- Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
- / ISBN・EAN: 9784142230501
感想・レビュー・書評
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主体性が足りないという指摘を受けることがある。主体的ってどういうことだろう。荘子の定義は「完全に身を任せられること」。依存できること,ということなのであろう。
ちょっと目からウロコである。
個人的にはその理由は受け身の仕事だけで手一杯で主体性を発揮できるほどの余力がないことにある。そういう観点からしても「明日できることは今日やらない」というマニャーナの法則にでも指摘されている事項は重要である。
そして「もちまえ」。好きなこととか得意なことではなく「無意識の領域に入ったもの」。似ているのかもしれないけれど,こう言われると答えが見つかるような気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さすがに著者の筆は上手い。荘子のポイントをわかりやすく解説してくれている。
受け身で、何事にも拘らず、自然に生きよ、という荘子のメッセージは、規則やスケジュールに縛られた現代社会の対局にあるもの。荘子の世界にあこがれることすらなく、今の社会の価値観を絶対のものとして生きていくことがあれば、たとえ社会で成功したとしても、必ずしも幸せとはいえないかもしれない。
社会で生きていくための規範を綴った論語との対比で語られる部分は、またこれも興味深いですね。 -
番組と一緒に読むとなおよし。
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■書名
書名:『荘子』 2015年5月 (100分 de 名著)
著者:玄侑 宗久
■概要
完全な受け身――
それこそが自由なのだ
今から約2300年前の中国で成立したとされる思想書『荘子』は、
一切をあるがままに受け入れるところに真の自由が成立すると説く。
後の禅の成立に大きな役割を果たし、西行、芭蕉、漱石など多くの
人々に影響を与え続けている。僧侶にして芥川賞作家である玄侑宗久
が、『荘子』の魅力を存分に語る。
(From amazon)
■感想
凄いですね、この考え方。
「受け身が完全な自由」という考え方は、深いですね。
でも、この考え方でこの世の中を過ごした場合、生きづらい世の中
だと思います。
よほど極める必要があります。
でも、考え方自体は嫌いではありません。
自然に任せる、他人に流される、人の言う事なんて確実なものは
ないのだから、どちらに流れても変わらない。
ここら辺の考え方は好きです。
もう、こういう本は哲学の世界ですから、いかようにでもいいよう
はあるわけで読む人が何を信じ、何を実践するかだけだと思います。
あらを探しても、根本の考え方、前提が違うのだから、論じるだけ
無駄であり、慧遠字ている時点で、ほとんどの哲学を自分のものに
出来ていないという事になります。
ほとんどの本で言われている事は、諸行無常なわけで、ここを正と
するなら、全ては流れているのですから、どこかで、ある教えが
正となり、どこかである教えが正になりを繰り返す事になります。
と、こういう事を言い出すともうキリがないので、終わりです。
仏教、荘子、老子の考え方は、自分にあっている気がします。
■自分がこの作品のPOPを作るとしたら?(最大5行)
行き詰っている、息詰まってる人生の方へ。
読んだ後、体が、心が楽になります。
昔の英知に触れてみませんか?
■気になった点
・人間は自分と違った考えは、すぐに間違いだと決めつける。
・効率を追い求める事は、恥ずかしい。
・人の頼めることと思った瞬間から、人生は薄くなります。
・人の考えや言葉は当てにならないものだから、突き詰めれば
どっちでもいい。
・何事も主張すると、悪徳に変わってしまう。
・どんな変化にも従うということは、何も持たないという事です。
・状況が変われば、出来事の意味も変わってくる。 -
孔子や老子、そして孫子などは名が売れていていくつか読んだが、荘子は今回が初めてである。解説者が作家であり僧侶でもある玄侑宗久氏だった。宗教家だけあって、ただの作家さんとは一味違うという印象をもった。
「老荘思想」は禅に通じるものがあるそうで、それを実践しておられるのだということを、言葉の端々から感じることができた。中でも「何も主張しないという主張」というのが、荘周の言う究極の思想なのだという。
レビューを書くためにテキストを改めて熟読することができた。荘周という人はいったいどんな人だったのか。老子とはそれ程親しかったのか。いろいろ考えた。
ブクログのレビューには出来る限り多くの引用を登録した。そしてたくさんテキストを引くことによって「老荘思想」の理解を深めることができた。列挙した引用を読むだけでも『荘子』のエッセンスが分かるよう、可能な限り多数のテキストを引いておいた。これにより自分自身の「老荘思想」理解にも手助けとなった。後日『荘子』のテキスト本文にも触れてみたいと思う。 -
(2015.06.02読了)(2015.04.27購入)
Eテレの「100分de名著」のテキストです。
儒家の曾子と区別するために荘子は「そうじ」と読むことになっているのだそうです。
今から約二千三百年前に、荘子(荘周)とその弟子たちによって書かれたもの、ということです。「荘子」は、「内篇」「外篇」「雑篇」の三つに分けられています。
『荘子』は、一切をあるがままに受け容れるところに真の自由が成立するという思想を、多くの寓話を用いながら説いています。(5頁)
個人の幸せというものをどう考えるかという視点に立つと、荘子の思想は欠かせないものなのです。(6頁)
面白そうなのですが、理解し辛いように思います。いずれ原典に当たってみましょう。
【目次】
【はじめに】心はいかにして自由になれるのか
第1回 人為は空しい
第2回 受け身こそ最強の主体性
第3回 自在の境地「遊」
第4回 万物はみなひとしい
●荘子(12頁)
『荘子』という書物は、荘子自身の作品を中心にして、道家の論文や古くからの寓話などを編集したものだとされています。現在伝わっているのは西晋の学者郭象が編纂したもので、内篇七篇、外篇十五篇、雑篇十一篇の合計三十三篇、約六万五千字から成っています。
●しあわせ(42頁)
天が為すことに合わせるしかない。それが「しあわせ」という言葉の由来です。
●無心(50頁)
柔道でも剣道でも、試合で相手と対峙した時、相手がどんな動きをするかシミュレーションするよりも、無心でいるほうが強い。予測と違った動きをされた時の反応の遅れは致命的です。
☆関連図書(既読)
「孔子『論語』」佐久協著、NHK出版、2011.05.01
「論語」貝塚茂樹著、講談社現代新書、1964.08.16
「論語の読み方」山本七平著、祥伝社、1981.11.30
「老子」蜂屋邦夫著、NHK出版、2013.05.01
「老子」小川環樹訳、中公文庫、1997.03.18
「タオ 老子」加島祥造著、筑摩書房、2000.03.25
「孫子」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.03.01
「兵法・孫子」大橋武夫著、マネジメント社、1980.10.25
「洪自誠『菜根譚』」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.11.01
「菜根譚」洪自誠著・今井宇三郎訳、ワイド版岩波文庫、1991.01.24
内容紹介(amazon)
完全な受け身――
それこそが自由なのだ
今から約2300年前の中国で成立したとされる思想書『荘子』は、一切をあるがままに受け入れるところに真の自由が成立すると説く。後の禅の成立に大きな役割を果たし、西行、芭蕉、漱石など多くの人々に影響を与え続けている。僧侶にして芥川賞作家である玄侑宗久が、『荘子』の魅力を存分に語る。