リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310530

感想・レビュー・書評

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  • 期待を裏切らない.すばらしい.
    リリエンタールでもう少し書いてほしかったかな.
    ていうかあの世界観のお話をもっと.

  •  『華竜の宮』と同じ世界に生きる、飛ぶ事に焦がれ続ける少年を描いた表題作、他三作収録の短編集。
    どれも、ほんっとに堪んないです。
    ずずっとくる表題作。じんわり真綿で攻めてくる二作目。するっと入ってきてばばっと広がる三作目。そして、じわじわばばーんとトドメにくる四作目。
    最高。

  • 海の世界の空の話。
    上田早夕里のストーリーはどこか美しい。

  • 先端の技術による人間と社会の変容を書いているのだが、ゴリゴリとした感触がなくサラッとした手触り。造語にそれ程のこだわりがないからではないかと思った。人物の心象が細かく描写されているので、スラスラ読める。その割に、内容はハード。21世紀の大原まり子? ポストヒューマンSFのよしもとばなな?
    4編の登場人物に共通するのは、固執、だろうか。ハードボイルド調のこの手のSFは「人間的なものへの固執の無さ」で驚き仕掛ける事が多いが、この作者は人物の固執を描くことで、読者との架け橋を掛けている。
    それにしても「ナイト・ブルーの記録」はニュータイプの話だなあ・・・。

  • さまざまな技術と人とのかかわりを描いた短編集。

    表題作でもある『リリエンタールの末裔』は「鉤腕」という背中にある小さな腕を使い子供の頃は自由に空を飛ぶことのできる一族であるチャムが、大人になってからも再び空を飛ぶことを目指し自分の村から外の社会へ出ていく話。

    チャムが空を飛ぶためのハードルというのは、技術的なものだけでなく様々なものと闘わなければならず、そんな中でも夢をあきらめないチャムとチャムを助ける周囲の人たちの描写も素敵でした。

    『マグネフィオ』は交通事故に巻き込まれ後遺症を持った主人公と目を覚まさなくなったその親友、そして親友の妻を描く話。

    話の中に出てくる新たな脳波計などの科学技術も面白いですが、主人公と親友の妻のと微妙な関係や心情などが切なく、人間ドラマとしても良かったです。

    『ナイトブルーの記録』は人工知能に自らの経験や勘を学習させる海洋オペレーターの話。

    アイディアはもちろん、このオペレータもかっこよくそして海の素晴らしさも伝えてくれる話でした。

    『幻のクロノメーター』は18世紀ロンドンを舞台に、時計職人の信念をその職人の家事手伝いの女性の回想から描く話。

    語り手の口調が柔らかく、彼女から見た時計職人たちの様子がとても素敵で、彼女が職人たちに尊敬の念を抱いているんだなあ、ということが伝わってきてとても好感が持てます。

    最後のセリフもとても印象的でした。

    タイトルとカバーを見ての衝動買いでしたが、SFやファンタジーとしてのアイディアの面白さだけでなく、登場人物たちもしっかりと描けていて思った以上によかったです。またこの本を読んでいる時期に、この本の著者の上田早夕里さんが日本SF大賞を受賞され、とても得した気分にもなりました(笑)

  • 「幻のクロノメーター」よい。時々おかしい時間感覚はもちろん意図された物で種明かしもされるけれど、彼女は「誰に」話しているのかという仕掛けも想像膨らむ。楽しい。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。11年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。18年『破滅の王』で第159回直木賞の候補となる。SF以外のジャンルも執筆し、幅広い創作活動を行っている。『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『薫香のカナピウム』『夢みる葦笛』『ヘーゼルの密書』『播磨国妖綺譚』など著書多数。

「2022年 『リラと戦禍の風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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