スカル・ブレーカ - The Skull Breaker (中公文庫 も 25-11)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 418
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122060944

感想・レビュー・書評

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  • 最高です。
    解説にあったように、吉川英治の「宮本武蔵」、藤沢周平「蝉しぐれ」に匹敵する面白さ。
    このシリーズは自分のバイブルのひとつになる可能性あり。
    話はまたもや哲学的な問答とゼンの剣を通しての成長譚。
    ゼンの出自が明らかになる。
    3冊めにして、ゼンが感情を持つようになる。後半、笑うゼンに成長の兆しを発見!

  • ヴォイド・シェイパシリーズ第三弾。今回も色々な人と出会い別れを繰り返すゼン。相変わらずゼンの求める強さとかそういうものの答えは出ないものの少しずつ何かは成長していく。今作ではゼンの正体というか過去の謎が明かされるがまだはっきりとした事はわからない。それでもゼンは旅を止めずにまた誰かと出会い別れを繰り返して成長していくのだろう。ゼンがどんな終着点を見つけるのか、今から楽しみである。

  • ヤナギとの手合わせ、宿屋での襲撃、母との対面。思わず息を殺してしまうシーンが続く。

  • 緊張感のある映像が浮かんでくる感じ。かっこいいシーン多かった。わりと予想通りの展開。

  • 相変わらず世間に興味津々のゼン。
    しかし、学ぶことは自分の内にあると諭される。
    そのどちらもが強さには必須。
    剣によって己を磨き、自己の純度を高め
    しかしその一振りで人の命を奪う。
    活人剣と殺人剣はそのどちらもが本質。
    相対するどちらもが真実。
    「空の青さと葉の赤さは、対決するような鮮やかさだった」

    否定ではなく、すべてを内包する器の大きさをゼンは徐々に獲得しつつある。
    そしてうどんにハマったり、風呂の湯の熱さにぶつぶつ言ったりする。

  • 立ち寄った村で、人違いで城へ連行されたゼン。当初は横暴な扱いを受けたが、何故か城主と面会することに。城の実権を握るという殿様の姉でたるククに呼び出されたゼンは、自分の過去の片鱗を知る。

  • 剣豪シリーズ3作目
    今回のテーマは何かね?
    「正義」とは?とか「力」とは?かな?

    剣を振るう事だけが正義ではないと
    太平の世になって力を持っているのは武力ではなくお金
    となるとお金を稼げるor持っている人が何でもできてしまう
    もしくはルールを作る人、守るべき人がお金を稼ぎやすくなると


    またゼンさんより強い人が出てきたね
    やはり本当に強い人は自分が強いことを隠すのがうまい
    それでいて戦いを避けて、避けようもないときには力を発揮するという、シリーズの最初から一貫して本当の強さの基準は変わってない

    あと、ゼンさんの出自が明らかに
    ショウグンの兄弟?

    ってか、侍の立場や社会の仕組みとかから察するに、江戸時代とも言えなくなってきたな
    その辺をモチーフにした異なる世界観ということですかね

  • 前作は決闘場面が多く、息つく暇がないくらい展開が早かったが、本作はゆったりした印象。

    城下で二人の侍と知り合い、その後、何故か城へ連行されてしまうゼン。
    ゼンを「神様が雲の上から降りていらっしゃたような」という城の侍女(?)の言葉やシリーズ中で着かず離れずのノギとの嚙み合わない会話にホッとさせられる。

    そして、稽古として一人剣を抜く場面。
    (引用)
    敵がいないとき抜く刃は、自らを清めるものだ。
    静かに鞘から抜き、真上に立て、月の光に刃を当ててみる。
    息を細く吐く。(中略)
    己の剣は、ここにあるのだ。
    そう‥‥。
    立ち向かおう。
    いつも、命を懸けて、ただ剣を振ればよい。
    生きているから、恐くなる。
    しかし、剣を持てば、もはや怖くなくなる。

    森先生の文章のこの緊迫感に痺れる。

    ゼンの剣は凄いが、決してスーパーマン的な剣豪としては描かれない。偶然や他からの助けを得て絶体絶命を生き抜けている場もある。これも森先生らしいということかな。
    ゼンは剣のことばかりでなく、人や世の中の不思議にも思索を続けていく。その歩みに合わせて同行する読書だった。

