日本美術の歴史

著者 :
  • 東京大学出版会
3.73
  • (27)
  • (33)
  • (59)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 593
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130820868

作品紹介・あらすじ

『奇想の系譜』から35年.岩佐又兵衛,狩野山雪,伊藤若冲,曾我蕭白,長澤芦雪,歌川国芳の「発見」を通して,日本美術の独創的なおもしろさ,新しさを論じた著者が,いま,縄文からマンガ・アニメまで,360枚の図版とともに日本美術の流れと特質を大胆に俯瞰する.書下し,オールカラー.装丁・横尾忠則.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/17467

  • 言及されている作家や作品が全て図版で示されているわけではないところが読んでいてストレスになる。時代の流れを読み物としてまとめているというよりは、作者作品を時代に当て嵌めての説明がどんどん続いていくため読みやすいわけではない。まさにあとがきで示されているように「教科書」風だ。

    日本の土着の美意識に外部の文化が与えたもの、それを咀嚼して美意識を色々な方向に先鋭化していく、そんな過程が繰り返されていくと感じる。絵画の図版を見ていくと仏教画や中国からの影響を取り入れつつ江戸末期に円熟を迎えることを限られた作品の小さな図版からも感じることができる。その後の西洋美術の取り込みは必ずしもうまくいかなかったように見える。現代に至るアニメ、マンガの日本的な表現はどのようにつながってきているのか、江戸の頃の要素と映画的な動きの要素の組み合わせのように感じる。

  • ゴンブリッチやマクニールの歴史の捉え方を観た後だと、日本人にとっての、歴史、というものの貧弱さが、、、

    何故なんでしょうね
    既に眠い、、、
    年表にコメントをはさむ、という程度にしか歴史を語れないのか?

    まだ読み始めだけど。

    本の体裁も悪い。あの、劣悪な、日本の学校の教科書だよ、これじゃ

    最初の方があれだったけど、文明以降は面白い

    30にして初めてまともに日本美術史に手を触れる 
    縄文、弥生、古墳、飛鳥、奈良、平安、藤原、院政、鎌倉、南北朝、室町、戦国、安土桃山、江戸、明治、戦争、戦後
    土着、儒教、仏教、神道、キリスト教
    奈良仏教、真言宗、天台宗、浄土系、日蓮宗、禅宗
    随、唐、宋、元、明、清

    高校までの歴史の授業でどうして勉強した筈のことが無駄になってるのか、悔やまれる。良い先生を持つべきで。今はまだ基礎の勉強中。
    次はブルーノ・タウト その次は日本書紀 土偶、風姿花伝、円空、芭蕉、網野善彦、、、と本が山積みで、しかも、全部、ほぼ基本の書です、、
    そのあとにホメロスやダンテが積んであって、、、

    本当は10代のとき、学校で習ってしかるべきな勉強を自分に課してます

    国際化したいなら、英語じゃなくて、古事記や縄文土器から始まる歴史や、ギリシャローマを知らないといけない。じゃないと、そのおぼえた肝心の英語で、何を話すんだ?って話で。
    だから、そのあたりが日本の教育が間違ってるわけで、そのせいで30にもなって基礎勉強からやり直すはめになってる。
    まあ、勝手にやっとるだけだけど。

  • 日本で生まれ育ちながら、日本の文化のことをあまり理解しないまま、ここまで過ごしてしまったなあと反省しています。

    数年前から美術館に鑑賞に行くようになったのですが、最初は西洋美術を中心に鑑賞していました。
    しかし回を重ねるにつれて、日本美術に興味が湧き、鑑賞する機会が増えてきました。

    それぞれの展示会では、添えられている説明文を読むなりして理解したつもりになっているのですが、時代背景やそれまでの美術との違いなど、“日本美術の流れ”というものを知りたいなあと、思っていました。
    アート関連の書籍が多く販売されているGINZA SIX蔦屋書店を散策していたところ、そんな思いに応えてくれそうなこの本をみつけたので、読んでみることにしました。

