闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF 252)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102524

感想・レビュー・書評

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  • はるか遠い未来の話。人類の末裔たちの物語。星間を行き来できる世界で、外交関係を結ぶために、人類が極寒の星に使節を送り込む。その使節ゲイリー・アイが語る数奇な物語。

    重厚な物語で、読み慣れない言葉もあり、読み進めるのに時間がかかった。
    17章 オルゴレインの創世伝説
    この辺りから、一気に読むスピードが上がり最後までたどり着いた。

    1969年に発表されたと解説にあったが、多様性を受け入れる社会が描かれており、とても現代的だなぁとの印象を持った。

  • ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞作品。言わずと知れたSFの名作。
    これが続き物(ストーリーがではなくて同じ世界設定の別の小説がこれの前にあるという意味)であることをあとがきで知った。そちらを最初に読んでいれば、もっと最初から入り込みやすかったかもしれない。
    訳もすごくよかった。章ごとに書き方が変わっていて、良い訳者さんだなと思った。

    全編通してとにかく寒かった!笑 冬に読めば雰囲気出て良いかな。
    これが名作だっていう前情報がなければ序盤で読むの挫折してしまっていたかも。なぜならこの小説は報告書とか伝承とかいう形をとって進むから、世界観や用語説明が一切ないのだ。
    しかし完璧に構築された世界設定や文化は、読み進めるうちにだんだん理解できるようになってくる。手探り状態で異星に来てなんとか適応しようとする使者ゲンリー・アイと同じ目線でこの世界を体験しているような気分になれるのだ。
    たとえば何度となく出てくる「シフグレソル」、読むうちになんとなく意味がわかってくるのだけれど、日本語に訳すとなるとなんだろう? 体面? 面子? 儀礼? 形式? 礼? うーん。わからないけれども、わかる。他言語を体得する時の気分そのものだ。

    それにしてもいやほんと、完璧な異世界構築には脱帽する。これがほんとの「異世界もの」だよ。ここまで徹底するのにはどれだけの知識と調査と細かな想像力が必要だったのだろう。そこに住む人間の性質に極寒の環境や動植物の存在が大きく影響しているとか。世界構築がいちいち論理的。戦争という概念がないなんて我々には信じられない国々のことも、ただのifの夢物語なんかじゃなくて「こういう文化、環境、歴史だからこそないんですよ」という説明をちゃんと与えてくれる。素晴らしいね。

    さてこの小説を特徴づけている両性具有、ジェンダーの話。ケメル期とか、動物の発情期みたいなものだよね。そう考えると確かに年がら年中ケメル状態の我々の方が異常だよなあ。実際の動物にも両性っているわけだし、突拍子のない空想と言う風には思えなくなってくる。我々の常識で言えば一見ありえない体の構造をした人々なのだけれど、読了する頃にはゲンリー・アイと同じようにこっちの方が変な人間という風に思えてくるものだから不思議だ。

    本書の所々で「男性的」または「女性的」な特徴について言及されているわけだけれど、性が固定されていない世界で唯一性が固定された「男性」のゲンリー・アイが男性性や女性性に考えを巡らせる様は面白い。目の前の人間をつい男性っぽいとか女性っぽいとか考えてしまったり、この人のこういう部分は酷く女性っぽい、とか思ったり。その視点はその星の人にはないもので、本人たちは今自分男寄りだわー女よりだわーとか微塵も考えていない。ゲンリーに染みついた思い込みからつい考えてしまうこと。それで、特に初期のゲンリーは男/女という二元論で人を捉えようとしがちだということがわかる。でも終盤ではその二元論的思考からも脱却しようとしている。
    ジェンダー問題を考える画期的な素材の小説にもなり得るけれど、一方で男性的な性質女性的な性質もはっきり書かれているわけで、はてさてジェンダー論者はこの小説をどう評価しているのやら。気になるところ。

    気になると言えばもう一つ、所謂「腐女子」の方々はこの小説を腐女子的な目線でどう楽しむんだろう? 終盤のゲンリーとエストラーベンに芽生えた友愛、あれは感動的だ。しかしBL?ではありえないし。ケメルに入れば自動的に男役女役に一時的に性別が固定されてしまう世界で腐女子的な楽しみ方はどのようにするのか、気になるところ。

