- Amazon.co.jp ・本 (850ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049697
感想・レビュー・書評
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「あかんかった。」
このフレーズほど小説の中で強烈に残っているものはない。
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小説の長さ、主人公の思考の果てしなさが楽しめる。町田康の才能がただただおそろしいとすら思った。最後、切ないなぁ。
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あかんかった。という最後の一言に尽きる。
町田康の文章力の甚だしさはおそろしい。
余談ですが、読後河内弁が話したくなります。 -
独特の文章に引き込まれる。
そして、必死に生きる人間が悲しい。 -
主人公は悩む。考える。
でも、そのことが全くコミュニケーションとして表に出せない。
大量殺人犯の半生記であり、表面的には異常な人間の話だが、そんな姿には妙に共感してしまう。 -
熊太郎は、なぜ河内十人切りをするに至ったか!ということを、独特のテンポ、河内弁で語る。脳内のもやもやを独白するという、ある意味退屈になりがちなスタイルが、語り口の面白さで、どんどん読める。ある意味哲学と言っていい本である。そして、弟分となった弥五郎がせつなかった。
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町田康、つまり町田町蔵である。
俺の中では評価の低い男だった。実は彼がパンクバンドをやってた時の楽曲は「メシ喰うな」しか聞いたことがなく、聞いたとたん、こりゃ駄目だ・・・と思った。
スターリンがフェイクカバーした「ワルシャワの幻想」の方が百倍格好良かった。(そう言えば、大槻ケンヂも「メシ喰うな」をカバーしてるね)
・・・が、文筆家としては、彼は天才だったのだなぁ。
実は、彼が「パンク侍、斬られて候」を出した時(すまん。中は読んでません)、「音楽で成功しなかったヤツが文章に逃げて、ふざけたタイトルの本を出した」と蔑んだ視線を送っただけだったんすけど、すんませんでした。あなた様は天才でした。
文章がすごい。
音楽で言うところの「タメ」が無茶苦茶すごい。グッとためてサーっと一気に読み進めさせる。読んでるうちに、身体がウェーブを起こしかねないほどの絶妙なリズム感とパワーだ。
そして、型にはまらない文章構成。関西弁の軽い文体にだまされフンフンと軽やかに読み進んでしまうのだが、実際のところ、なんとも凝った構成になっているのである。一行書くにも、相当脳みそを使わないとこうはいかんやろ。客観描写と主人公の独話・独白がボーダレスに絡み合い見事に組み上げられていく。
この衝撃は、井上ひさしの「吉里吉里人」を読んだ時以来である。
権威主義になっちゃうが、さすが芥川賞作家。この「告白」も谷崎潤一郎賞受賞作である。
物語は、明治時代、実際にあった「河内十人斬り事件」の主犯・城戸熊太郎の一代記。幼少の頃から、事件を起こし自害するまでの一生が独特の文体で描かれてます。
時には「阿呆やなぁ」とあきれ、時には「そうそう。その感覚、俺にもあんねん。」と熊太郎に同化しながら一気に読み切ってしまいました。
これは本当にお薦めです。どうぞ。
#関西弁はほんまにおもろいね。
2005.7.12 -
町田康は面白おかしい話しか書けないと思っている人は、これを読んでほしい。
もどかしく、くるしく、せつない。 -
久しぶりに出会った、傑作、豪作。
この800ページに、読み手である自分そのものを記述し切られたかのような、
そして、熊太郎に投影される自分は、人を殺すこととは薄皮一枚だけこちら側にいるのだ、などと考えてみる・・・。
小説かくあるべし。
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この本の素晴らしさを言葉で言い表すことなどできません。
なぜなら私の思考と言葉は一致しないから。主人公熊太郎と同じく。
どじょうのシーンが一番印象的でした。あの絶望感。だけどあれっての人の一生を表象しているような。
いったい狂人とはなんでしょうか。熊やんはまったくの凡人で、素直なおバカさんで、人情に溢れ、人の優しさを求め、愛を求め、少々思弁的であるがために思っていることを上手く表現できない、要領よく人と上手くつきあえない、すごーく不器用な、だけどもっとも人間らしい人間です。
人はなぜ人を殺すのか。生きること、死ぬこと、食べること、酒を飲むこと、愛すること、信じること、裏切ること、人生の全てが詰まった町田康渾身の告白。いや素晴らしいな、これ。