死して咲く花、実のある夢 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-23)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 296
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305666

感想・レビュー・書評

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  • 猫と軍人とSF
    大黒くんがかわいい
    おはぎが食べたい

  • 興味深いストーリーだった。でもお産直前に読む本ではなかったかな…。

  • フムン。久しぶりの神林だけど、相変わらずはずれのない作家だよなぁ。はずれになる理由があるとするならハヤカワのサイズがでかくなったぐらい。早く戻せ馬鹿。で、感想。おもしれぇ。月並みな表現だが本当に面白い。何がってまず、突如「ここは死後の世界」とかなる。異次元とかじゃない。そして、死とは何か、意識とは何かの解釈。この解釈が本書の鍵となる。この人だいたい意識とは?世界は本当に見えたとおりなのか?って題材だけど毎回解釈が違ったり視点が違う本を書いてる。すごいと思う。こんだけ数を出してるのに解釈をほぼ毎回異なってるのだ。
    雪風、海賊シリーズに次ぐ面白さ。神林全開。

  • 「納得して、生きろ。疑ってはいけない。自分を信じろ」

    降旗少尉以下、知念軍曹、大黒一等情報士の3名は空を飛んでいたクジラ(ハンドキャノンで撃ってみた。肉の塊をゲットした!)のステーキを食いながら現状の打開策を模索していた。
    彼等首都圏情報防衛軍団兵士が遂行する任務は、首相の行方不明になった愛猫“オットー”を捜し出すこと。
    作戦名は「マタタビ作戦」。
    たかが猫、しかしオットーは、脳に貴重な情報が入力された、全人類の未来を決する猫だった。
    何とか目標を発見したものの、コンタクトを試みて失敗。本部との通信は不能となった。
    現在地不明のここは、すでに死後の世界なのか? その辺に醤油は落ちてないか?!

    生を願うか、死を選ぶか。
    意識とは? 現実とは? 世界とは? を論理的に、ユーモラスに描いたSF小説。

  • 「納得して、生きろ。疑ってはいけない。干渉があるだろうが、まどわされてはいけない。自分を信じろ。いいな?」

  • 神林長平の中で一番印象的だった。読むたびに泣けてきます…

  • この方の作品は、変容する世界がよく出てきて、足元が頼りなくなる感じがするのですが。
    今回は、その究極の形かもしれません。

    生と死のあいまいさ。
    死、というものの定義は難しいです。心臓が鼓動を止めることなのか、脳が活動を停止することなのか。熱反応がなくなることなのか。
    あるいは。
    コミュニケーションが取れなくなること、なのか。
    コミュニケーションが取れなくなる=死
    という方程式は、乱暴に見えますが、説得力も持っています。
    死者と会話はできない。それは自明の理ですから。
    軍の任務で知らない間に死の世界に入り込み、自分の意思で生き返ることが可能だと知ったときの三者三様の選択。

    完全に死ぬことを選んだもの。
    生き返ることを選んだもの。
    生まれ変わることを選んだもの。

    それは三人の性格というより信念の差から生じるもので、生き返ることによって世界は変容する。
    なぜなら、彼が死んだことは「なかったこと」にされてしまうから。
    「死にそうな目にあったけれど助かった」ことにしなければならないから。
    そのゆがみはさまざまに拡散し、死んだ母親が生きて目の前に現れたりする。
    その矛盾を飲み込んで生きていかねばならない彼が、ある意味一番大変な選択をしたのかもしれません。

  • この世には二種類の人間がいる。
    死んでいることに気づいている者と、そうでない人間の、二種類。
    自分の死に気づいている者は、当然ながら死んでいる。
    死んでいることがわかっていない人間は
    生を信じるがゆえに、やがて死を受け入れざるを得ない。
    ようするにこの世は死者でいっぱいだ。

    タイトルがアレなせいか絶版になっていた本ですが、刷りなおされました。自分は祖母の死しか経験していませんが、そのことを想起させられる、そんな本です。

  • 神林氏の小説は、哲学的な内容をバックグラウンドにしながら、哲学的文学にありがちな、登場人物たちの悶々とした内面描写をあまり感じません。たぶん神林氏の描くキャラ達は自分なりの独自の哲学(線引きと割り切り)が出来ているキャラばかりだからだと思います。登場人物たちは自らの生き方を貫きながら、同時に読者には哲学的な問いかけをしている。

    この「死して咲く花、実のある夢」もそんな話。自分達は既に死んでいて、生死の狭間にいる。そんな状況に置かれても自らの価値観に準じる三人の登場人物。
    終始、非現実的な展開が繰り広げられますが、決して荒唐無稽ではない。生死の狭間という状況に置かれながら決して迷わない(一人除く)人物たち。
    冗長に説明文を入れる事で主張するのではなく、淡々とした内容で生死についての話が綴られています。

  • この世には二種類の人間がいる。
    死んでいることに気づいている者と、そうでない人間の、二種類。
    自分の死に気づいている者は、当然ながら死んでいる。
    死んでいることがわかっていない人間は
    生を信じるがゆえに、やがて死を受け入れざるを得ない。
    ようするにこの世は死者でいっぱいだ。

    解説 石堂藍

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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