    著者は、美術史について長年、教鞭をとり、大学教授や美術館館長などを歴任してきたこの道の専門家。
    ただし専門は室町時代の美術ということで、自らの知識の幅を広げるために、本書を執筆したとのこと。

    縄文時代から始まり、時代を区切って、日本の美術の流れを解説しています。
    各時代の美術の特徴というものを、著者なりの視点で完結に解説しているので、全体的に「頭に入りやすいなあ」と、感じました。

    特に江戸時代以前の部分に興味があったのですが、疑問に感じていたことをいくつか、解決してもらえました。
    先に関連書を読んだ西洋美術史と照らし合わせると、日本の美術というものは写実性よりも物語性に、重きを置かれて発展してきたのかなあと受取りました。

    図版も多く掲載されていて、「書斎の美術鑑賞」という気分も、味わえました。
    今後も手元に置いて、美術鑑賞に行く際の“予習/復習”に使いたい、一冊です。

    『知識ゼロからの西洋絵画史入門』山田五郎
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4344902262
     
     .

  • 一人の著者、つまり辻惟雄先生による日本美術通史。大学の講義ノートがもとになっており、教科書のようにも読めるし、物語のようにも読めるというコンセプトで作られたらしい。

    その通りの内容で、『奇想の系譜』の文章同様、日本美術の通史・概観を興味深く、すいすいと読み進められる。図版もカラー。さらに詳しく知りたい人のための文献ガイド、索引もある。

    辻先生いわく、日本美術の特質は「かざり」「あそび」「アニミズム」の三つである。

  • 辻 惟雄『日本美術の歴史』

    【内容紹介】
    ISBN 978-4-13-082086-8,
    発売日:2005年10月下旬,
    判型:A5, 472頁

    『奇想の系譜』から35年.岩佐又兵衛,狩野山雪,伊藤若冲,曾我蕭白,長澤芦雪,歌川国芳の「発見」を通して,日本美術の独創的なおもしろさ,新しさを論じた著者が,いま,縄文からマンガ・アニメまで,360枚の図版とともに日本美術の流れと特質を大胆に俯瞰する.書下し,オールカラー.装丁・横尾忠則.
    http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-082086-8.html



    【目次】
    まえがき

    第1章 縄文美術――原始の想像力
    美術としての縄文土器/縄文美術の「発見」/縄文文化とは/縄文土器の様式展開――誕生から終りまで(草創期・早期/前期・中期/後期・晩期)/土偶の豊饒と神秘/装身具・その他/住居/縄文美術の意義

    第2章 弥生・古墳美術
    1 縄文に代わる美意識の誕生[弥生美術]
    弥生文化・弥生美術とは?/弥生土器/銅鐸と銅鏡/「縄文的」と「弥生的」
    2 大陸美術との接触[古墳美術]
    弥生文化との連続性/黄金の埋葬品と埴輪/装飾古墳

    第3章 飛鳥・白鳳美術――東アジア仏教美術の受容
    仏教公伝と大陸美術の本格移入/荘厳としての仏教美術/仏教の波及/飛鳥寺と法隆寺の建造/大規模土木工事と道教的石造物/飛鳥大仏以後/救世観音像の異様な“物凄さ”/百済観音その他/童顔への信仰――白鳳仏の世界/塑像の出現/飛鳥・白鳳の絵画、工芸

    第4章 奈良時代の美術(天平美術)――唐国際様式の盛行
    平城遷都と唐文化の影響/寺院造営と造像(大規模な寺院造営と造寺司/薬師寺の東塔と金銅仏)/塑像・乾漆像の流行(法隆寺五重塔初層の塑像群/興福寺の乾漆像/東大寺法華堂(三月堂)の塑像と乾漆像)/東大寺大仏の鋳造/唐招提寺の新様/大型の繍仏と過去現在因果経/正倉院宝物

