嗤う伊右衛門 (C・Novels BIBLIOTHEQUE 73-1)
- 中央公論新社 (1999年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784125006031
感想・レビュー・書評
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悲恋絡まる純愛
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四谷怪談。お岩さん。目の上がただれた幽霊。それくらいの知識しかない状態で読みました。京極夏彦は姑獲鳥の夏を読んでそのオチはないだろう!と思ってちょっと敬遠してたんだんだけど、この話は良かったです。
登場人物、オリジナルの人はほとんどいなくてみんな原作にもいる人達なんですね。それをうまく使って生き生きと見せているところがすごい。
お岩さんの凛とした態度がカッコいい。最後は切ない。
でも、映像で見たら怖いんだろうなぁ。 -
物語は流石京極夏彦、原作を巧みに組み直し、読み応えある作品になっている。
しかし、伊右衛門、岩の主人公らが、実直、正しさという性格を貫き通す様は、読んでいて偏執狂かくあらんと思うほどで、とても感情移入出来るものでは無い。
結局最後まで主要人物の行動に自分なりの納得をつけられず、少々消化不良。 -
一気読み~。伊右衛門がもっと堅物かと思ったら岩との心が通じなくて自問自答し迷い悩んで殴られて・・・と、実直で人間味溢れてる(溢れてるか?)けど散々です。2人の想いがすれ違い続けていて、もどかしい、哀しい。そして最後の方でよく解らなくなった。それって直助なのか岩なのか?いつの間に岩はそこに??またいつか忘れた頃に読んでみたら解るかなぁ。
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四谷怪談も京極にかかるとこーなっちゃうんですなー
伊右衛門も、岩も、梅も、宅悦も今までのイメージとは全然違う人間像。
しかも、みんな人間が描けてる。
あと、会話の調子が気持ちいいっす。
ただ、怪談っても怖くはないです。
でも、おもろいけどね。 -
おもしろかった。又市さんが出てるって知ってたらもっと早く読んでた。なんか又市さんの話聞いたことあった気がする。巷説でもちょっと同じこと話してた…?相変わらず文章がとても美しい。映画も見てみたい。
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幽晦との境界が?破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。ならばそこから夜が染みて来る。生まれてこのかた、わらったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み、顔崩れても、凛として正しさを失わない女、岩?。江戸の闇に開く悪の華、怪談世界に異才が挑む。第25回泉鏡花文学賞受賞作品。
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悲しく恐ろしい怪談話。京極夏彦の濃い日本語が詰まった小説は、活字中毒の私にはバーボンのストレートのようにキツく染み渡り、飢えが収まります。
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不器用ですぎるほどに毅然としたお岩さんのなんと美しいことか。壮絶なラストに恐怖より涙しました。二人の愛は成就したと信じています。