運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書 710)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140887103

作品紹介・あらすじ

知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。理不尽を乗り越え、成功を手にするための方法は存在するのか。ベストセラー作家と、行動遺伝学の第一人者が徹底的に論じる決定版。

感想・レビュー・書評

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  • いつもの橘節だけではなく対談なので、他の意見も聞けてなお参考になった。印象に残った文章として、安藤さんが言う「確かに行動遺伝学の研究で知能なら60%位非認知能力でも30から40%の遺伝率があることがわかっていますが、ここで測っているのは、あくまでも一般的な知能であり一般的な非認知能力に過ぎません。わかっていない残りの能力に、その人にとっては非常に大事なことがある」と言うが、くだりが参考になった。

  • タイトルの命題は単純に考えればあり得ないが、考え方によってはありと思う。著者たちはどんな根拠でそう考えるのか知るために読みたい

    #運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」
    #橘玲
    #安藤寿康
    23/11/10出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

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  • 遺伝か環境かという話はよく聞くが遺伝が与える影響は想像以上に大きいのかもしれない。
    行動遺伝学という学問は面白いですね。

  • 著者の本を何冊か読んでいれば、その遺伝に関する考えは理解できるだろう。気になった個所は以下の通り。
    ・リベラルと保守の違い。保守派の特徴は言語能力が低い(知能が低いとは言えない)こと。言語的知能が低いと未知の世界が怖いところだと感じるようになる。そうなると友人や知り合いだけの狭い世界で生きていくのが快適。皆が自分のことを知っていれば、いちいち説明する必要がないから。これが保守のパーソナリティ。一方、言語的知能が高いと問い詰められても説明できるため、未知の世界を恐れない。違う国の文化や宗教に興味を持ち、海外で働くことも面白いと感じ、恋人も文化圏の異なる相手の方が刺激的だと感じる。これはリベラルの典型的なパーソナリティ。
    成功に外交的な性格は関係ない。実際ギャンブル依存症やドラッグ依存症には外交的な人が多い。脳科学のレベルでは外交的とは快感の閾値が高く、多少の刺激では覚醒度が上がらず、強い刺激を好むことと説明される。
    ・思春期後半で安定してきたパーソナリティを手掛かりに、自分の特性を生かせる環境を捜すべき。環境に無理やり合わせるのではなく、特性に合った環境を捜して、それに応じた知識を学習する。又は自分に合う環境を自分から創り出す。そうすることで人生における成功確率はグッと高くなる。「自分が何に向いているかを見つける」自分の能力を知る最初の手掛かりは、何に興味を関心を持つか。やりたいことが何もないという人が増えているが、ほんのわずかな「(遺伝的な素質の)起伏」でもいいから、山を登ってみる。「好き」という感覚の生まれる環境へと移動する。←子供にこれを解ってもらいたいのだが…。
    ・華僑は東南アジア全般で強い支配力を持っているが、日本や朝鮮半島ではそんな事は無い。これは朝鮮半島やにほんのヒト集団が、中国人と同程度の知恵を持っていたから。ヒト集団の認知能力の違いを無視して、華僑の分布に地域差があることを説明できない。世界の最貧国で、徹底した独裁制の北朝鮮が優秀ななロケットを次々と打ち上げている理由もこのため。

  • 知性/能力/性格といった個人の特性。
    それらは遺伝の影響を大きく受けており、また歳を重ねるたびにその割合は上昇する。

    この事実を直視せず、育児や教育あるいは政治や社会の方針を展開しても、意味は無い。

  • 橘氏、安藤氏ともに切れ味鋭い見解を示してくれるので、彼らの著書を読んでいると気持ち良い。今回もタブーとされている遺伝子に関するものだが、対談という形の本であった。お二人ともに知見が豊富で、遺伝学の素人で読解が苦手な私にとっては、かなり読み進めることが困難であった。内容的にも、それぞれが以前書かれていたものと大きな違いはなかったように思われ、新しい気づきはそこまでなかった。

  • 「言ってはいけない」の橘氏と、行動遺伝学の泰斗である安藤氏による対談形式で、最新の行動遺伝学の研究からから導き出さるれている事実と、その事実を前提に教育のあり方等様々なテーマが議論されるている。
    遺伝の影響を受けていない表現型や知能、様々な能力、パーソナリティはないという不都合な事実を正しく認識し、その事実を前提に世の中で起こっている事象を理解しないと間違いを起こしてしまうし、皆が生きやすい社会は実現できない。遺伝的な適正を見つけることが幸せにつながることを教えてくれる1冊。

  • 行動遺伝学が日本で流行らないのは、単純に理解できる人が少ないからでは。学校教育で統計を教わった人が増えてくれば、そのうち流行るんじゃないだろうか。

  • 面白かったけど、題名はこれが的確なのか?
    行動遺伝学という学問から見た、真実に
    ある程度の衝撃を受ける。
    知らなかった‥というのが本音、
    もうちょっと違うタイトルでも良かったような気がする。

