食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 早川書房 (2010年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503673
感想・レビュー・書評
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【読了レビュー】表題の通り、「食」にフォーカスした人類史。読む前提として、世界史を普通に知っていた方が、何倍も楽しめる内容だと思った。
あまり歴史を詳しく把握していない地域についての記述は読み飛ばしてしまって、興味のあるところだけ拾うような読み方なら、お勧めしたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の生牡蠣を食べる叙述がものすごく美味しそうだった。
もう随分と前に読んだので覚えていない。
料理名や食材名のイメージが湧かないと読んでいて面白くない。
人類史からみた面白い部分もいくつかあった。 -
人類の食についての「8つの発明」を通して、どのように発展してきたのかを語る。8つの発明、といっても小手先の部類ではなく、調理の発明から、食事の意味、食べるために飼育し、栽培し、交易することなどが大きなスケールで語られる。
エピソード中心で、貫く柱がないようにも思えるけれども、食という面を切り取って、人類の発展を語るのは読み物としても面白い。でも、この文字量には慣れが必要かも。人間が最初に飼育した動物は貝類(カタツムリ?)だったとか、言われてみればそうかも、と思う話がたくさんある。
世界観を捉え直す視点を持ちたいときに、こういう本を読んで教養にすると、新しいアイデアが生まれる素地になると思う。私は小説を書くときに「食」を重視するけれども、それはこの本の影響が強い。 -
ちょっと分量が多すぎるかな…。
食傷気味。 -
著者の思惑に反して本書は個々のエピソード間に繋がりが見えず全くの無駄と思われる箇所(著名人の大食ぶりをしめすエピソードなど)が膨大なページ数を生み出し興味深いエピソードの輝きを台無しにしている。推敲不足と思われる。その無駄なページを図に置き換えれば本書の価値は数段上がったことだろう。文字の羅列より数段説得力がある。
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食の歴史を8つの革命で説明している。まえがきの意気込みはいいのだが、本文は情報を列挙しているだけという印象が強かった。
・漁獲高は20世紀に40倍近くに増加し、30億トンになった。
・人類が摂取する炭水化物のすべてとタンパク質の1/4近くが植物に由来する。植物は食糧の90%を占めている。人間の食物連鎖に含まれる動物のほぼすべてが農民が育てた飼料を餌にしている。
・小麦は、グルテンの含有率で他の穀物を圧倒する。酵母菌の働きで膨らませる役割を果たす。
・ヨーロッパで生産されるトウモロコシの大半は牛の餌になる。アメリカで生産されるもののほとんどはコーンシロップの原料にされ、残りの大半は飼料になる。
・ピーナッツは、他のどの作物よりもタンパク質の割合が高い。 -
食の本だからおなかが減るかといえば、そうでもないかもしれないが、知的好奇心は満腹になると思います。
あれもこれもと世界中の料理文化を紹介してくる波状攻撃で、体系的な構成にはなってなくて読みづらさを感じたけれど、それもまた味かと。
暇つぶしには最適だと思います。 -
火を使った調理法の発明から始まって、食材や料理だけでなく「食べる」ということそのものの文化的、精神的な意味や役割を広範かつ詳細に考察されていて、質量ともに読み応え十分。
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タイトルに相応しい珠玉の一冊。相応しすぎて内容については他に語るところがない。死ぬまでに読んでおくべき一冊。
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「食」に関わるあらゆる観点から、人類がいかにモノを食べてきたか、という壮大な書。ひとつひとつの章が一冊の本にできそうなくらい濃厚な内容ながら、平易な訳文のお陰で大変読みやすい。ただ、急ぎ足で事例の概要を述べただけになりがちなのが残念なところか。ひとは毎日地球上のあらゆるところで生き、何かを食べているのだ。どんな食材を、どこから、どのように獲得し、どのように調理し、どのように食べるのか?各所にでてくる日本の食文化についての記述を読むだけでも興味深い。