天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫 JA オ 6-21)
- 早川書房 (2013年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311391
感想・レビュー・書評
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天冥第10段。 初の新刊として購入した一冊。絶望の中で生きようとする子どもたち。ディストピア小説としても満足の一冊。 迫り来る恐怖と孤立。頼れる者がいないコミュニティの中、次第に形成される役割と責任。立ち上がった者たちに振りかかる困難と重圧。そして絶望。空想世界でありながら、それらはとてもリアルに感じられる。 誰かの犠牲の上に成り立つ生存。そのための選択。苦悩の連続のなか、しっかりと真理と向き合う一人の存在。 「『できない』を私は見るの。みんなが許そうとしないそういうところに、私は目が向く」
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Ⅶ巻は、21世紀の『十五少年漂流記』であり、『蠅の王』だ。
そして、エピローグを読み終えた時、Ⅰ巻で描かれた植民地世界がまったく別の様相を呈してくる。
恐るべし、小川一水。 -
5万人の蝿の王ってこういうことだったのね。いよいよ新世界に辿り着いたわけだけど、まだまだ謎があるよなぁ。これから数百年この世界が続いて行くためには、まだ秘密がありそうだ。早く続きが読みたいよ。
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1巻のメニー・メニー・シープ(ハーブC)誕生に向かう話。
ドロテア、シェパード号、フェロシアン、メイスン、レクター等、謎の多かった言葉が大分紐解かれてきた。
2800年代のイサリは2500年代でアインと出会ったあのイサリと同一人物なのだろうか?
プラクティスがハーブCの地下から現れたのはなぜか?
まだまだ謎は多く、残り3巻でどのように収束するか、とても楽しみである。
蛇足だが、Ⅶ巻の地下世界は小川一水『老ヴォールの惑星』に収録されていた「ギャルナフカの迷宮」を思い出した。
同作者の『煙突の上にハイヒール』収録の「白鳥熱の朝に」は、『天冥の標』の冥王斑の前身のようであるし、
過去作品の着想がひとつの作品として昇華されているようで、作者の積み重なった実力を感じる。 -
一巻に漸く追いついてきてワクワクです。今回は大きな展開が一旦ストップ。閉鎖された環境に残された若者たちが子供たちを引っ張り、生き延び、社会を形成していく過程と、関係者たちの努力、苦悩が丁寧に丁寧に描かれています。
そんな中にも物語上の大きな伏線と思われる記述が散りばめられており、確認したいことがありすぎて前巻を読み返さずにはいれれない。懸命に生きようとする人々の物語の裏、描かれなかった部分で一体何が起こっていたのか。
続きが待ち遠しい。