    そしてジェンダー関連で最後に。ル・グィンって女性だったんですね……。読み終わった後知って、物凄くびっくりした。だって文章が感傷的じゃなくてすごく緻密で論理的でSFだから勿論科学の視点もあって……なんといえばいいのか、とにかく女性作家独特のあの感じが一切感じられなかったのだ(勿論良い悪いの話はしていない。ただ文章の傾向の話)
    というところに自分の中のジェンダー規範に気づかされ二重にしてやられたという感じ。

  • 入り込みすぎて、読後こころが…持て余すほど重い…

    ル=グインの描く未来世界、もうひとつ(?)の宇宙での話。
    極寒の常冬の星に住む、両性具有(?)の人々と、そこに降り立った大使の物語。

    ル=グインの作品の魅力は、何と言ってもその世界観の広さと重厚さだと思います。
    ひとつの連続した宇宙の話を書きつつ、そこに存在する星々は多様で、われわれとは全く違う世界、文化、宗教、生態系で生きている。そんな世界を次々と描き出す作者に、畏れすら抱くほどです。

    今回の作品も、ゲセンの世界が目前に迫るようでした。
    当初は大使ゲンリーと共に、未知の世界に戸惑い、好奇心を感じ、緊張感を持って受け止めました。そしてクライマックス、男と女である「異星人」(ゲセンの人々から見て)に再会するときには、顔をあげればそこにいる人々であるにも関わらず、再度ゲンリーと共に驚き、当惑します。
    あの長い作品を読むうち、私も彼とともにゲセンに暮らしていたような感覚がありました。

    前半部、何もかも異なる星での暮らし、交渉、結末…そして、壮大な後半部に描かれる、文化や背景をすべて超えたふたりだけの真っ白な向き合いと、私の思うどの形とも違う「愛」

    苦しくて愛おしくて、言葉になりません。

    それでも、人のこころから生まれるのは、未知への好奇心、未来への希望。
    ラストシーンに、彼の子に救われました。

  • 69年に発表された、傑作SF。発表から40年以上を経た今でも色あせない。
    ストーリーを単純にあらすじとして抽出するのなら、ほんの数行で終わってしまうだろう。だが、ル・グィンは物語ではなく、世界を書いている。我々の知る地球とは違う惑星を書き、そこに暮らす人々を書き、その精神性、文化、宗教を書いている。
    「一気読み」できるような作品ではない。咀嚼し、反芻し、ようやっと少しずつ飲み込んでいくような作品。言い換えれば、その咀嚼・反芻に耐えるだけの豊かさと緻密さを持った作品。

    最初は少しじれったくも感じるが、少し飲み込めてくると、まさに腑に落ちる。

  • 今改めて見れば、表紙が絶妙。たった一人の使節としてやってくる主人公と雪の星に棲む両性具有の人類たちの交流。その特殊性から築かれた文化は主人公に戸惑いをもたらしながらもゆっくりと受け入れていく。物語の本筋に関わらないながらも挿入された逸話も異質な世界を更に引き立ててくれていました。

  • 性別のない惑星ゲセンという舞台設定がとにかく素晴らしい。詳細なゲセン人の生態や文化の描写にただただ圧倒される。
    権謀術数渦巻く国家内外の争い、極寒の地での逃走劇、アイとエストラーベンの友情などツボを抑えた物語にもグイグイ引き込まれる。
    セクシャリティーやジェンダーなどについて深く考えさせられる一冊。