    本作では貴種流離譚の色が出てきた。さあ、次はどうなるかな。

  • 【あらすじ】
    生きるとは負け続けること、死ぬとはもう負けぬこと―侍同士の真剣勝負に出くわし、誤解から城に連行されたゼン。彼を待っていたのは、思いもよらぬ「運命」だった。旅を続けながらさらなる高みを目指す若き剣士は、ついに師、そして自らの過去に迫る。

    【感想】

  • 大好きなシリーズ三作目!
    ゼンの正体に少し触れます。

    鎧屋の親父との話が良いと思いました。
    上質な鎧と、鎧の意味、ゼンが思う鎧に対する自分の見解等等。

    何故強くなるのか?何故金持ちになるのか?強くなる事で守らなければならない事など現代に生きていく上で学べるモノもあります。

    ところで、時代小説とはいうモノの何時の時代の何処の場所なのだろうかと考えさせられます?
    その辺も徐々に明かされていくのでしょうか?

    いずれに致しましても、次作が楽しみです!

  • ゼンは進む。人に問い、己に問い、考え、迷い、進む。出会い、別れ、全てがゼンの経験となり知識となり、己を育て、どこへ行こうというのだ。「まずは、己の弱さを知ること。すべての基本は、そこにあります。それがわからない者に、己の剣を求めることはできません」心が震えた言葉。もどかしい思い。なぜわからぬのか。相手に対して、己に対して。どちらにもフラットで正直。知らされる出自。その意味することに対して頓着しない自由さ。「一人の方が周りになにもなくて風がすべて自分一人に当たっているようで気分が良い」そういう生き方に憧れる

  • ヴォイド・シェイパシリーズ、第三作。やはり文体が私好み過ぎる。本当に素晴らしい!引用したことが全て。まるで、人生の参考書のよう。

  • ゼンの渦巻く思考の流れから後半は怒濤の戦い。スカイクロラシリーズと同じく戦闘シーンがあるけど、時代劇などで多少見慣れているせいか、こちらの侍シリーズの方が物語にのめり込んで緊張した。

    徐々にゼンと世間との関係が形作られてきている感じ。

  • シリーズ3作目。

    少しずつ、ゼンの人に対する接し方が変化していて面白い。言葉遣いも微妙に違う様に感じる。これを成長と捉えるか、慣れと捉えるかは、人の世に馴染む事を良しとするか否かにもよるだろうが、変化は必要な事であると思う。

    個人的にはナナシの様なキャラクターは好きだ。ゼンとのやり取りも面白い。ゼンの身の上については、特別触れる必要もないだろう。

    兜は割れた。毎回タイトルが秀逸だ。

    *2016.6

  • だんだんとゼンが成長していくところが面白い。ノギとの関係も変化していっているような。とうとうゼンが何者なのか少し触れられている。次も楽しみ。

  • 今巻はいろんな強さの応酬だった様に思う
    単純な強さ、隠し避ける強さ、権力という強さ、武力という強さ
    そういった強さに触れつつも冷静に分析し、そうしてブレもしないゼンが物語に芯を作る
    ただ、単純な強さは前提としてあるようだ

    世間に対し一歩引いた立ち位置故か、主人公は狂言回し的な役割にも見えるが、全然そんな感じがしない
    これは、やはりゼンの思考こそがこのシリーズの真の主人公だからではないだろうか
    どこか世界が薄らいで感じるのも、読者が、思考からゼンというレイヤーを一枚挟んで世界を捉えているためかもしれない

    とはいっても、少しずつ謎だった背景もえがかれてきて、それはそれで少し楽しみでもある
    ゼンがちょっとずつこなれてきて、心のなかで悪態つくのが良いね

  • 2015.9.15読了
    第3弾。続きが気になる。

  • 【内容(「BOOK」データベースより)
    生きるとは負け続けること、死ぬとはもう負けぬこと―侍同士の真剣勝負に出くわし、誤解から城に連行されたゼン。彼を待っていたのは、思いもよらぬ「運命」だった。旅を続けながらさらなる高みを目指す若き剣士は、ついに師、そして自らの過去に迫る。】

    ゼンが徐々に人間らしく、というか、人に合わせることを覚えてきた。
    純粋でストイックで強くて真面目で優しい正直者。
    女性は惹かれるよなぁ。

  • このシリーズは色々と考えさせられますね。
    強さってなんなのか考えさせられる。深いですなぁ(´ω`) ゼンが実は鈍感だったというのもギャップで親しみでたのではないかと思いますw

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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