- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150116804
感想・レビュー・書評
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素晴らしく丁寧な状況描写の積み重ねが見事。
淡々と書き連ねられていく丁寧な描写が、その「場面」を鮮明に浮かび上がらせていく。
熱気のあるような文章ではないし、派手さも全くと言っていいほどない。
そこで描かれていくのは、「宇宙飛行士ピルクス」が過ごした日常の断片。
時には危機一髪の事件に巻き込まれたり、時には摩訶不思議な事件の渦中に身を置いたり。
数々の事件の「場面」を、先にも書いたように、淡々と書き綴っていく。
淡々とした文章でありながら、そこで描かれるのは極めてドラマティックでエキサイティングな物語。
この、文章と物語との温度差が非常に面白い。
淡々と静かなトーンで、読み手をぐらぐらと揺さぶるような激動の物語が綴られていく。
この対象的な表現手法の組み合わせが、お互いの奥深さを何倍にも増していると思う。
とにかく面白かった。
下巻も楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これも積読してたもの。昭和に単行本で読んで以来の再読♪
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「ソラリスの陽のもとに」と「泰平ヨンの航星日記」に続くレムのSF3冊目。
テイストとしては、超ソリッドなソラリスと、超脱力系の泰平ヨンのちょうど中間くらいで、
皮肉の効いたユーモアを交えたミステリ風SFという感じ。
発表が40年前なのでかなりクラシカルな雰囲気だけど、
そんな古き良きSFの雰囲気も楽しめて、
中学くらいにSF読み始めた頃の感覚を思い出すなあと感じた。
下巻もあるので引き続き期待。 -
宇宙船パイロットを主人公にした短編集で、加速時や等速時の操行時の様子や、大気のない月面上での爆破シーンなど、科学的知識に裏付けられた描写が圧巻でもありつつ、やや重いとも。あまりに細部まで念のいった描写であるため、科学的知識のない私でも「これはリアルだ(ろうな)」と納得してしまうほど。短編のオチがいずれもアイロニカルなのも良い味わい。
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2009/2/9購入
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アイロニーもいいが冒険譚として読むにもよし、1971年の作品だと感じながら読むと、別の驚きも。