  •  まだ人類が宇宙へ出るすべを持たない惑星・ゲゼン。主人公は、極寒の惑星であるその地に、広大な宇宙を結ぶ人類の同盟・エクーメンの使節として、ひとり滞在している。ゲゼンに存在する国々の代表者に、同盟への門戸を開かせるための説得役として、彼らを刺激しないようにと、何の武装ももたず、たったひとりで。
     その地に住む人々の体は、外見は主人公たちの種族とそれほど極端な違いはなかったが、ひとつ、大きな差異があった。彼らにはきまった性別がないのだ。およそひと月に一度、彼らはケメル期と呼ばれる時期を迎え、パートナーをそのつど獲得し、その期間だけ性別を得る。
     ゲセン人は閉鎖的で、なかなか主人公の説得を容れようとしない。どうにかして彼らを説得しようと苦闘する中で、やがて主人公は彼らの政治的陰謀に利用され……

     アーシュラ・K・ル・グウィン。(※この本ではグィンと表記してあります)ゲド戦記の作者さんです。
     もともとはSF界で有名な方で、そのことは前から聞き知ってはいたのですけども、ようやく買って読んでみたのでした。もっと早く読めばよかった! むしろゲド戦記よりもこっちのほうが、個人的にはツボだったなあ。ゲド戦記もよかったですけども。

     序盤には少しとっつきにくいような箇所もありましたが、読み進めていくうちにぐいぐい引き込まれました。両性具有の人類が、それゆえの独自の文化を持ち、習慣を持ち、神話を持っている。現実離れした異空間なんだけど、そこに感じられるたしかなリアリティー、異世界の手触り! こーいうの大好きだー!

     本の後半は、主人公がゲセン人の青年・エストラーベンと二人、生き残る道を探るために、氷に閉ざされた地を決死の思いで行く道行。飢えと寒さにさいなまれる過酷な道程と、その中で生まれる異種族間の友情。序盤はどちらかというと淡々と進むんですが、一転してドラマチックな展開に。

     人間ドラマもよかったんですけども、氷雪に閉ざされたその星には大型動物がいなくて、高カロリーな食料がないので、頻繁に食事を取るのだとか、雪の種類や状態を表す語が六十通り以上もあるだとか、そういう設定に猛烈にときめきます……

    • HAL.Aさん
      >kumakuma10さま
       コメントありがとうございます。
       いいですよねー! このレビューを書いたあとでル=グウィンを追いかけ始めたので...
      >kumakuma10さま
       コメントありがとうございます。
       いいですよねー! このレビューを書いたあとでル=グウィンを追いかけ始めたのですが、いま読んだ範囲では、SFで「言の葉の樹」、ファンタジーで「西のはての年代記」が、グウィン女史の最高峰であると感じました。(一度ハマると同じ作家さんの本を読みあさる傾向があるのです……)いつかお気が向かれましたら、そちらもぜひぜひ。
      2012/06/30
  • 設定は好みなのに、キャラクターが全く掴めず、政治という難易度の高い話が混ざり込み頭がヒートした。つまり……面白いとは思えなかった。
    というのが、全体の感想。

    侍女の物語と同じで、設定は凝っていて好みだけどキャラクターと物語が難解。

    惑星<冬>ゲセンに降り立ったゲンリー・アイがゲセンと人類同盟エクーメンとの同盟に奔走するというのが大まかな物語。
    ただ、そこに付随する政治的思惑がよくわからなかった。

    ・ゲンリーが人類同盟エクーメン側の人間で、一人で惑星ゲセンにやってきた。
    という事までは理解できた。

    :あらすじ:
    ゲセンには二つの大国がある。ゲンリーが最初に訪れたのはカルハイド王国。王国という名の通り『王』が支配する国。宰相エストラーベンの手を借りて、同盟の話を王に持ち掛けようとするが、エストラーベンの失脚とともにゲンリーの同盟の話も怪しくなる。
    次にオルゴレイン共和国に話を持っていくが、こちらでも政略に阻まれ、投獄される。
    エストラーベンに救い出され、ゲンリーとエストラーベンは氷原をそりで渡る事にする。その旅で二人の想いが深まり友情を築く。
    カルハイド王国に戻ったゲンリーは通信機で宇宙船(星船)と連絡を取り仲間を呼ぶが、エストラーベンが見つかり射殺される。
    ゲンリーは再びカルハイド王に会い、ついに同盟を結ぶこととなる。

