予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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感想 : 399
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503918

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと前から積んでたんだけど、ランキング上位に返り咲いた理由とは何なんだろう?(おかげで探しやすかったのですが)

    印象的な部分だけかいつまみ。

    二章。
    筆者が自分の朗読に対して、あるグループでは「お金を払う」、別のグループでは「お金をもらう」をデフォルトの選択肢に設定して実験をした。
    アンカリングによって、前者はお金を払い、後者はお金を要求する結果になる。
    これ、応用出来ないかなー。

    価値があるというアンカリングを上手く出来れば、消極的な気持ちも動かすことが出来るかも?

    四章。
    無償で手伝ってもらえるようなことに、少しのお金を提示すると、社会規範が市場規範に切り替わり、請け負ってもらえなくなる内容。

    意欲に報酬を結び付けると、意欲が削がれてしまうのもこの論理。
    だけど、ちょっとしたプレゼントなら社会規範に留められるというのは初めて知った。

    九章。
    所有を手放すことへの執着。
    一つの扉で多くの利益を得るよりも、他の扉を閉じない執着の方が強くなる。
    選択肢で迷う時、迷っている時間による損失を考えてみる、というのは面白い。(クレジットカードを氷漬けにするよりも、笑)

    十三章。
    不正に対して、何も手立てを打たなかったグループと、『十戒』を思い出させ、内容を書かせたグループでは、後者に不正がなかったという実験。
    よく道端に警告の看板があるけれど、あれって罰則の金額を書くより、道徳心に訴える文言の方が効果があるんだろうか?
    ちょっとした疑問。

  • こういうことを学生時代に研究したら面白かっただろうなと思わせる本。
    色々研究内容がありますが11章のプラセボ効果が一番良かったですね。
    自分の経験で言えば、、、この2点が実例なんでしょうね。
    私は演奏会の本番前にエナジードリンクを飲むのですが、それがただの味付き飲料だったとしてもきっと効果あるのでしょう。実際の成分よりルーチンワークが大事ということ。
    同じように何かを心配している人がいたとして、なんの根拠もなかったとしても「大丈夫だよ、きっとよくなる」と言ってあげるだけで相手が安心するのでしょう。実際の根拠よりその人自身の暗示やその人に寄り添ってもらえる人の存在が大事ということ。

  •  「ファスト&スロー」では期待値など数学に関連した議論が展開されていたが、こちらは実験がメインなので読みやすい。語り口も「Factfulness」に近いものがあり、気楽に読める内容になっている。そうはいっても、内容は盛りだくさんで飽きさせない。

     昭和の時代は社会規範が上手く機能していたが、令和になり世の中は市場規範で動くようになった。また昭和の時代には存在していた相互信頼も衰退してきている。このような状況で、労働を含めた経済活動を円滑に進めるには多大なコストを必要とする。先行きは暗いと言わざるを得ない。

  • 実験・考察はおもしろいし興味深い。だけど無駄な文章が多すぎる。読みやすくするためのアメリカンジョークだと思うけど。

    あと行動経済学のほかの本を読んでいれば、特に読まなくても良さそう。そうじゃなければかなりおもしろい一冊。

  • ファクトフルネスで挙げられていた10個の「思い込み」は、行動経済学の「不合理」に近いんちゃうかなと感じて、読んでみようと思いました。

    率直にいうと、ゼミ入る前に読んでおけばよかった。これでしかない。

    4章の「社会的規範と市場規範のすり替わり」が面白かった。自分の経験にも当てはまる例を浮かべることができて分かりやすかった。社会的規範の存在を認識し、それを活かすことができれば、いろんなことがコストをかけずに改善できそう。

    1〜15章にわたって実験しすぎ笑
    読むん疲れました

    • ごんさんさん
      そろそろ白夜行読まなあかんのちゃう?
      そろそろ白夜行読まなあかんのちゃう?
      2020/06/03
    • ノートさん
      出た、白夜行警察
      出た、白夜行警察
      2020/06/03
  • 本書はベストセラー行動経済学入門に、新たに2章を書き下ろし、旧版刊行後の反響を受けた考察を追加した増補版であります。量的なものと、中に書かれている事例の豊富さに圧倒されてしまいました。

