- Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064492
感想・レビュー・書評
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池井戸潤『花咲舞が黙ってない』中公文庫。
花咲舞シリーズらしいのだが、たまたまこの文庫のみをもらったので。7話収録の連作短編集。
なるほど『不祥事』の続編であったか。存在は知っていたけど、読んでいない。東京第一銀行で臨店指導を行う花咲舞が自らの信念の元に銀行内に蔓延る悪を成敗しようと孤軍奮闘する。無論、そんな花咲を疎んずる役員や役付きもおり、一筋縄で行かないところにリアリティがあり、面白さがあるのだ。
今の社会や企業では決して正義だけが勝つとは限らない。悪い奴はいずれ痛い目に会うと、学校教育で教わったが、そんなのは全くの嘘である。本当に悪い奴は甘い蜜を吸い、のうのうと生きて天寿を全うするのだ。だからこそ花咲舞や半沢直樹みたいな主人公の小説は好まれるのだ。その半沢直樹も本作にちょい役で登場している。
本体価格740円
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「花咲舞が黙ってない」はテレビドラマで見たのが最初で、小説も読んでみたいとずっと思ってました。
いくつかの短編集になっており、ライトな読み口なのは、新聞連載にあたって誰でも読みやすいように配慮されてのことだとか。
東京第一銀行と産業中央銀行の合併の話など、先に半沢シリーズを読んでいた人はもっと楽しめたのではないかと思います。
花咲舞の登場は、過去に出版された「不祥事」が最初だといいます。
ドラマの影響などで、花咲舞を先に知って、「不祥事 」に興味を持つ読者も多いのではないかと思いました。
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銀行融資の行き先
銀行の合併問題は、あらゆる事項部署融資案件など吟味され合併の同意書が作成される。そんな中で銀行内部で問題案件「不祥事」を揉み消そうと役員関係者が動き始める。不当融資、「エリア51」など一部の役員しか知らない「闇融資」などが露出することになる。縦社会に生きるサラリーマンの宿命は上司には決して逆らえないと言うジレンマがある。勇気と正義を持って行動するには「首」以上に人生を賭けての勝負となる。 -
「不祥事」の後、花咲舞シリーズの続編はないと勝手に勘違いしていました。本屋さんでたまたま見つけて即購入、一気に読み終えました。
7話からなる短編集ですが、全て最後の7話「小さき者の戦い」への序曲に思えます。
最後の話は今までのような花咲舞がスカッと切る案件ではなく、銀行そのものの屋台骨に影響する会長絡みの問題で、それにまつわる色んな立場の人間が、立場の正義があり、今回はどう収めるのか、無理なのかと思いながら読み進めていくと、ライバル銀行の半沢直樹まで関係してきて、あっと驚く展開になる。
銀行統廃合の時系列からするとテレビで有名になった半沢直樹シリーズの前の段階の設定らしい。そうなるとまだ読んでない半沢直樹シリーズも読んでみたくなった。 -
20世紀末、東京第一銀行と産業中央銀行が合併する前の話。花咲舞がメインだが、半沢直樹も登場するし、のちに頭取となる中野渡も名前だけだが登場するなど、今までの本を読んだり、ドラマを見てきた読者にはとてもうれしい設定。杏、上川隆也、ドランクドラゴンの塚地・・・と登場人物が全てドラマキャストで再現されて何の違和感もない。もちろん花咲舞の活躍は。銀行内部のしがらみや政治的圧力などの暗部と対照的に、正義と潔癖に満ちていて爽快。こういう歴史を経て東京中央銀行がうまれたのか!と過去の歴史を紐解くような面白さ。
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池井戸潤の花咲舞が黙ってないを読みました。
前作不祥事では、各店舗で起きている問題を持ち前の正義感で解決してきた花咲舞ですが、今回は銀行のトップの不正に遭遇してしまいます。
舞が不正の報告書を上げてもトップの指示で握りつぶされてしまうのでした。
それでも、果敢に戦う舞でしたが、一番の理解者でもある上司の相馬調査役が場末の営業所に異動させられてしまうと、手詰まりの状態になってしまいます。
会社組織に所属する社員はトップの不正に遭遇すると正論を通すのが難しくなるという描写は頷けます。
今回はゲストで半沢直樹が登場し、最後に一矢報いてくれるのですが、後味の悪いエンディングになっていました。 -
なんだろう。半沢直樹が出てきた時の安心感。正義が絶対勝つと言わんばかりのヒーローのようだった。
花咲舞と相馬コンビも良いね
半沢直樹を読み返さなくてはなりました(n回目) -
面白かった。読んだ後にスカッとする。
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久々の池井戸作品。
あー、スッキリ、スカッとした。
同じ女性として、舞ちゃんのように、上司にハッキリ正論を言えたらいいなあ。(叶わない願望)
ドラマみたやらないかなー
半沢直樹の友情出演?も良かったぞ。 -
タイトル通り、東京第一銀行の『花咲 舞』が活躍する本作は、池井戸作品『不祥事』の続編。
一応短編集の形ですが、通して長編としても楽しめます。
その日、東京第一銀行に激震が走った。牧野頭取から発表されたのは、ライバルの産業中央銀行との合併であった...
