資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか (NHK出版新書)
- NHK出版 (2013年2月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884003
感想・レビュー・書評
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世界史観から資本主義を読み解く刺激的な一冊。
『桐島、部活やめるってよ』(映画版)を現在社会の暗喩と解釈し、桐島=アメリカと説いたのには膝を打った曰く『アメリカ、覇権やめるってよ』。桐島が学校に来なくなってうろたえるバレー部が、苛立つ梨紗がいまの日本の姿だ。
『桐島、』では高校のクラスの中で"勝ち組"も"負け組み"も空しさをもった存在として描かれる。資本主義が行き詰まり「成長なき時代」に入ったいま「強欲」に投資を続けて利益を出し回収するシステムは破綻した。別のシステムに乗り換えるためには現行システムから撤退するのが先決だ。
本書ではいまを資本主義が成立した「長い16世紀」に準え「長い21世紀」としている。
1492年に新大陸が発見され新しい空間を得る事によって取引は拡大し、経済も大きくなった。これはニクソン・ショックによって固定相場から変動相場に変り、ネットという「新大陸」を発見し金融・電子取引という広大な市場が現れたことと韻を踏んでいる。
★古代・中世・近代に通じる普遍的原理「蒐集(コレクション)」という概念がある。ジョン・エルスナーは『蒐集』に於いて「キリスト教は魂を、資本主義はモノをコレクションする」と説いている。更に「西欧人は社会秩序そのものが本質的に蒐集的(コレクティヴ)だ」という考えを持っているとしている。そして蒐集と言う行動をもっとも効率的に行えるのが資本主義だというわけだ。
蒐集してあつめたコレクションを永続的に受け継がせるために「会社=法人」というものが生まれた。契約を基本とするユダヤ教、キリスト教社会でこの考えは伝播したが、神以外の建造物は刹那的であるという考えのイスラム教社会には馴染まなかった。
★21世紀に入ってからの中国の急速な台頭は資本主義の最後の足掻きである。15世紀まで圧倒的先進国であった中国がこの200年間後塵を拝してしまっているのは何故か。いま巻き返しているように見えるが、それは西洋式の方式を(仕方が無く)取り入れただけであって、嘗ての中国が持っていたような新しいモノは出ていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【由来】
・「プーチン最後の聖戦」からの「グリーンスパン」からのイギリス関連本からの「グローバリズム掲載」からの水野和夫検索@amazon。
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
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【書きかけ】
書名と著者名で拒否反応を起こす人も(特に近代経済学を一通り学んだ人には)いると思うし私自身はちょっとしたきっかけで読んでみたが、一度考えてみてもよい問題ではある。博識とイメージで押し切るトンデモな面はあるだろうから気をつけたほうがいいが、そういう面を全く含まずに考えるのは難しい話だと思う。トンデモ本としての価値しかないと思う人は逐一説得的な反論を試みるべき。”正統な”経済学者も百家争鳴のなか大衆感覚では結局のところ長期停滞のままであるのは事実なのだから。 -
インデックス投資家として、世界の成長ってのがどこまで続くのかが気になって手に取った一冊。正直なところ半分も理解出来なかったが、資本主義における経済成長ってのは、永遠に続くものではないのかな、という風には理解しました。
まあ当面は大丈夫かなとも思いますが、「桐島、部活やめるってよ」の引用話のところで、破綻は突如訪れるものというような話もあって、油断はならないのかも知れません。素人にタイミングが判断出来るわけありませんが、、、 -
水野和夫氏の言説が読みたくて手に取った。後半は完全に大澤真幸氏のペース(「食っちゃった」という感すら)。でも知的刺激に富んだまれに見る好対談と言える。
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レビュー省略
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15/02/20。
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資本主義の「終わり」を大きな観点から論じた対談。目先のこまごました事象は気になるが,こうした大局的な見方を自分のものにしておくのは大事。