    こんな感じかな。

    この物語はキャラクターの思惑がはっきりと書かれていない。『何だか分からないけど、たぶんこうだろう』と読者がくみ取らなければならないので、正直『掴めない』
    ゲンリーがエストラーベンを嫌う理由も正直、最後まで分からなかった。「利用できなくなったから」なのか「他人の言葉を鵜呑みにして嫌った」なのか。おそらく後者なのかもしれないが、私はその「他人の言葉を鵜呑みにする」キャラが苦手で掴めない。

    そこまでわかってるなら、ここまでわかるだろと思ってしまうので、「ここまでわかるけど、そこまでわからない」と言うようなキャラも苦手。ゲンリーはそういうキャラだし、エストラーベンもそのようなキャラであるのと、「ゲセン」の文化が「助言や意見を言う」事を控える事を良しとする……という暗黙の価値観がさらに難易度をあげる。

    おかげで、キャラクターが何を思っているのかがほとんどわからない。

    政略として追放された……という解説があったのでそうなのかと思ったが、ゲンリーの立場の変化も分からなかった。エストラーベンの追放は説明があったので分かりやすかった。



    性についてのあれこれも説明が多々出てくる。

    ゲセンの人々は普段は性別を持たず、発情期『ケメル』になり相手を求めてどちらかの性別になる。ケメル期は誰もが仕事を休んでもいい……など、事細かに書かれている。なぜそうなったのかという説明も『厳しい環境下でそのように適応した』とある。確かに、動物の発情期は『その方がいい』からそうなっている。年がら年中発情期の人間は『環境を意図的に選ぶ』事が求められているし、おそらく他の動物の発情期と違ってその性衝動もそれほど強くはないのだろう。

    ただ、ゲセンの人も『(ほぼ)月に一度』というケメル周期なのは、人間の特性に合っているし完全に別種の存在ではないとも思う。これは生理周期と似ている。女性も生理周期に合わせて性欲の増減は起こる。(ただ、必ずとは言えないし、個体差も大きい)こう考えると、ゲセンの人々は女性の体に近いのだろうかと思ってしまう。

    男性でも女性でもないということだが、中性的とはいえ女性と男性の一番の違いは『腰』だと思う。骨盤の違いは男女の大きな差の一つだ。ゲセンの人の骨盤はケメル期だけ柔らかく広がるような構造なのだろうか。受精を行わなかった時の卵子の排泄(生理)はどうなっているのか。精子と同じく、体に吸収されて消える構造なのだろうか?胎盤の準備は?etcなど、正直『性別が変わる』という設定には謎が多い。むしろ、『どちらも持っているが、発情期に一方がより強くなる』と考えた方が現実的な気がする。
    この場合、男性の外性器は常にある事になるし、女性の生理もある事になる。さすがに性器の形まで事細かには書いていないので、この辺りはさっぱり分からない。

    文化については細かく書かれていた。ケメル期は誰にでも平等に与えられている。ケメルに入った者たちは、建物に集まって相手を探す……乱交のような場もあるとも。ただ、基本は一対一の関係で特定の相手としか『ケメルの誓い』は交わされない。

    子育てについては『家族郷で育てる』と簡単に書かれていて、よくわからなかった。それは血族がそこに集まって皆で行う子育てなのか。二人が責任をもって育てるのか、それとも母親となった者が中心に行われるのか。もっと別の仕組みなのか。子供の名前はどうなるのか。

    性についてやたら詳しく書かれているが、ケメルの相手は一生に一人というわけでもなさそうだった。エストラーベンには過去に三人のケメルの相手がいたことが分かっている。ゲンリーは過去の恋人の話が一切出てこないので、仕事人間で恋愛はしてこなかったのだろうかと思う。
    他にケメルの話が出てくるのはカルハイド王。カルハイドの宰相は王のケメルの相手がなるらしい。宰相は頻繁に変わるとあるので、王が飽きたら宰相(恋人)が変わるという事らしい。エストラーベンの場合も同じく恋人であり、政治的に失脚したから恋人の立場から追われたということらしい。王様が間違った相手を宰相に選んだら国が滅びそうだな。