    ヒトゲノムを解析する驚異的なテクノロジー、GWAS=ゲノムワイド関連解析、ジーワスの裏付けの事実を知る。

    人生の全てに遺伝が関わっているのだから、
    もちろん運も例外ではない。
    と、対談相手の安藤先生も言っている。

    ・偶然の出来事の26%は遺伝で説明ができ、
    本人に依存する出来事との遺伝率30%と統計的に
    優位な差はない
    ・親から子へ受け継がれる遺伝子の顕性遺伝と潜性遺伝がある。ハンチントン病は顕性遺伝で、変異型の遺伝子が一つでも発症してしまうけれど、大人に塗らないと発症せず、その前に子供を産んでしまうことで遺伝子が生き延びている例である
    ・親の経済格差が子どもの教育格差を生むとの予測と同レベルで、遺伝子を調べたポリジェニックスコアにより、子どもが大学を卒業するかどうかの予測と一致する、受精卵をゲノム解析した時点で、これから生まれてくる子どもが大学を卒業できる可能性が高いのか、低いのかわかってしまう
    ・欧米では保守とリベラルの逆転現象が起きている。欧米のリベラルは遺伝ガチャを容認し、運の平等主義=遺伝決定論を主張しており、保守派は遺伝よりも本人の努力を重視している
    ・日本では素朴遺伝観の域を出ず、人の能力を決めるのは遺伝ではなく環境だ、大事なのは教育だとされる批判がある
    ・遺伝は内在+不可変、環境は外在+不可変となり、遺伝と環境は対立し、一方が正しければもう一方は間違っているという議論になりやすい
    ・外在でも不可変なもの、自分では変えられない環境要因、家庭環境や生まれ落ちた地域社会、時代背景など、変えられない環境はさまざまある
    ・内在でも変えられるもの、努力であり自由意志でコントロールは可能だが、環境もまた遺伝の影響を受けており、遺伝が影響する領域は環境にも及ぶ
    ・遺伝率を見ると計算や認知、学歴のような知能だけでなく、やる気や集中力のような性格とされるものも、ほぼ半分は遺伝で説明できる
    ・人間関係や家族関係、子育て、宗教、スピリチュアリティの要素にも3割程度の遺伝率が見られる
    ・遺伝率の混乱、ある人のIQが100の時スコアのうち50が遺伝で決まり、残りは環境や学習で決まるということではない!その人の属する集団のばらつき全体のなかで、遺伝によって説明できるばらつきの相対的な大きさが50%という意味である
    ・人生は遺伝だけで決まるわけでも、環境がすべてでもなく、コンディションも加えたランダムな組み合わせである
    ・統計学による平均への回帰により、通常どの能力についてもサンプルを多く集めグラフ化すれば、正規分布し、ベルカーブを描く
    ・子どもをあたりにしなければという強迫観念
    ・知能にせよさその他の能力にせよ、持って生まれた能力を社会で最大限に発揮できることが、自分らしく生きることであり、それを阻むのが環境なのだから、リベラルの理想「遺伝決定論の批判」が実現すれば、生まれや育ちのような環境の違いはすべてなくなり、遺伝率は100%となる
    ・問題は遺伝的な特質のなかである表現型を高く評価し、別の表現型を嫌ったり排除したりする社会の構造である
    ・言語能力が低かったり、心の理論がうまく構築できない子どもは、未知の世界を怖いところだと感じるようになる、友人や知り合いだけの狭い世界で生きて行く方が快適になるだろう、これが保守のパーソナリティとなる
    ・対して、言語的知能が高いと、問い詰められても説明できるし、未知の世界を恐れる理由がない。違う国の文化や宗教に興味を持ち、留学したり海外で働くことを面白そうだと思い、恋人を作る時も、異なる文化圏の相手の方が刺激的だと感じる-リベラルの典型的なパーソナリティである
    ・過去の経験から予測できる範囲で生きていくというストラテジーを取るのが保守、予測できないから出来事を面白いと感じて経験の幅を広げていくのがリベラルのストラテジー
    ・知能は60%、非認知能力でも30〜40%の遺伝率はあるが、これはあくまで一般的な知能や非認知能力で、測られない残りの、本来の能力があり、
    それを発揮し、生きていくこと、生きることのリアリティを大事にしていくことが大事

    などなど、私の気になったところ〜

    結論:遺伝的なアドバンテージをフックにして、好きなこと、得意なことに人的資本を集中させる。そのうえで自分の強みを活かせるニッチにら活動の場をずらすことで、それなりに成功を手に入れることができるのではないか…とのこと。

    やはり、自分のなかで気になること、興味を持つことというのは、ある程度遺伝の要素もあるのかもしれないなあ。子どもを育てた経験からも納得できる部分もあり、画一的な子育てや教育には、意味がないんだなあと実感する。親がこうだからとか、そんな決めつけも必要ないことも知り、それなら私はどう生きるのか、私の好きなこと、得意なことは何なのか〜と改めて自分を見直すきっかけにもなった。良かった!行動遺伝学、面白いかも。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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