    第5章 平安時代の美術(貞観・藤原・院政美術)
    1 密教の呪術と造形[貞観美術]
    密教美術の伝来/密教の修法と仏画/両界曼荼羅/曼荼羅の諸図/貞観彫刻の特異性/神仏習合の像/世俗画/書と密教法具、蒔絵
    2 和様化の時代[藤原美術]
    和風美術の形成/藤原の密教美術/信仰の動向――浄土への憧れ(浄土往生の思想/『往生要集』の反響)/極楽荘厳の浄土教建築/寝殿造の成立/仏像の和様化と定朝/定朝以後の仏像、鉈彫り像/藤原仏画(曼荼羅を中心とする宗教図像/浄土教絵画/釈迦を描く図/祖師像と羅漢像)/仏教工芸と書/宮廷絵師の消息/やまと絵の発生/その他一一世紀絵画の遺品/浄土庭園と『作庭記』
    3 善を尽くし美を尽くし[院政美術]
    末世の美意識/絵画――耽美の一方での躍動(仏画/装飾経/豪華な和歌集冊子と扇絵/絵巻物――説話絵巻と物語絵巻/六道絵/宋美術の移入と影響)/彫刻・工芸・建築(建築と仏像/蒔絵・螺鈿・鏡・陶器・華籠・懸守――デザインの多様化と和風化/日本的焼物の登場)/風流とつくりもの

    第6章 鎌倉美術――貴族的美意識の継承と変革
    現実へのまなざしと美術の動向/宋建築の新しい波――大仏様/仏像のルネッサンス(天才仏師運慶の出現/快慶の活躍/定慶、湛慶、康弁、康勝――運慶の次世代の作風/慶派以外の彫刻、鎌倉地方の彫刻)/仏画の新動向(宋仏画影響の進展/仏教説話画の流行/来迎図の新様/垂迹図と影向図)/やまと絵の新様(肖像画と似絵/絵巻物のその後/絵巻に中世を読む)/禅宗にともなう新しい美術――頂相、墨蹟、水墨画(中国禅宗の日本移入/頂相と墨蹟――禅の高僧たちのおもかげ/禅寺の新しい建築――禅宗様)/工芸――重厚への志向

    第7章 南北朝・室町美術
    1 唐様の定着[南北朝美術]
    仏像・仏画の形式化と宋・元・明スタイルによる美術の展開/宋・元・明の美術(唐物)の移入と風流/水墨画の移入と展開/日本人水墨画家の出現と活躍/やまと絵の新傾向と縁起絵
    2 室町将軍の栄華[室町美術前半(北山美術)]
    座敷飾りの全盛と御伽草子絵/国産唐絵の進展と明兆/詩画軸の流行と如拙、周文
    3 転換期の輝き[室町美術後半(東山――戦国美術)]
    義政の東山山荘座敷飾り(枯山水の芸術)/工芸の新しい動向/桃山様式の胎動――やまと絵障屏画と建築装飾/雪舟と戦国武将画/和漢の取り合わせから統合へ/自然軸の魅力――焼物

    第8章 桃山美術――「かざり」の開花
    桃山美術の興隆――天正期(「かざり」の黄金時代/安土城と狩野永徳/侘び茶の意匠)/装飾美術の展開――慶長期(等伯、友松らの活躍/天守の意匠の最盛期/風俗画と南蛮美術/「かぶく」精神の造型――利休から織部へ)

    第9章 江戸時代の美術
    1 桃山美術の終結と転換[寛永美術]
    大規模建築の造営/探幽と山楽・山雪/王朝美術へのあこがれと再生(「綺麗さび」と桂離宮/光悦と宗達――民間デザイナーの旗手)/浮世の享楽――風俗画の流行
    2 町人美術の形成[元禄美術]
    桃山建築の終焉/狩野派の功罪――探幽以後の役割/色絵磁器の出現と日本化/桃山の余光――寛文小袖/修験僧円空の鉈彫り/元禄文化の花形――菱川師宣と尾形光琳/黄檗美術と明美術の移入/民家
    3 町人美術の成熟と終息[享保―化政美術]
    中国から西洋から――新しい表現手法の到来と吸収/「唐画」のニューモード――文人画の成立/合理主義の視覚――応挙の写生主義/奇想の画家たち――京画壇の最後の光芒/師宣以後――浮世絵版画の色彩化と黄金期/出版文化と絵本、挿絵本/文人画の普及と全国化/洋風画――秋田蘭画と司馬江漢/酒井抱一と葛飾北斎――化政・幕末の琳派と浮世絵/後期工芸の総括/後期建築・庭園の動向(寺社の庶民化と装飾の過剰/さざえ堂/大名庭園)/木喰と仙厓、良寛

