スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.07
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本棚登録 : 921
感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310011

感想・レビュー・書評

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  • 男性向けファンタジーと弁えて読めば設定は面白いし哲学もいい。
    ただどうしても片側世界、特に女ではなく男性の為に存在する少女だけなので感情が哀しく薄っぺらい。
    中身と無関係に、男の料理に対する作者の言葉があまりに的確で大笑いしたが、実際は傍迷惑な男の料理かなw 女だって料理下手はいくらでもいるがそこに料理皆伝レベルの蘊蓄はついてこない。この差がでかい。

  • 20220105読了
    #島

  • 人間を維持するために作られた人工妖精たちの、自意識からの苦悩と、絶望と、
    そこからの解放。

    技術が発展しようと、SFな設定が横たわろうとも、
    そこで息づくのが人間(あるいはそれに似せた何か)である以上、感情と、それに基づくドラマは生まれる。

  • 表紙とタイトルからラノベの香りを感じていたが、思っていたよりずっと早川書房=SF寄りの話で面白かった。むしろ、中途半端にあるラノベの香り(たとえばヒロインが変な声で鳴く)は必要だったのか??
    この先の展開でその話も出てくるもしれないが、是非女性鎖国サイドの描写も読んでみたい。

  • スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)

  • 以前から気になっていたので、非常に楽しみ。
    早速今日から購読予定。

  • 藤真千歳「スワロウテイル人工少女販売処」読み始めた。持って回ったような語り口がどうにも鼻について読みづらく、世界(観)の説明が今ひとつすんなり入ってこない。

    マルドゥックもこんな感じだったっけか? そして牧野修「MOUSE マウス」が読みたくなった。

    スワロウテイル人工少女?、少し慣れてきたか。

    スワロウテイル人工少女〜170ページ、ようやくストーリーが動き出した気がする。セリフ、地の文ともに、やはりマルドゥックよりもラノベっぽい。

    藤真千歳「スワロウテイル人工少女販売処」友人に勧められて読み始めた。最初はどうにも取っ付きづらく閉口したが、170ページを越えた辺りからようやくストーリーが動き出したようだ。こういうSFは「マルドゥック・スクランブル」以来だが果たしてどこへ連れてってくれるのか。

    スワロウテイル人工少女についてツイートしたら、作者からフォローされた。おもしろいなあ。

    「スワロウテイル?」やっぱりラノベだな。

    「スワロウテイル人口少女?」ようやく半分くらい。読むの疲れてきた……。


    「スワロウテイル人工少女〜」ひさしぶりに続き読んだ。いよいよクライマックスに向けて盛り上がって行くのか!? とはいえ個人的には今ひとつ盛り上がらないままなんだよなあ……。

  • 完成度は別としてアイディアとか勢いとかの部分で楽しめた。
    初めて読んだ作家だったが、他の作品も読んで見たくなった。

  • 74:「種のアポトーシス」に感染した者が男女隔離され、人工妖精と呼ばれる人造人間と共に暮らす人工島で、人工妖精による殺人事件が発生する。人工妖精の五原則により、人工妖精は人間に危害を加えることはできないはずだが――。語られる世界や人は病んでいて、人工妖精の「造られた美しさ」が際立っています。人工妖精の造作に見られるゴシックぽさと、人工島や五原則という近未来SFの世界観が見事に調和して、自我の境界や生命、知性という割と硬めのSF部分を妖しく彩っています。女の子にもお勧めできそう。表紙のもえ絵からはちょっと想像もできないような(失礼)、本格的なサイエンス・ファンタジー。お勧めです!

