- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064348
作品紹介・あらすじ
星の和名収集研究で知られる天文民俗学者・野尻抱影、戦後の俳句界を牽引した俳人・山口誓子。星を愛し、星座の動きに子どものように心躍らせる二人が、天空を眺めながら交わしあった随想と俳句を収める。ページを繰るごとに星々がこぼれ落ちるような珠玉の随想句集。
感想・レビュー・書評
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はじめての野尻抱影。
著者紹介に「冥王星の命名者」とあるのを読んで、無条件に、コレ好キダと思った。
星々の随筆、十二ヶ月。
山口誓子の俳句を添えて。
うつくしい日本語の中に、知らない言葉がたくさんあって、それらが夜空の星みたいに光っていて、脳内でチカチカとまたたく。
野尻抱影さんの視線で自然を見てみたい。
隣に並んで同じ景色を目にしていたとしても、きっとわたしが見ている景色とは違う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長く積んでいたけど、ふと手に取ってそのまま読み終えてしまった。読書ってこういうことがままある。
野尻抱影の星の本はあらかた読んでるけれど、記された絢爛な星空を見ることは(ほぼ)叶わないだろう、ということに毎度のように距離を感じる。たかだか70年なのに。
冬空の描写に力が入るのも好き。現代でさえあんなにまばゆいのだから、戦後すぐの頃はどんなにか壮観だっただろう。言葉を尽くす野尻抱影に対し、誓子の
さいはひは寒星の座を指し得たり
が、これぞ短詩のちからというふうなのも素晴らしい。 -
星も花も香うよう。
猫の戀、これも星の名なんだろうか。
星戀 -
星に関するエッセイや句が収録されている。時代背景は戦前の様子である。文学が現代よりも隆盛した時代だと実感する。なぜなら語彙が豊富だからだ。たとえば、「10月の夜明けに、すばる星が西に入る時に吹く風」に、「ほしのいりごち」という名前がついている。このように自然現象に言葉を与える感覚をとても羨ましく思う。
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山口誓子の句に導かれ、天体民俗学者・野尻抱影が紡いだ星の随筆。星を愛する二人の思いが天空で交差する、珠玉の随想句集。