- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122041653
感想・レビュー・書評
-
一つ一つは短編。どの話も救いのない結末を迎えてしまう。こんな時代でも相手を思いやりけれどもそれは叶わない。必死に頑張ったのに報われる事のないまま終わってしまう。けれど戦争をするという事はそういう事なんだな、と。火垂るの墓の作者。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
語り口調はとても柔らかでおとぎ話のようですが内容は胸の詰まるものばかりです。
どれもよかったのですが、オウムの話が特に印象的でした。
身構えなくてもすんなり読めるので多くの人に手にとってもらいたい作品です。
著者のあとがきも作品に込められた思いが伝わってきてよかったです。 -
最初の二篇がとてもすき 絶対にこの雄クジラはしあわせだった 切ない目に遭うに決まっているこのタイトルで、作者はこの雄クジラを幸せにして下さる。死は救いだ、生まれ変わった雄クジラが幸せな一生を送れますよう。
-
『凧になったお母さん』は中学生の時に学校で映像を観て、とにかく圧倒され恐怖したのを覚えている。
国民の憎しみをあおるために動物園の動物を処分した話など、童話の中にしっかりと生々しい現実が描かれている。
どの短編の終わりにも、ほとんどといって救いは無いが、戦争の悲惨さや醜さを次の世代に伝える、万人に読んで貰いたい童話集だ。 -
1番目のクジラの話に惹かれて購入。
戦争と人間と動物という印象。
三浦哲郎の『木馬の騎手』と雰囲気は似ていると思う。 -
戦争の記憶が、社会から薄められてきた今、読む。
映画、蛍の墓を見た後のような、ズッシリと心に重い塊が沈んでいるのを感じる。
一体的に語られない、一人一人の様々な8月15日があったんだと。
漫画のペリリューも読んでいるからか、あの一日が境になった人もいれば、知る術もなくそれまでの時が繋がったままの人も多くいる。
生きながらえた方々にとっても、亡くなられた方々も、一人ひとり、別。
この感情を表す言葉が見つからない。
当時から今の間に無くなった言葉なのか。 -
つら…。辛いだろうと覚悟して読んだけど、ほんとに辛い…。重い。
どの話も救いがなくて、でもきっとこう言う事は沢山あったんだろうなって想像出来てしまう。
童話というテイで書かれているのでそれぞれのお話が淡々と、そして登場人物に距離を置いて描かれている分、残酷さが増す。
全部のお話が昭和二十年八月十五日なのも残酷。
ただ、淡々としている分、逆に号泣とかはしなかったかな。(浅田次郎の湿っぽさとは真逆の質感)
実は火垂るの墓観たこと無いんですけど、見た方がいいですね…。原作も読みたい。
あと所々戦時中の政府(軍部)の言動とコロナ禍の今の政府の言動がリンクしてて怖い…。(個人の感想です) -
「火垂るの墓」「おもちゃのチャチャチャ(作詞)」「黒の舟歌」などの野坂昭如さん(1930.10.10~2015.12.9)「戦争童話集」、1975.7刊行、1980.8文庫。8月15日から始まる12の鎮魂の童話集。前半6話はオウム、象、狼、あぶら虫などの生き物と人間を描いた悲しい、読むのが辛い、泣けてくる話。「雌狼と女の子」「赤とんぼとあぶら虫」が印象に強く残りました。後半6話は、童話というよりリアルな感じの戦争話でした。
-
「昭和二十年、八月十五日」で書き起こされる12編の戦争のはなし。平易な文章を心掛けたとは著者のあとがきだが、大人のための戦争を忘れないメッセージが込められた小説だ。悲しい結末が多いのに、不思議に涙することなく読了。そういう意味で「童話」という表現は合っていて、カラリと乾いた悲劇に浸ることができた。他の著作も読んでみたい。
-
2010/01/19