    最後の解説に『氷原でそりを引く二人の姿』というイメージから物語が始まったとあったので、いろいろ納得してしまった。氷原のシーンは物語のラスト三分の一ほどをしめている。
    雪と氷の世界の描写が細かい。

    そしてその極限下で親しくなっていく二人……吊り橋効果かなと思ってしまう。真っ白な世界で話す相手が一人だけなら、親近感が湧くだろう。そして、エストラーベンが何かと世話を焼くので性別はないとなってるけど、エストラーベンが女性にしか見えない。力もゲンリーより弱く、何かと助けられている。役割分担が、ゲンリーが男性でエストラーベンが女性だ。

    飢えと寒さに苦しむ描写は迫ってくるものがあるが、ふと……エストラーベンはひげが伸びるのだろうかと考えてしまった。そのような描写がないのでおそらく伸びない……のかなと。対して、ゲンリーもそのような描写はないがおそらくひげが伸びているだろうと勝手に妄想してしまう。

    ラストはどうなるのかなと思ったが、エストラーベンが安全地帯に行くまで見送るとゲンリーが言い出し、二人で凍えて死にそうになったところでエストラーベンが警備人の前に飛び出す。ゲンリーは自殺行為だと思ったらしいが、見送るなどと言い出したゲンリーの為に無謀にも飛び出したとしか思えない。ゲンリーには射殺命令も何もないのだから、もっと動きようがあった気がしてしまう。二人で身を隠す意味はあったのだろうか。

    もちろんここは『疲れていて、思考が働かなった』という言い訳も成り立つ場面ではある。

    エストラーベンの死が意味が分からず、死なせた方が感動的だからという物語の都合が優先されているような気がしてしまう。

    設定が凝ってる分、説明的な部分も多く、そのために伝説や民話を織り交ぜて説明的にならないようにしている部分もあるのは分かるが、この世界の伝説や民話が章ごとに挟まれるので、物語の時間軸が断ち切られる。さらに民話の中の登場人物の名前と物語の中の登場人物の名前が一緒なので、一瞬『物語の続きなのか』と勘違いもしてしまう。



    全てが男性基準で語られるので『男性の世界』のようにも感じてしまうけど、これはそうじゃなくて、性が一つなら語られる言葉も「一つ」になって女性(男性ではないものの)基準の言葉が必要ないのだと思う。常に『彼』という言葉なのはたぶん、そのせい。でも『彼』という言葉に引っ張られて男性イメージになってしまう。イラスト一枚で良いから欲しい。見た目どうなってるのだろう。
    中性的な中年ってどんな感じなのだろう。子供と老人はある程度分かるけど、三十代~五十代あたりの『中性』がイメージつかない。



    物語は難解、キャラクターは掴めない。
    世界観の凝り方は無茶苦茶好きだけど、価値観の「言わなくても分かれ」は無理すぎなので説明くれ。

    凝った世界観に浸りたい人や、真冬の世界描写を堪能したい人はいいかもしれない。……これ、真冬に読んだらそれはそれで「寒くて勘弁してほしい」と思うんだろうな。



    読み終わってしばらく考えていて思った。
    これ『雉も鳴かずば撃たれまい』に似ている。自分を追いかけている人間の前に飛び出さなければ殺されなかったエストラーベン。『雉』だよね。と思ってしまった。
    『雉も鳴かずば撃たれまい』の物語も好き。

    語られない部分が多すぎて、正直、意味が分からない物語ではあるけど、語られないから『読者が好きに想像できる範囲が広い』のかもしれない。

    好き嫌いが分かれそうな物語だなと思う。私は部分的に好き。

  • 完璧すぎるが故に難解

  • この不思議なタイトルの意味が回収された瞬間が個人的に最も興奮した気がする(?)後半は文句なく面白く、主人公ふたりの関係のこまやかな描かれ方がとってもよかった。
    序盤はこの作品独特の設定や世界観についていくのに必死でなかなかストーリーに追いつけなかったので、また読み返したいと思う。2回目の方がいろいろと理解が進んで楽しそう。

著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル=グウィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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