十二人の手紙 改版 (中公文庫 い 35-20)

著者 :
  • 中央公論新社
3.78
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本棚登録 : 2911
感想 : 297
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051034

感想・レビュー・書評

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  • ★4.0

    全て書簡形式の連続短編集。
    一作に於いては書類のみによる構成。
    そして最後にまとまる巧みな物語。

    人は文字というものを武器として使いがちな一方で、ボロを出しやすいというのは、手紙であろうと、今般一般化したSNSでも同じなのかもしれない。

  • ハズレなしの短編集。いや?短編ではないのかもしれないけど。
    色んな女性が出てきたけど、井上ひさし氏が女性をどう捉えていたのか他の作品も読んでみたくなった。

  • 井上ひさしさんは天才。1970年代に書かれたこの作品を2020年のわたしが読んで感激しているのだから、本というものは素晴らしいと改めて思いました。

  • 全てが『手紙形式』で綴られている短編集。

    『手紙形式』はただの手紙だけではなく出生届や脚本などの文書も含まれている。手紙のやり取りや文書から誰に何が起こったのかが分かりやすく表現されている。プロローグがこの小説の紹介であり、次の物語ではどうなるのか、どんなギミックがあるのか、というわくわく感を掻き立てる。エピローグの展開には脱帽。鳥肌が経った。短編集なのでどんどん読み進めてしまった。一文字も見逃さずに読むことを推奨する。

    月並みな言葉ではあるが、最後まで読むと必ずもう一度読みたくなる本である。

  • 2020.08.09
    一気読み
    そして戻ってもう一度

    必ず読み返したくなる
    ストーリーを追うだけじゃなくて、言葉を緻密に追っていけば、また違った楽しみ方もできるのは言うまでもないんだろうな…とにかく技が光る、光る、光る。プロローグがプロローグであった意味も読んだらわかる。すごい快感。

    手紙という書式の豊かさ…人間味と形式の味気なさの両方を内包できる懐の広さというか、形式だからこそ伝わるものやふくらむイメージがあるというか。描かれないものへのフォーカスになる仕掛けというか…

    それっぽく書いているけれど、きっともっと明確に言語化した解説や考察があるんだろうなと思う。研究論文読んでみたい。井上ひさし論に触れてみたい。


  • 1980初版 しかし色褪せない文章の妙

  • 書簡形式。
    手紙と手紙の間に何があったのかとか、手紙の内容は真実なのかとか、想像しながら読めるのが面白かった。
    画家の男とその妻の手紙から成る「鍵」が一番好き。

  • おもに往復書簡の形式で展開される12話の短編集。
    ひとつひとつの話に、意外な結末。手紙から伝わる登場人物の変化、状況の変化にドラマがあり、切なくなったり、ニヤニヤしたりしながら、さくさくと読み進められた。

    けど、手紙にしては説明っぽいのが気になってしまった。

  • 手紙(診断書や届出なども含んだ伝達文)のかたちでつづられた物語。

    プロローグを皮切りに脈絡なく雑多な短篇物語が収められている。
    それぞれの話の関連は「手紙」というテーマだけかと認識しながら読み進めた。

    ところが、エピローグに辿りつくとそこでプロローグとの連なりが生まれ、一連の物語の姿が、あらわになる。
    きれいにまとまる。
    始めがあるから終わりが来る。

    と、と書くとこの仕掛けにずいぶん感動したように思われそうだが、そこらへんは正直、個人的には「おー」くらいのインパクトだった。
    でもひとつひとつの短篇が私には面白く読めた。
    文庫の半ばくらいまで進んだところで、欲望に飽かせてペースをあげて読んだらすぐ読み終わっちゃう、もったいない、などと感じた。
    本を手にとって栞の箇所をあけることさえもったいなくてためらった。
    作品は、古いといえばそうだし、時代を感じるといえば確かに否定できない。でも面白かった。

    手許のメモに一言だけ走り書きが残っていた。
    「鍵」についての読了時感想。
    「いい話だった。
    びっくりした。
    いい話だった」
    とだけ。
    どんどん先に進みたい気持ちと、終わらせたくない葛藤に挟まれながら、読書中の私はこの一言だけどうしても忘れずに残したかったのだと思う。



    さて、この本はオンライン書店さんのガチャ企画で購入。
    以下、ガチャの種類などを明かして書く。
    オンライン書店さんが今後、テーマや品ぞろえなどまったく同じ企画をするかは不明だが徹底ネタバレ回避されたいかたは以後読まれないほうがいいかと思います。










    honto
    「手紙」テーマの文庫本+万年筆ガチャ。
    カテゴリ「楽しめる」
    文庫本「十二人の手紙」井上ひさし
    スケルトン万年筆
    万年筆キャップ(ディープグリーン)
    インクカートリッジ6本(ピーコックグリーン)
    一筆箋「森のはちみつ屋さん」(横書き/2デザイン×15枚)

  • これは昭和だ!
    帯は笑いと哀しみが、って書いてあるけど、この哀愁はやはり昭和である。孤児院みたいなのやら、田舎から出てきた娘のつらい境遇やら、今はない、とまでは言わないけど、描かれ方がレトロで、とはいえ明治とまでは言わないので昭和なんである。なんでろくでもない男に簡単に引っかかるのか。。こういうの読んで勘違いする男が現れるわけですよ。知らんけど。
    とりあえず桃のエピソード、この修道院長の例え話が全く分からんのだけど。一体この話から何を受け取れと。でも金持ちのおばちゃんも理解できなかったんだろうなぁ、という意味で妙に味わい深い。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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