそのまま言葉に移し替えられる人だとおもいます 
    単に素直なだけではなく、とても気配りのできる頭がいい人だったのでは。
    「夏が終ると一年が終わったような気がする」なんて 
    よくもまあ簡潔に複雑さを表せるもんだなあ 

  • 正真正銘の日記。読んでいると私は作者と同化する。爽やかな穏やかな気持ちになれる。この時間が愛しい。

  • 態度の悪い店員を『あの女はバカ。』
    富士日記なのに『今日は富士山なんぞ見もしなかった。』
    また、ある日は『柏戸、玉の島に負ける。負けたって平気だ。私は相撲が嫌いだから。』

    ずっとこんな調子。
    斬新。自由。

  • 等身大で、目線がまっすぐ。

  • 富士っていいところなんだろうな〜。って思わせてくれる。人間の生活の営みが感じられる作品。

  • どうして、2昔前の知らないお母さんの日記に、こんなに心惹かれるんだろう。
    やっぱり「ここではないどこか」への憧れかな。
    ご主人が亡くなった後、途切れ途切れになっていく終わり方が切ない。

    母が亡くなった後、家計簿に付けている日記を読むことを想像したら、泣きそうになった。

  • つい癖で早読みしてしまいそうになるけれど、意識してゆっくり読んだ。行間を読む(?)ことで、時にゆったり、時にあわただしく過ぎる生活の像が浮かび上がるようだ。腹立ったりなんだかんだしながらも支えあっている夫婦の姿も素敵だな。と思いながら読んだ。「くらす」って素敵。

  • 2016/03/11 何度目かの再読

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富士日記〈上〉 (中公文庫)の作品紹介

夫武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間の一瞬一瞬の生を、澄明な眼と無垢の心で克明にとらえ天衣無縫の文体でうつし出す、思索的文学者と天性の芸術者とのめずらしい組み合せのユニークな日記。昭和52年度田村俊子賞受賞作。

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