    本書は以前から気になっていたので、手にとって読んでみることにいたしました。本書が刊行されて以来、『行動経済学ブーム』だったのだそうです。ベストセラーとなった本書が増補改訂版として、新たに書き下ろされた2章と、刊行後の反響を受けた考察を追加して再登場したものであります。量的な分厚さと、内容の濃さに思い出す際にげっぷをしそうになりながら、キーボードをたたいております。

    さて『これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか』という前提で、詳細な実例を元にそれを検証していきます。本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか?これは本書の中でも取り上げられておりますが、スターバックスに入ってコーヒーを飲んだことを思い出し、コーヒーそのものに加えて、あの『サードプレイス』と呼ばれる『空間』作りにあの会社はあの手この手を使っていたなぁということを思い出しました。

    また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは?ということに関しては安物の靴下しか僕ははかないのでそれはよくわかりません。とにかく、人間は経済合理性とはかけ離れた行動を往々にしてとる場合が多いのだ、ということを本書は教えてくれます。その不合理さを研究、解明するのが、行動経済学という新しい学問の分野なのだそうです。

    ここでは、個性的かつ詳細な実験を重ねることによって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になっている。と説いております。そこまで予想されるとこっちとしてはなんだか気持ち悪くなってしまいますが…。

    そして、行動経済学の原理を応用することによって、、「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するときに、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスを我々にもたらしてくれるのだそうで、優れたテキストはいくつもの読み方ができる、というのが定説ですが、たとえばここに書かれている知識を応用して多大な業績を上げて立身出世を目指すのか?それとも経済的に仕掛けられた様々なものから自分を守るための『盾』とするのか。それはその人次第です。

  • 分かっちゃいるけど、やめられない。(^◇^;)ただ、人間ってこうなのよと知っていることは意外と役立つのかも。そんな気づき。

  • ・紹介される実験がどれもおもしろい。小テストとかレストランの注文とか、身近なものごとが対象だから結果の意外性がよくわかる。
    ・すでにほかの行動経済学の本を少し読んでたんで、新しく知ることはあんまりなかったな。
    ・いくつかの実験は、これって再現性あるのか...?とは思った。そんな微妙なうさんくささも味わい深い。
    ・社会科学の実験がしたくなる楽しい本です。

  • 実験をして私たちが普段とっている意思決定や行動を行動経済学を使って説明している本だった。
    より分かりやすくするために一つの考察のために何個も似たような実験をしていて分かりやすく書かれているが、少しくどい所もあったため評価を下げた。

    アンカリング効果…最初に与えられた数値を基準にして物事を考えること。

    セルフハーディング…前の自分がとった行動が正しいと思い込んで同じ行動をとること。

    ハーディング現象…他人と同じ行動をとること。

  • 理屈じゃないのよ、人は♪

    不合理性はいつも同じようにおこり、何度も繰り返される。
    大局的な考え方やマクロ視点の本だけでなく、本書のような戦術的な内容やミクロ視点に基づく内容でも有益であった。(ミクロ視点といえど、人の行動を普遍的に捉えているので個別具体的すぎない絶妙なバランス)

    ■概要
    行動経済の基礎理論を具体例と実験を交えてわかりやすく解説。相対性(人との比較)やゼロコスト(フリー)の功罪、プラセボ効果などの項目をそれぞれ解説。

    ■所感
    ユーモアが多く親しみやすいが、その分冗長的で疲れる。または重要部分を読み落とす。
    市場経済理論は教養としては役に立つが、実践できる知識としては行動経済学もぜひ頭に入れておきたい。カーネギーの「人を動かす」をより経済活動の観点で語ったものとして吸収できれば、マーケティングや組織設計にきっと役に立つ。それだけでなく、自らが消費者として選択・判断する際にも頭に入れておきたい内容だ。(後で不合理な選択を後悔しないために!)

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