- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311759
感想・レビュー・書評
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皆川作品に触れるのはこれが初めてだが、おそろしく濃厚で上質な短編集を読んだという感じ。
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表題作があって、解説がそうなら
各作品のなかで現れる現実と幻想の境は
この本を読みおわった時点で、さらにあいまいで
ふとした瞬間にグニャリと歪んでしまいかねない。 -
短編集。
表題作が面白かった。どんどん話が逸れていく。訳者も、手紙の相手も、友人も、皆話が逸れていく。
逸れた話が可笑しいから、猫舌男爵が何たるかなんてどうでもいいのだ。 -
多彩で美しくて後味の良い短編集。扱うジャンル、文体、世界観、人物像なんかが見事に合致していて、ああ文で味わえてなんて嬉しい、とにやにやしてしまいました。
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2/13 読了。
純粋な水が注がれた密閉された箱の中で長期的安楽死を迎える技術が富裕層のあいだで常習化されている、そんな近未来SFの設定を、双子の兄妹をめぐる耽美的な悲劇に落とし込んだ「水葬楽」。ろくに日本語の読めない山田風太郎ファンのポーランド人青年が訳した、謎の日本人作家ハリガヴォ・ナミコの小説が発端となって引き起こる日波横断スラップスティック「猫舌男爵」。父を亡くして田舎から都会に出てきた母子の破滅をえがいた「オムレツ少年の儀式」。精神を病み、30年以上も精神病院に入ったまま生涯を終えた女性作家の一生を遡行していく「睡蓮」。中華風のおとぎ話と、ロシアでのコサックとボリシェヴィキの闘いがシームレスに交差する「太陽馬」。タイプの異なる短篇5篇を収めた短編集。
これ以外の結末はないにも関わらず、最後の段落でハッと胸を突かれる思いがした「オムレツ少年の儀式」が好き。いたってよくある<純粋な魂が都会に染まっていく話>なんだけど、腰にぶら下げた角笛と尾鰭の幻想を回収する手つきが見事で圧倒される。 -
相変わらず素晴らしい。
『オムレツ少年の儀式』と『睡蓮』が特に好き。
表題作は皆川さんの小説としてはなかなか珍しい感じでしたが、純粋に笑えて面白かったです。
『太陽馬』はラストの情景を頭に浮かべるとなぜだか涙が出そうになりました…。 -
何処の世界の、何処の時代の物語か見当もつかない摩訶不思議な物語5篇と解説を含めた短編集。 表題作を除けば、真面目な物語な筈なんだけれどレトリックに翻弄させられながら「読まされた」感の読後の物語集。 猫舌男爵の本当にありそうで絶対なさそうな話は秀逸。
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常識がぐらぐらになる。
不思議で冷たい質感の話が詰まった短編集。 -
言語が通じないが故のどたばた感が面白かったです。