社内の隠蔽工作や行内政治力学に翻弄される花咲たち。
刻一刻と近づく合併に向け、決して知られざる銀行の闇が、その姿を現しつつあった。
あの半沢 直樹(元産業中央銀行)も登場し、最後に重要な場面で活躍します。
半沢直樹シリーズは、『銀翼のイカロス』まで、4作出ていますか、本作は、合併前の話なんですね。
その他様々なキャラクタが登場しますが、企画部の紀本部長の懐刀"昇仙峡 玲子"調査役は、社内政治に翻弄される役ですが、最後の最後に、バンカーとしての意地と正義を見せます(喝采)。
とても楽しめる一冊です。
ぜひ、続編を。
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花咲舞、臨店グループの跳ねっ返りが時々狂咲舞になり、銀行内の極秘情報に侵入問題や不正を暴き見事な度胸と感で対処する場面は1サラリーマンでは出来ないことを、気持ちよくさせてくれる面白さが満点、痛快な小説に仕上がり池井戸先生のいいものが出ています。また読み返してみたい作品でした。
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2018/08/28
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2018/08/29
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相変わらずの面白さ。
負けるかと思いきや最終的には勝った形ですっきり。
別作品からのゲストも活躍していて盛り上がる。
逆に今回の作品の登場人物が別の作品で敵役になっているようで、読み返すのも面白そう。 -
【友人蔵書】同名のTVドラマは未視聴で、原作の『不祥事』も未読だったことが悔やまれる。しかし、池井戸作品では悪役を配される本店臨店担当を主役に、銀行の暗部に斬り込む物語はさすがである。時に見えざる力でねじ伏せられても、花咲舞の正義を貫こうとする姿勢に読者は魅せられるのだろう。産業中央銀行の半沢直樹が出て来てニヤリ。
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久々の池井戸潤の銀行系作品。
軽快な内容、かつ素晴らしくサクサク読めた。一応同じ金融機関職員として、やはり身近に読めるのかな。
そして同じなだけに、このまま今の会社に居続けるのは本当に正解なのか…?と改めて思ってしまった(笑) 身近なところがあるだけ、自分に投影して考えさせられてしまう…… -
てっきり昔の作品をドラマと同じ名前で再発売したのかと思っていたら嬉しい誤算。安定の面白さだったし、パワーアップもしていたね。まさかのあの男も登場とはびっくりした。
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狂咲こと花咲舞が活躍する銀行活劇って所ですかね。相方の上司の相馬さんも控えめで好きですが。
あとは、劇中にあの半沢直樹が何回か出てくる場面がありテンション上がりますね、知っている人は特に。
シリーズとして読みたいです。 -
半沢直樹と繋がりがある。産業中央銀行と第一銀行が合併する前の話で、花咲舞がスカッといろいろ解決してくれる様はまさに半沢直樹と似たものを感じる。
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花咲舞シリーズ第2弾
「不祥事」から14年かけての続編。
第一話 たそがれ研修
第二話 汚れた水に棲む魚
第三話 湯けむりの攻防
第四話 暴走
第五話 神保町奇譚
第六話 エリア51
第七話 小さき者の戦い
バブル崩壊後の話。
東京第一銀行の臨店指導部の相馬と花咲は、組織の闇の部分の案件に巻き込まれていく。
組織をとるか、正義をとるか、意外な人物も活躍し、不正をただす。
ドラマ化された後、続編として新聞に連載されたものの文庫化。
またドラマ化してほしいです。
でも大杉漣さんの演技は見れない。 -
東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、行内に巣食う巨大な不正に巻き込まれることに!
組織の論理に染まらず筋を通そうとする花咲舞の気風の良さは相変わらず心地よい。本作には銀行を舞台とした池井戸作品のもうひとりのヒーローである半沢直樹が登場。映画で言う「カメオ」的な出演かと思ったけれど…!
(B)