  • 水平線、男女、自我、無数の境界/線上で蝶は羽ばたく。

    これは近未来、人類が土星から先に進む目を自らの手で潰した頃の物語です。

    舞台は技術立国、経済大国の名も高くも、その実態は凋落著しい日本国。
    そこで、今はなき関東平野にぽつりと浮かぶ人工島「東京自治区」は、棄民の名の下に隔離され世代さえ重ねた男女その他含め、計二十八万人の足下を支えています。

    このように。
    この作品は、一貫して変則的な日本という舞台で繰り広げられるシリーズであります。
    SFギミックの合間に花蝶風月、書き下し、風雅な単語が乱舞する、実にストレートな和風SFと言える物語でありんす。

    さりとて。
    移動の自由こそ制限されているものの、優れた公共福祉を与えられ平和で安楽な日常を送る自治区民たち。
    人類という枠組みで括られる彼ら彼女たちの傍らには常に寄り添い、その目で伴侶のことを見つめてくれる人造人間「人工妖精」たちの献身がありました。

    その一体、黒の衣を身に纏い、メスの白刃煌めかせながら諸般の事情から心身を狂わせていった同胞を狩る「揚羽」、彼女(便宜上)が本作の主人公です。

    物語の性質としては、冒頭からして特殊な情景と設定の説明が続きます。
    ただし、いささか特別な生まれをして若齢ながら鉄火場を潜ってきた揚羽の視点から、特有の価値観を踏まえた上で丁寧に説明がなされていくので、順を踏まえて読むと意外と楽です。

    そんなこんなで、適度に無知な揚羽が「わからない」ことをしっかり専門家に聞いていく“歳”相応の親切&苦労人目線に、個性的(というには生ぬるい)登場人物たちの軽快なトークが加わることで、小洒落た比喩と予想外の方向から飛んでくるネタが笑いを演出します。

    かと思えば、打って変わっての重厚な鉄と血と体液の描写、それに、体と心が壊れていく移り変わりが執拗なまでにじっくりと描かれています。
    緩急の付け方と、美しさとグロテスクさが不思議と同居する文体には、私も惚れ惚れとするところであります。
    魂を運ぶ「蝶」には可憐さと不気味さが同時に揺らぐ。

    時に。
    技術的なところもそうですが、この作品のジャンルは間違うことなきSF。
    技術の進歩によってセピア色に褪せていくことは否めないかもしれませんが、当時も今も、未来にまで託せるだろう願いが込められていることは断言できます。

    SFとは「ルール」。
    これは誰かの受け売りですが、作中では人工妖精たちにアイザック=アシモフの「ロボット三原則」を踏まえた「人工知能の五原則」という縛りが適応されており、その上でなぜ殺人が起こったのか? という物語上での導線をまず読者に提供します。

    しかして、古典的名作の後追い、本歌取りというだけでは終わりません。
    人工妖精を定義する要素は他にもあります。
    詳細について説明は本編に譲りますが、野放図に置かれては拡散するしかない思考(自我)が限定状況に置かれることで花開くというのは、ミステリーだけではないということです。

    あなたが愛する、あなたが愛される。
    それに値する人工妖精の姿を思い浮かべながら読み進めていくのもいいかもしれません。
    けれども舞台であり、器となる「東京自治区」は優しい理想郷であるとともに、あくまで人の作ったものであるということをお忘れなく。
    無形の悪意を溶かし込んだ箱庭の中で、人工妖精たちは自分たちを定義する規範と向き合い、誇り、生きていくのです。

    そして、それを見る人間は、眩しさにいたたまれなくなる。また、目を閉じるのでしょうか?
    そして、その視線に対して揚羽をはじめとする人工妖精たちは人に対してどのような答えを返すのか?
    読者の皆さまにおきましてはその辺りを考えつつ、読み進めていただければと存じます。

    ここ第一巻では、本土と同様にある種の戦後を経た東京自治区で、戦争を知る/知らない世代との間の断片的な交流、それを乗り越えていく身を灼くほどの恋の行方、絶望の果ての希望――などが描かれます。

    ショッキングな事件が並列して起こりつつ、所詮は悪趣味なデコレート。
    ポリティカル・アクションなんて柄じゃないのでは、揚羽蝶?
    大仰な事件を外してみれば、万人にとって等身大と思えるだろう苦い現実が待っています。

    けれど、歳若い揚羽にとっては遙かというすら生ぬるい、太古からの願いと呪いが渦巻くこの世界の中で、自分を渦巻く閉塞した世界の中で、自己という物を回復していく、その過程はまさに王道なのですよ。

    最後に。
    レビューの締めくくりとなる名句を引用するに事欠かないかもしれませんが、今はこちらを挙げることにいたします。
    どうか結びて果てる、その先を御覧あれ――と。

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