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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911884
感想・レビュー・書評
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中東の最近の政権の交代、あるいは、シリアの泥沼化など、中東の状況は、中東に石油を大きく依存する日本にとって気になる。
山内先生は、中東問題の大家。今年の3月で東大を退官されるらしい。
これまで読んだ、中東本は、大部分が事実を述べているが、この本は、アメリカとの関係、日本との関係から、大きく、中東問題を分析している。
(1)(これからの中東の対立軸は)アラブ対イスラエルの政治対決が基本座標であるが、スンナ派アラブの支配エリートにとっては、テロとの戦いにおける穏健派対テロ勢力、イランが影を落とすスンナ派対シーア派という対立こそ無視できなくなっている。(p188)
(2)2010年9月に日本政府と国際石油開発帝石は、イラン南西部のアザデガン油田開発から完全撤退する方針を決めた。米政府の制裁措置対象に国際石油開発帝石が含まれる可能英た高かったため。(p230)
(3)日本経済の生命線であるホルムズ海峡をテロや海賊から守るには、オマーンとの関係の戦略性を重視する政策が求められる。(p240)
アラブの春が、日本とっていい結果になるとはわからないという立場から、冷静に中東の政変と日本の関係、米国との関係を分析している。
骨太な名著。詳細をみるコメント0件をすべて表示