タイムライン〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) (ハヤカワ文庫 NV ク 10-21)
- 早川書房 (2003年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150410544
作品紹介・あらすじ
フランスにある14世紀の遺跡で大学の歴史調査チームが発掘したのは、なんと現代製の眼鏡のレンズと助けを求めるメモだった。その直後、調査チームはスポンサーでもある巨大ハイテク企業ITCによって緊急に呼び出された。遺跡発掘の責任者であるジョンストン教授の救出に協力してほしいというのだ。リーダーのマレクをはじめ、チームのメンバーたちは耳を疑った。その行き先というのが、14世紀のフランスだったからだ。
感想・レビュー・書評
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タイムライン〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
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ジュラシック・パークのマイクル・クライトンのタイムマシン物。映画化され1/17より上映。
幾つものSF風の作品を描いているクライトンですが、どうもSFとは言いかねて「アクション」のジャンルに入れました。
クライトン「らしい」作品です。博士の救出に中世に送り込まれた若手歴史学者たちが、幾多の困難を乗り越え無事帰還する。後ろに立つのは利益を求めるハイテク企業となれば、背景こそ異なれ、大きなストーリー立てはジュラシック・パークと同じです。
さすが、ストーリーテリングの美味さを感じさせますが、一方でどうも主人公たちの個性が弱い感じも受けました。そのあたりが減点対象でしょう。
ひょっとしたら、本より映画で楽しむべき作品かもしれません。
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イントロは長い、その分なにかリアリティのあるタイムトラベルもの
タイムマシンを開発したアメリカのベンチャー企業
そのマシンを使って中世の世界に主人公たちは迷い込む先に言った自分たちの先生を追って。
ミステリーと冒険ファンタジーが混ざり合ったマイケルクライトンの傑作 -
ジュラシックパークで有名なクライトン先生の作品。
名前の通り、タイムトラベル物。
自分はジュラシックパークが好きなので、そちらとの比較で記述する部分が多くなってしまった。
上巻は長い導入部といった体で、最初はかなり退屈だが、中盤からが非常に引き込まれる展開となっている。
科学理論的な部分が高い説得力を持っていながら、エンタメとしても非常に高い完成度を誇っているのが著者の作品の特徴であり強みであるが、今作ではサイエンス要素がそれほど割を占めてないないように感じられる。
作品に利用されている科学理論(量子の重なりによる多世界の移動)は、どうしてもトンデモ科学っぽい印象を拭えず、そのためかエンタメとしての色を強めているように思えた。
科学者によるテクノロジーに対する過信、歴史(考古)学者の朴訥さ、企業家の傲慢さ、巻き込まれ型の導入など、ジュラシックパークと符合する部分が多い。
人間の駆使する科学がより強大な自然的脅威に敗れさり、歴史学者たちが肉体と知恵を以って事に対峙するという"アンチ科学信仰"と呼ぶべき展開も見事に同じである。
表紙が実写だったので、映画化か何かしているのかもしれないが、確かにこれは映像化に向いている作品だと感じられた。
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どうでも良い話になるが、昨年ブームとなったシュタインズ・ゲートにおいて採用されているエヴェレットの多世界解釈というものが本作でも採用されているが、同じ理論でも料理の仕方が変わっているのが面白いように思えた。
シュタゲではかなり創意工夫を凝らしており、ある意味では非常にミニマムな話で終わらせてしまっている(いわゆるセカイ系)点に対し、本作では工夫も何もなく、金と時間を湯水のごとく投入してゴリ押しでタイムトラベルを実現し、一方でそこから発展する物語が、世界の危機でもなんでもなく単にプライベートな知人の生死の問題で収まっているというリアリズムが、作品性の違いとして非常に面白く感じられた。
量子コンピュータや多世界間の移動というものをさらっと採用できるあたりは、緻密な取材による説得力と、アメリカという国を背景にした世界観ならではだなぁと感じ入ったのである。
日本を舞台に量子コンピュータとか大企業の裏の顔とかをやっても、説得力が出るどころか、下手をするとギャグっぽくなってしまうくらいなので、こういう作品はとても日本じゃ生まれ得ないんだろうなぁと不思議な感慨を抱きながら読んでいる。 -
うっかり映画を先に観てしまったので、バトラーさんしか顔が浮かばない。話としてはもちろん原作の方が面白いけど、映画も悪くなかったんじゃないかと思えてきた。452ページの光景オチがたまらない。
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こーいうの好き。
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タイムトラベルものですが,伏線がうまく絡まりあって面白いです。
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映画が結構おもしろかったので、原作も読んでみました。
映画から先に入ったので、出てくる登場人物もイメージしやすくてすぐ読めました。 -
06/12/21/Thu