    第10章 近・現代(明治―平成)の美術
    1 西洋美術との本格的出会い[明治美術]
    高橋由一と油絵の開拓/「真に逼る」見世物――近代展覧会の土壌/工部美術学校の設立とフォンタネージ/フェノロサの来日と啓蒙/洋画派の受難と団結/文明開化の狭間で――暁斎と清親/「彫刻」の導入とラグーザ/洋風と擬洋風――幕末・明治前半の建築(外国人居留地の洋風建築/本格的な建築家の招聘)/殖産工芸の推奨と超絶技巧の工芸品
    2 近代美術への新動向[明治美術・続]
    黒田清輝と「新しい」洋画/洋画壇の対立と浪漫主義・装飾主義――藤島武二と青木繁/岡倉天心と日本美術院――横山大観、菱田春草の活躍/京都の日本画と富岡鉄斎/建築――次世代建築家の活躍と伝統への目覚め(伊東忠太の登場/アール・ヌーヴォーとその後の歴史主義)
    3 自由な表現を求めて[明治末―大正美術]
    自己表現への自覚――高村光太郎の「緑色の太陽」/浮世絵のその後と創作版画/彫刻の生命表現/建築のモダニズム
    4 近代美術の成熟と挫折[大正美術・続―昭和の敗戦]
    洋画の成熟/日本画の近代化(東京――再興日本美術院展/京都――国画創作協会と大正デカダンス/古典への回帰とモダニズムへの転身)/前衛美術の最先端の移入とその行方/幻想、シュルレアリスムと戦争の予感/戦争画の時代/関東大震災後の建築(建築は美にあらず/MAVOの建築活動/モダニストの抵抗と戦争)
    5 戦後から現在へ[昭和20年以後]
    戦後美術の復興と前衛美術の活発化〈1945―1950年代〉(日展とアンデパンダン展/日本美術の国際進出と「具体」の活動/「墨美」の活動/現代の書家たち)/モダニズム建築の興隆と限界/「美術」と「アート」の分立と混交〈1960年代―現在〉(「アート」の巻――状況の変化/もの派とポスト・モダンの建築/マンガ・アニメの興隆/「美術」の巻――「美術」の現状)/前衛と伝統(ないしは美術遺産の創造的継承)

    もっと日本美術史について知るための文献案内  佐藤康宏
    あとがき (二〇〇五年秋 つじ のぶお)

    作品名・事項索引
    人名索引
    掲載図版一覧

  • 一冊で美術史を、ざっと勉強できて良かった。

  • 箕面図書館にて。
    高校の頃は文化史があまり好きではなかったけど(やたらと暗記ばかりだったから)、教科書や資料集で読んだことのある/見たことのある作品を懐かしみながら、ぺらぺらとページを捲るのが楽しかった。

  • 個人による日本美術通史。個人でものしたことは賞賛に値するのだろうが、独力で書き下ろしたことの意味をもう少し与えてほしかった。「縄文」や「かざり」などのキーワードは随所に配されているが、それらが点と点を結んで線になるだけでは物足りない。美術というフィールドの中の異なる分野・時代に現れる差異と共通性を結び合わせて立体的な「日本」の像を結ばせてもらいたかったというのは高望みか。

  • 最初図書館で借りて読んだが、手元に置きたく購入。

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京大学名誉教授/多摩美術大学名誉教授

「2021年 『日本美術の歴史 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻惟雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中沢 新一
三島由紀夫
カズオ イシグロ
村上 隆
ほし よりこ
アル・ゴア
町田 康
谷崎潤一郎
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×