西の善き魔女 (7) (中公文庫 お 65-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045965

感想・レビュー・書評

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  • 西の善き魔女、外伝1。
    ルーンに対して過保護なフィリエルが出来上がるまでのお話。
    ここまで読んできて、突然、上橋菜穂子さんの精霊シリーズや梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を思い出した。
    それらと比べると、このシリーズはなんとなく深みが足りない感じだ。それがイマイチのめり込めなかった一因かも、と思い至る。

    8歳のフィリエルと、15歳になった本編のフィリエルとの独りよがり度がそれほど差がないように見受けられるのはいかがなものか。
    ルーンがフィリエルに対して密かに決意したことに、ちょっとギクっとした。
    あれれ、フィリエルのこと好きになれないなぁって思ってたのは、近親憎悪ってヤツ?

  • 落ち着け・・・『フィボナッチ数列』を数えて落ち着くんだ・・・。『フィボナッチ』は黄金の『数列』。私に勇気を与えてくれる。

  • フィリエルとルーンの子供時代だけど、舞台がセラフィールドだけってこともあってまとまりがあって、その分内面の深堀ができていてよかったな。
    萩原さんは子供の内面を描くのが上手い。

  • 西の善き魔女 7

    セラフィールドでの、幼き日のフィリエルとルーンの出会いの物語。
    ホーリー夫妻が懐かしい。

    数字しかしゃべらないルーン。
    けれどもルーンは博士から特別扱いされているように感じ、
    ルーンに複雑な気持ちを抱くフィリエル。
    しだいに、ルーンさえいなければ、と思うようになる。

    フィリエルがいるからここに居たいのだと素直に言う
    ルーンがかわいい。

  • フィリエルとルーンの、特にルーンの幼い頃がわかる一品。
    長編とセットでなく、単品で読むと絵本のような香りがする。
    物語の進行には関係ない停滞した話だったので、あまり好きではないが。

    この本で一番すきなのは、
    「こういうの、へたくそだよ」
    「黙って近づけば、ずいぶん簡単だったのに。人を殺すときには、刃物を見せたらだめなのに。それから、握り方がまちがっている。刃を水平にもたなければ。そうすれば、肋骨に当たらずに内臓までとどくから」
    「人が殺せると思うなんて、ばかだ。こんなだったら、かえり討ちされてしまうよ。人を殺すところ、一度も見たことがないくせに。どういうものかわかってもいないくせに」
    などの、フィリエルがルーンを殺そうとするシーンの一連の彼の台詞です、牧歌的な世界を舞台に、また牧歌的に見えるように覆いのつけられたセラフィールドを舞台に突然現れた子どもの、おそらくは実体験に基づいているのだろう台詞からは凄惨な過去が垣間見えます。フィリエル視点で進行するためにこのシーンでさえも、ゆるやかな物語調を逸脱することはありませんがすこしどきっとさせられます。
    幸福の中に潜む陰惨な過去、いいですねぇ。そういう語りは好みです。解りやすくって。

    これに対してフィリエルはルーンを殺そうと思っていても、自分の嫌なものを排除したいというだけの、子どもの癇癪の域を出ない。単なるわがままでしかないのである。その対比が少し、面白い。

    また、おそらく凄絶な過去を経てきているのだろうルーンもしかし情操の育ちが遅いのでしょう。
    「最初と最後が矛盾しているから変だ。証明にならない」の台詞に苦笑がこぼれます。人間の感情の変化と言うものを度外視している彼に。
    そして台詞の人称が「僕」から「ルーン」に移り変わるのがみものです。それだけでルーンの感情の変化がわかるのですから。

  • グラール王国の、ひいては世界の存亡を賭けた女王継承争いは一旦置いておいて、物語はフィリエルが八歳の過去へと遡る。
    まだ自分が何者であるかも知らず、父親の愛情をどうやって引けばいいのかもわからず、それでも天真爛漫に生きている無鉄砲な少女が、ルーンと出会い、心を通わせるまでの物語だ。
    気丈なフィリエルがどれだけ父親を愛していたか、ルーンが深い傷をどれだけフィリエルに癒されたか、ふたりの結びつきがどれだけ強いのかがしみじみと伝わってくる。

  • 外伝集みたいなもの。
    幼少の頃のフィリエルの気性があんなに激しいってのは
    ちょっと予想外でびっくりしちゃった。
    (09.01.17)

  • 子供ってのはなかなか強烈な思考をしているものですが
    無邪気に残酷なところが怖いですね
    幼いルーンがかわいいです

  • 幼少編。そこまでとは知らなかったよフィリエル編。

  • …とても変則的な読み方に見えるでしょうが、ノベルズだとこの順番なんです〜。フィリエルとルーンの子供時代の話。牧歌的な雰囲気の漂う、児童文学といった感じ。

著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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