〈本の姫〉は謳う 1 (C・NovelsFantasia た 3-2)
- 中央公論新社 (2007年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784125010069
作品紹介・あらすじ
「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在-文字。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために、"本の姫"と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に、文字の気配を感じた彼は-。圧倒的な筆力と緻密な世界観を持ち、第2回C・NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』で話題騒然の多崎礼が満を持して放つ新シリーズ、堂々開幕。
感想・レビュー・書評
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設定がなかなか難しくて、最初入り込みにくい感じかなあ。世界に文字が散らばって、それらが災厄をもたらしている。片目を隠した銀髪の少年と本に住む姫がそれらを回収するために旅していくのだ。この姫がなかなか口が悪くて面白いなあ。途中から加わったジョニーもヘタレぶりが楽しい。もう一つ、過去の空に浮かぶ楽園の物語が間に挟まれるが、こちらの方は少々重苦しい。二つの物語はシンクロしていくのだろうか。
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多崎礼さんの『レーエンデ国物語』にハマってます
違うシリーズもの読んでみようと思いこのシリーズを手に取ってみました
と言うか、このシリーズしか図書館には置いてなかったんです…w
「滅日」によって大陸中に散らばった「文字」
それは世界を蝕む邪悪な存在
天使の遺跡を巡り、本の修繕をするアンガスは「文字」を探し回収するために〈本の姫〉と旅を続けている
ちょっと分かりづらい設定でもあるがこの世界観は好き!いいです!
〈本の姫〉も好き!いいです!
口は悪く、態度はデカいけど、どんな人よりも厳しくて、そして優しい
〈本の姫〉好き!いいです!
2回目言いましたw
そして、並行して聖域という世界での物語も進んでいく
んん〜ん、こっちの世界観は好きくない!
無くてもいいんじゃないw
って言う訳にはいかないかw
きっと物語が進むにつれてこの2つの世界が繋がっていくんでしょうね
そりゃ、そうだろ!当たり前だろ!ってねw
さぁ、このシリーズちょっと読み進めてみよう!-
2024/02/19
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2024/02/19
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変態の青い物体が強めにツッコんできたー!!!w
そのループは間違いです!( ・`д・´)キッパリw変態の青い物体が強めにツッコんできたー!!!w
そのループは間違いです!( ・`д・´)キッパリw2024/02/19
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【感想】
・設定凝りまくってて、掴むのに苦労がいる。
・主人公たちのキャラと会話が楽しい。
・各章が短いのでテンポはよい。
・ジャンル的には無理やり当てはめればSFファンタジーだろうか。どちらかといえばファンタジー寄り。
【一行目】
この世界は、言うなれば本のようなものだ。
【内容】
・本の姿をしている「姫」とともに「文字(スペル)」を探す少年アンガスの物語と、聖域での「俺」の物語(過去なのか現在なのか不明のまま)が交互に描かれる。
▼簡単なメモ
【アーク】解放された自動人形。アークエンジェル型で金髪美青年。背中に白い羽があるが「次元軸に沿って」収納できるらしい。起動してくれたアンガスを主と定めた。イメージ的にはC3PO。
【アイヴィ・アーチャー】腕利きの修繕屋。
【アウラ】盗賊団に襲われ滅んだ町。セラの故郷。
【アルフレッド・スペンサー】世界で初めて地図を作った。
【アンガス】主人公。十七歳。白い髪と青い目の「先祖返り」。バンダナで右目を隠しており何らかの理由があるようだ。《僕の頭には、積み重ねてきた自分の記憶とは別の記憶があるんです。自分が学んだ知識以上の知識が、生まれつき備わっているんですよ》p.105。非暴力主義者。
【アンディ・パーカー】エイドリアンの部下。
【遺跡】天使達の住居跡と人は言う。
【ウェリタス】姫の身体を奪った者の名。
【浮島】文字の力で浮いている。「滅日」でほとんどの島は落下し、今はラティオ島だけが浮いている。「聖域」のことだと思われる。
【ウリエル】四大天使の一人。「俺」に反感を抱いているようだ。常に美少女「夜の天使/レリエル」と美少年「昼の天使/シャムシエル」の二体の自動人形(ドール)を従えている。《彼女は幼い頃に遭遇した事故で全身が麻痺し、五感さえもほとんど失ってしまった。が、その精神力は飛び抜けて鋭く、精神ネットワークの隅々まで把握していると聞いている。》p.80。
【エイドリアン・ニュートン】新見聞(ニュースペーパー)の考案者でデイリー・スタンプ社の代表。アンガスの師匠。愛称はエディ。
【オフィーリア】ジョナサンの馬。アンガスの白い髪をかじるのがお気に入り。
【俺】もう一人の主人公。飛び下り自殺をしている最中の男。赤ん坊の頃から他者にシンパシーを抱かせ(すぎ)る特殊な力を持ち危険視されていた。「悪魔の子」と呼ばれる。唯一平気だったガブリエルに育てられた。心臓に疾患がある。
【カクメン】山岳地帯にある村で村人たちが次々に崖から身を投げた。
【カネレクラビス】生首の胴体があるらしいが、ここに暮らす「ネイティブ」たちはとても排他的らしい。オルクス族、コル族、カプト族、メンブルム族の四つの部族がいる。
【ガブリエル】かつて神童と呼ばれ精神感応力と自己防壁の高さに秀でていた。「俺」を育てた。「ガブリエル」は聖域での本来役職名みたいなもので司法の長に与えられる。
【クールウォーター】エイドリアン愛飲の煙草。ベンジャミンからもその匂いがした。
【ケイト】フリークスクリフで暮らす女。ジョナサンに色目を使う。「ダイヤモンド・ケイト」の異名を持つらしい。
【刻印】「鍵の歌」によって思考原野からエネルギーを取り出すことが可能。文字(スペル)のことか?
