いまこそ「小松左京」を読み直す (NHK出版新書 629)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886298

作品紹介・あらすじ

危機の予言者、小松左京

戦後日本を代表するSF作家として知られる小松左京。その作品は、大規模自然災害、ウイルス・パンデミック、科学技術の進歩と限界等、現在の私たちが直面し、未だ解決できない問題を先取りするかのようなリアリティを持っていることから、いまふたたび注目を集めている。作家としての出発点『地には平和を』『戦争はなかった』、日本SFのオールタイムベスト『果しなき流れの果に』、460万部超の大ベストセラー『日本沈没』、カルト的な人気を誇る『ゴルディアスの結び目』、未完の遺作『虚無回廊』等、小松の仕事を画期する代表作群を読み解き、「SF作家」にとどまらない、戦後最大の知識人・小松左京の思索をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本を代表するSF作家の一人、小松左京さんの代表作品を読み解いた新書。小松さんの小説をまずは楽しみたいという方は、本書は読まないほうがいい。ネタバレ満載で作品を解説したもの。
    随分前に読んだ作品を思い出しながら読んだり、まだ読んでいない作品のところは、サラサラとななめ読みで。
    小松左京さんの作品を制覇したいとの思いはあるのだが、まだ果たせていない。
    お亡くなりになってから10年の節目に、チャレンジする良いタイミングかもしれない。

  • NHKEテレ「100分 de 名著」の「小松左京スペシャル」で解説者を務めた宮崎哲弥氏のテキストを大幅改稿。「100分 de 名著」放送時の薄いテキストを持っているので、特に読まなくてもいいかなぁ・・・なんて思ってたんですが、目次を見たらすっごい加筆されていて、書き下ろしの第2章で鴨が大好きな「果しなき流れの果に」を取り上げていることもあり、速攻買いました!
    「100分 de 名著」で取り上げた「地には平和を」「日本沈没」「ゴルディアスの結び目」「虚無回廊」に加え、「戦争はなかった」「ヤクトピア」「果しなき流れの果に」「神への長い道」「彼方へ」「岬にて」「結晶星団」「雨と、風と、夕映えの彼方へ」についての解題も追加。めちゃくちゃ読み応えがあります。古めの作品を中心に取り上げてくれているのも、古いファンとしては嬉しい限り。

    哲学者であり社会学者でもある宮崎氏の小松作品解題は、実に刺激的で知的興奮に満ち溢れています。
    もちろん、一個人の考えであって、様々な解釈が可能なところが小松作品の醍醐味の一つでもあるのですが、鴨的に宮崎氏の文章はとてもすんなりと腑に落ちるところ多く、圧倒的な知的大伽藍を築くかのような重厚な小松作品の一端を少しでも理解できたのかな、と思いました。狭義の自然科学だけでなく、宗教学や哲学、歴史学の知識と知見も総動員して解題にあたる宮崎氏の文章は、素人には難しいところも多いです。が、それぐらい脳みそとイマジネーションをフル稼働しないと、小松作品の魅力は伝わらないのもまた一つの事実。改めて、とんでもないパワーを持った作家だったのだなと気づかされました。

    本棚に並んでいる小松作品、久しぶりに再読してみようかなー。これだからSF者はやめられません!

  • 21/12/02に、clubhouse内で「100分de名著」の「小松左京スペシャル」の回を取り上げる予定なので、参考にと思って読んだものの、ぼくには読みづらさが目立った本だった。きちんと読めたのは第一章までで、その後は、時間の都合で『日本沈没』を扱った章をチラ見した程度。番組(NHKオンデマンドで視聴)はおもしろかったんだけど・・・。

  • “僕らがこの世界と出会い直すためです”

    なぜSFを描くのか?なぜ小松左京の小説は時代を超えて参照されるのか?

    実写版日本沈没から、日本沈没2020へと行きついて、この本にたどり着いた。

    各作品のストーリー展開と、その背景を多数の引用から紹介し、その関連性や背景を読み解いてくれるガイドブック的存在。

    あぁ、自分は小松左京作品の原作を全然読んでなかったんだなぁ、と思いながら日本語の難しさに少し苦労した、、、。

    久々に本らしい本を読んで、少しお盆の昼下がりが有意義なものになったかもしれない。

  • SFのというか小松左京の宇宙観というか神話体系はある種の普遍性を有しているように思う。文学は近代小説にとどまるものではなく、まさにナラティブなのだ。

  • 近年再評価される小松左京。政治哲学、仏教思想のか学者が解釈するディープな世界。

    大震災と「日本沈没」、トランプ政権と「アメリカの壁」、パンデミックと「復活の日」。その度再評価されるSFの巨匠小松左京。

    氏の思想を宗教的、哲学的な立場から語り尽くす書。

    サイエンス・フィクションを突き詰めると神話や宗教の世界にたどりつくところが興味深い。

    かなりハイレベルな一冊。自分の力及ばず、多くは理解できませんでした。

  • 東2法経図・6F開架:910.268A/Ko61m//K

  • ふむ

  • 『日本沈没』や『果しなき流れの果に』などの小松左京の代表作のあらすじと、引用がほとんどで、あまり深い考察はなかったのが残念。しかし、小松左京を読み倒したのは子供時代だし、まだ読んでいない作品もあるので、全集でも買って読み直してみたいなという気になった。

  • 昨年7月に放送された「100分de名著」のテキストの増補改稿版。『日本沈没』『復活の日』が脚光を浴びる昨今、『果しなき流れの果に』や『ゴルディアスの結び目』などを取り上げ、著者のいう「宇宙構造探求系」作品を中心に、今なお古びないどころか、ますますその先見性に満ちた小松作品の魅力を解剖した好テキスト。社会科学、自然科学の膨大な情報から紡ぎだす圧倒的なスケールの小説群を小松氏の生い立ちやインタビューも交えて解き明かした本書は、改めて小松作品の魅力を再確認させると同時に再読したくなる。未読の『虚無回廊』を読まねば!

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著者プロフィール

1962年、福岡県生まれ。相愛大学客員教授。慶応義塾大学文学部社会学科卒業。専門は仏教思想・政治哲学。サブカルチャーにも詳しい。近著に、『仏教論争―-「縁起」から本質を問う』(ちくま新書)、『ごまかさない仏教―-仏・法・僧から問い直す』(新潮選書、佐々木閑氏との共著)、『知的唯仏論―-マンガから知の最前線まで─ブッダの思想を現代に問う─』(新潮文庫、呉智英氏との共著)、『さみしさサヨナラ会議』(角川文庫、小池龍之介氏との共著)、『宮崎哲弥 仏教教理問答』(サンガ文庫、白川密成・釈撤宗・勝本華蓮・南直哉・林田康順の各氏との共著)、『日本のもと 憲法』(監修、講談社)など多数。

「2020年 『いまこそ「小松左京」を読み直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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