おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)
- NHK出版 (2014年4月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884317
感想・レビュー・書評
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ざっと目次を見るように、著者なりの教養の入り口を見せてくれた。私とは何かという答えのない問いが、すべての学問や研究に通じていることを実感させてくれた。無からは何も生まれない。何かがあるなら、その理由が必ずあるはずだ。幼い頃はこれを知らず、知ってからも答えがわからなないことは、無視していたように思う。
学生時代は、入りたい大学を出て、やりたい仕事に就くのがよいと信じ、勉強していた。あの頃の私は理解できないかもしれないが、楽しく生きるために勉強するのだと伝えたい。
楽しく生きようとするなら、あらゆる角度から自分を知る必要がある。先人が積み上げてきたものをフル活用して、私は楽しく生き、また一歩を積み重ねようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「大人の教養」として、池上さんが下記の7項目をテーマに講義をし、それをまとめた一冊。
宗教、宇宙、人類の旅路、人間と病気、経済学、歴史、日本と日本人。どれも普遍的で、日本人としてまず知っておきたい領域だ。
日本の現在の大学は、1年次ですぐに専門分野に分かれて学習するのがベーシックになっている中、ヨーロッパでは、4年間リベラルアーツを勉強するのだそう。
社会に出ても、専門分野には長けていても、一般常識や教養が無い、と言われる若者が日本にたくさんいるのも確かだという。
「すぐに役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」慶應大学の塾長だった小泉信三の言葉。
本当の教養というのは、すぐには役に立たないかもしれないが、長い人生を生きて行く上で
自分を支える基盤になるもの。教養がしっかりしていれば、世の中の動きが速くてもブレることはない。
<宗教>
・イスラム教の経典「コーラン」の天使ガブリエルはマリアに受胎告知をした天使。
・キリスト教と同じように、イスラム教も唯一絶対の神を全面的に信頼。世界の終わりが来ると信じられていることも同じ。右と左の肩に一人ずつ天使がいて、行いをみて記録している。良いことのほうが多ければ天国、逆は地獄。
・世界のイスラム教とは15億人。キリスト教は20億人。日本国内のイスラム教とは11万人。
・仏教の基本は「輪廻」(人間を含めたすべての生きるものが死んでも再び別の人間や生き物に生まれ変わり、いつまでも繰りかえす。)と「解脱」(いつまでも続く苦しみである輪廻から抜け出し、悟りをひらくこと)「解脱」。
・ゴータマシッダールタの「涅槃に入る」(解脱して苦しみから解放される)は、仏教の理想。
・キリスト教「カトリック」は、バチカンに立派な教会を作るためのお金を「免罪符」を売り出し資金集めをした。
・キリスト教「プロテスタント」は、そのカトリックが宗教の堕落だと講義して生まれた。
・仏教は「上座部仏教」(伝統に則ったグループ)と「大乗仏教」に分かれた。
・インドや初期の仏教が残っているチベットなどは、遺体は焼いて灰を川に流しておしまい。墓は作らない。
・宗教紛争の本質。土地や資源をめぐる争いがほとんど。
<宇宙>
・イギリス「オックスブリッジ」…伝統的な大学のオックスフォードとケンブリッジ大学を合わせていう表現。
・「ドッブラー効果」…音波の振動数が異なって聞こえること。救急車のサイレンなど。
・ビッグバンは膨張する、という意味。最初は悪口だった。
<人類の旅路>
・ネアンデルタール人は祖先ではない。様々な状況でここまで滅びず、生き抜いてこれた我々人類は、とても優秀。
<人間と病気>
・メラトニンというホルモンは外から受ける光に応じて分泌量が変わる。夜になると分泌される。夜眠くなるのはメラトニンのおかげ。同時にがん細胞の増殖を抑制する働きがある。
<経済学>
・ケインズは、財政で赤字を出しても構わないと考えた。国を借金をしてでも、世の中に新しい仕事を作る。国債を発行して国が公共事業をすればいいと考えた。
<歴史>
・歴史はひとつではない。わような歴史観があることを理解する。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。自らの経験にのみに頼るのは愚か、ということ。
<日本と日本人>
・安土桃山時代に来日したポルトガル人が、日本語とポルトガル語の辞書を作り出した。「ニッポン」「ジッポン」、「ニッフォン」という読みがアルファベットで書かれていた。それが中国に渡り、ジパングになり、ジャパンになった。ジャパンの語源はニッポン。 -
話題になってたほどには、おもしろく読めなかった。読みやすくはあるけど。池上さんの本のなかで、そんなに突出した内容であるようには思えなかったなぁ。
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池上さんの本によく出てくる内容ですが,これまでよりわかりやくす解説しています。
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宗教、自然科学、歴史、病気、そして日本人、全てが、地続ききになっている事に気がつかされる。我々はどこからきて、どこへ行くのか?その人類の抱える問題に、立ち向かうヒントがここにある。
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教養入門に最適。何を学ぶかわからなくなったらまた読みたい一冊。
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印象に残った内容、考えたことを下記に示す。
★風土によってその土地に合った異なる宗教が生まれる。
<例>
・ユダヤ、キリスト、イスラム
※砂漠の厳しい環境→厳しい一神教
・日本
※自然が豊富なため、様々な場所に神が宿るという八百万の神という考え方
・ユダヤ→民族宗教
キリスト→世界宗教
・「仏教」の「仏」はブッタの意味。ブッタをお釈迦様と呼んでいる
・仏教では生きることは「苦行」という考え方。「悟りを開く」ことは苦行である輪廻から解放されることを意味する
・上座部仏教→修行し、悟りを開いたものが救われる
大乗仏教→みんな救われる
・放射年代測定法
→炭素の同位体「炭素14」の残量で死んだ日を推定する
・細菌→生き物 、 ウイルス→単体で生きられない
・アダムスミス
→富とは国民の労働では生産される必需品と便益品である
・ケインズ → 乗数効果
・4大文明 → 文字と紙の発明による知見の蓄積
・出来事の間の論理、因果関係を読み取ることが歴史の面白さ
・「日本」由来
1 太陽のもとの九人
2 中国大陸から見て「太陽が昇るもと」 -
構成が面白い。
単に受け取るだけではなく、それを現代に生かし、より良い社会をつくり、より良い人生を築いていく。それがリベラルアーツというものの価値なのです。
すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐに役に立たなくなる。
すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると、役に立つ。 -
それぞれのカテゴリについてバラバラにあった知識がまとまった感覚になった。
分かりやすく、読みやすかった。