【思考原野】個人とは別に誰もが共有するもの。ぼくらの世界で言うところの「集合的無意識」とかあるいは「アカシックレコード」とかに該当するのかもしれない?
【十三聖域】「俺」のいる聖域。
【修繕屋】本を修繕する職人。
【ジョナサン・ラスティ】レッド・デッドショットの兄。泣きぼくろがない。名修繕屋ロバート・ラスティの息子にして弟子。アンガスの旅の仲間となる。
【シルバーアロー】カネレクラビスのメンブルム族の歌姫。十六歳の少年。
【スカイラーク】カネレクラビスのネイティブの予言者。男だが「歌姫」でありローンテイルの婚約者でもある。
【スタンプ】QRコードみたいなものか。視覚に作用しビジョンを見せる。特に危険なものではなく看板や広告に使われるが慣れないと多くのスタンプのある場所では酔う。本の技術を応用している。
【スペル/文字】《文字の力とは、この揺るぎない意志の力だ。》p.16。《大陸中に散らばった四十六の文字。その中でも「滅日」以降に出現した文字は、悪意に満ちた波動を放出し続けている。》p.79。《この世界には四十六の文字がある。そのうち二十二個はすでに活動を停止している。問題は残りの二十四個。これらの文字は今も生きていて、悪しきエネルギーを放出し続けている。それに触れると、人は狂気に取り憑かれる。》p.104
【スペルの種類】刻印と文字(スペル)がおなじものだとしたら、1生命、2誕生、3呼吸、4共生、5繁栄、8自我、9勇気、10好奇心、11慈愛Affection、12尊厳Dignity(カネレクラビス)。15信頼Trust、18平和Peace、22思考、33破壊Destruction、37嫉妬:Jealousy(アウラ)、43暴力Violence、46希望hope
【聖域】精神感応ネットワークの網が張り巡らされた理想郷。おそらく浮島のことだろう。
【セラ】盗掘団にいた少女。アウラの出身。口がきけない。呪文を唱えなくても本を読めるし、他者の読む本を一緒に読むことができる。普通は読んでいる者にしか見えない。アウラ町長の娘セラ・フォスターと同じ名だが同一人物かどうかは不明。
【先祖返り】西部の一部地域では忌み嫌われている。
【ソリディアス大陸】舞台となる大陸。
【大賢人】解放の歌を産み出した。
【ツァドキエル】記憶と記録の管理者。近年まれにみる能力。見た目は地味な女。
【月】二つある。大きい月はカリタス、小さい月はオディウム。
【トーマス・ヴィッカーズ】修繕屋の店主。愛称はトム。丸顔でにこにこしている。
【ドール/自動人形】アンガスについてきた生首はドールのものらしい。精神伝達物質により胴体がカネレクラビスにあると訴え続けアンガスを悩ませた。
【ドーンコーラス】カネレクラビスのコル族の歌姫。二十四歳の女性。
【ドラム】カネレクラビスのネイティブのメンブルム族の長。樽のように太った女。
【トレヴィル砂漠】《昼の気温は五十度以上、夜は氷点下》p.13
【トレド】トレヴィル砂漠の北にある町。全人口五百人。
【ネイサン・エヴァグリン】七人いる連盟保安官の一人で最も有名。巨漢だが《愚鈍な雰囲気は皆無》p.231。荒川弘さんの作品に出てくるようなタイプのおじさん。出番を増やして欲しい。
【眠り病】思考原野の奥まで入り戻れなくなって権実の身体が眠ったままになること。
【ハーヴェスト】アンガスの父が吸っていた煙草の銘柄。ジョナサンも吸っている。
【ハニエル】《胎児の俺を殺そうとして、出来なかった女だ。》p.80
【バニストン】大都市。水蒸気関の発明者ウィリアム・ロックウェルが初めて鉄道を敷いた街。アンガスのホームタウンでもある。
【ハムレット】ジョナサンの馬。
【ビッグフット】カネレクラビスのネイティブのコル族の長。大男。
【姫】本のかたちをしている。あるいは本に宿る人格。記憶と身体を奪われアンガスとともに探索の旅をしている。生きた文字(スペル)に触れた者は姫の姿が見えるようになるが、そうでない者には見えない。
【ファルコン】カネレクラビスのネイティブのカプト族の長。精悍な顔立ち。
【フィン・リボルバー】賞金首。罪状は保安官射殺。賞金三十万ギニー。現在のフリークスクリフではトップ。
【フォンス村】西部の村。奇妙な病気で人が亡くなり続けている。
【フリークスクリフ】悪党たちの根城。
【ヘルム】南部の村で五百人以上の住人が一夜にして消失した。
【ホーネット】カネレクラビスのネイティブの一人。
【ホーリーウイング】カネレクラビスのカプト族の歌姫。十三歳の少女。
【滅日/ほろび】《一人の天使が「文字の精霊」を解放し、浮力を失った楽園は地に落ちた。》p.13
【本】《本はね、遺跡から発掘される天使の遺産なのよ。》p.12。形はぼくらの知っている本だが、むしろスマホに内蔵された書籍データって感じ。ラジエルの作った本はほとんどバーチャルリアリティ。ただし呪文により自己催眠をかけて受け入れやすくしないといけない。
【四大天使】「聖域」の幹部的存在。《防衛の長であり『理性の剛腕』と呼ばれるミカエル。医療の長であり『理性の心臓』と呼ばれるラファエル。思想統一の長であり『理性の頭脳』と呼ばれるウリエル。そして司法の長であり『理性の良心』と呼ばれるガブリエルだ。》p.56
【ラジエル】聖域では著名な本づくり作家。シェークスピアの役割のようだ。
【ラティオ島】《「滅日」の際、落下を免れた唯一の浮島》p.85。いまだ天使が住まうと言われている。アンガスはいつかは赴くつもり。
【ラファエル】四大天使の一人。「俺」はラファエル候補だったが心臓疾患のせいで落選。選ばれたのは遺伝子操作で生まれた少年だった。
【レッド・デッドショット】賞金首の一人。史上最悪の悪名も高く賞金二百万ギニー。
【レミエル】十大天使の一人。「俺」の教育と養育の管理者。百三十歳を越えた婆さん。
【ローンテイル】カネレクラビスのネイティブ、オルクス族の長。豪胆でシャープそうな女性。人の心を少しだけ読むことができる。 -
うーわー、面白かった!「俺」視点と「アンガス」の話と交互に盛り込まれ読み手に色々想像させて楽しい!!
姫も最初はあまりにもアニメっぽくて、イマイチだったけど話が進むにつれて可愛く頼もしく思うようになった。 -
久しぶりにノベルス読んだ。
この手の話は深く考えずにさらりと読めるのでとてもありがたい。
本の姫の気高さと主人公の眼差しの強さが印象に残る。
前を向かなくちゃ生きていけないって時は確かにある。 -
切なくて悲しい。だけど、微かに希望もある。そんなお話です。
文字を集めていく、という設定を上手く冒険に絡ませていて、面白かったです。
主人公の考え方に切なくなります。
この本から多崎礼さんを知りました。
多崎礼さんの本は、文章、構成、人物、世界観がしっかりとしているからとても惹き込まれます。 -
本がテーマの王道?ファンタジーです。
主人公の性格にとても好感が持てました。なんだかんだいいながらもお人好しなんですよね、彼。拾った女の子セラと、これからどんな関わりを持って、彼が持つ「姫」を無事助け出すことができるのか、天使たちとの関わりはどうなるのかが気になるところ。
時おり挟まれる主人公の過去と現在の文章が、少し読みにくいですが、世界観に対する作者さんの想像力がすごいなと思いました。 -
最初に、”俺”と”姫”が出てくる時間軸が違うというのをレビューで見ていたので混乱せずに読めました。他の多崎作品を読んでるので慣れてるのもありますがwどっちの話も続きが気になりすぎてむさぼる様に読みました。面白い!
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「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在――文字(スペル)。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために、"本の姫"と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女セラに文字の気配を感じた彼だったが、彼女がいたという地アウラに向かってみると、案の定文字によって土地の住民たちは皆死んでいた。旅の途中で出会ったジョニーとともに、アンガスはインディアンの地へと足を踏み入れるが、そこは部族以外の人間は立ち入れない場所で・・・。
「煌夜祭」で驚くほどの緻密な世界観を見せてくれた多崎氏ですが、今作も独特の世界で語られるストーリーがとても魅力的です。文字を集める姫に手を貸しているアンガスにも実は秘密があって、それは最後で明かされますが、なぜ彼は故郷を追われたのかなど、2巻まで持ち越した謎も。レッドとの対決など、山場はこれからかな。今でも十分に面白いのですが、個人的には「俺」とガブリエルのターンが好きすぎて、アンガスたちの場面に比べて少なすぎるのが残念でした。もっと読みたーい。ツァドキエル死んじゃって悲しい・・・これからどうなるのか気になりすぎる。