ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503925

作品紹介・あらすじ

ヒトの歴史を探るなら魚に訊け!? 異なる生物種の意外な関連から進化の壮大な謎に迫る

感想・レビュー・書評

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  • 科学系の本とかあまり読まないのだけれど、これは何故かタイトルにとても惹かれて。シロウトにもわかりやすい、化石発掘や遺伝子実験の話中心なので読み物としても面白く読めました。

    専門的なことは難しくてわからないけれど、思ったのは、人間の、というか自分が普段当たり前のように使役している自分の体が、実はものすごく精巧な、何十億年分もの進化の積み重ねの末に完成された精密機械のように繊細なものなのだなあということ。うっかり雑に扱えば、故障だって起きるし、死んじゃうことだってある。せいぜい太ったの痩せたのだ老いただのというレベルでしか気にしたことのなかった肉体が、現在の形に完成するまでの長い長い進化の過程を思うと、もっと大事にしなきゃなあと考えさせられました。

  • SN4a

  • 【概要】
    陸上生活を行う脊椎動物 ―例えば、両生類、爬虫類、魚類、哺乳類― はみな、共通の腕の構造を持っている。一方で魚はそのような構造を持っていない。

    本書は魚類と陸上生物の両方の特徴を持つ生物、ティクターリクの発見を通して、生物の各器官がどのように発生し、その発生が進化によってどう変化してきたかを扱う「進化発生学」について解説した本である。腕の他には、爬虫類と哺乳類では大きく異なる歯の発生についても触れられている。

    ティクターリクはいわゆる「ミッシング・リンク」(大雑把に言うと進化途中の生物) の発見にあたる。ミッシング・リンクはダーウィン進化学、特に系統漸進説への反論として挙げられる一つであった。しかし、近年ではここで述べられているように様々な生物の化石が見つかっている。

    【詳細】
    読んでる途中なのでまた今度。

  • ティクターリクの発見者による書籍とのことで読んでみたが、場所の選定からフィールドでの経験などが印象的。魚と両生類の中間種発見をターゲットとし、ロジカルかつ不屈の精神で達成された偉業だったということがよく分かる。
    あとの内容は解剖学的な大組織の解説や、あらゆる生物と共有されてる体制について説明されているが、興味のほどは個人差があるとしても、非常に一般向け書物として読みやすい。一流の教授でもあるため説明がうまい。とくに取り上げられている組織は手・歯・嗅覚・視覚・聴覚。
    長きに渡る単細胞生物の時代から多細胞生物が誕生した原因を探る説がとくに興味深かった。

  • ヒトの進化を究明するために「遺伝子研究」と「化石発掘」を同じ研究室で行う著者による本書は、非常に幅広い知識が楽しめる。こういうハイブリッドな研究方法が真のイノベーションを生み出すのだろう。がちがちの縦割り、横割りでは何も生み出さないということを嫌というほど味わった私には、本書の説明内容よりも別のところで勉強になる本であった。

  • 自分の中に魚がいる。他の生き物たちもいる。頭が骨で囲まれているのは魚だった頃の名残で、しゃっくりが出るのは俺らがオタマジャクシだった頃の名残。進化について書かれた本の中でも魚との共通点という視点が面白かった。

  • 小説ばかりでなく、たまにはこういう本も読まないとね( ´ ▽ ` )ノ。
    手や首の骨、筋肉や臓器、話に出てくるたび、自分の体を動かしてみたり中身を想像したり、楽しかった( ´ ▽ ` )ノ。
    一般読者というより科学者のタマゴ用の本だから、もちろん全部は理解できなかったけど( ´ ▽ ` )ノ。進化論の細かいとこがよく分かったよ( ´ ▽ ` )ノ。
    最後、科学書ではあれが当たり前なのかも知れないけど、膨大な謝辞・参考文献に驚愕した(>_<)。
    それにしても、シャックリがオタマジャクシ由来とはね( ´ ▽ ` )ノ。
    2015.4.22
    しかし、ハヤカワ文庫のトールサイズ?、重いし本棚の収まりも悪いし、やめてくんないかな〜......

  • 高校生の頃、立派な中二病を発揮して「俺、進化論信じてないから」とクラスメイト相手にワケのわからない格好のつけ方をしていたが、そいつはそいつで「英語じゃなくてラテン語だったらマジメに勉強したのに」とか言ってたのでお互い様だろう。未だに進化論を信じていない人が多いというキリスト教圏では、逆に「進化論信じてるから」と言うのが中二病になるんだろうか。どちらにせよ、その因果を知らずに教えられたまま従っているとすれば、それは信仰が違うだけで、どちらに優位があるということはない。

    人の進化は遺伝子を中心に語られることが多いが、本書の主題は化石による比較解剖学。魚類と四足類の中間となる身体を持つ生物ティクターリクの発見。コウモリからクジラまで四肢を持つ生物ならどれでも共通して持つ手の骨のパターン。歯、腺、羽毛に共通する皮膚から体組織を作る手法。人体から無脊椎動物までに共通する鰓弓。その他鼻、目、耳と至る所に残る原生生物の痕跡。果たして一般成人がこれだけの証拠をつきつけられてもまだ進化論を否定できるのだろうか。

    進化は行きつ戻りつつ。発生において論理に従っているのであって、形状において論理に従っているわけではない。結果、イビキ、腰痛、偏頭痛、生活習慣病と種々の不整合を抱えつつ、状況に応じて最適に進化してきた。完成がない進化の果てを、生きている間に垣間見ることができるのか。次世代の人類のカタチに期待。

  • 遺伝子的にはヒトは過去の生物の情報を受け継いできたということでしょうか。
    題名にある「魚」だけでなく、全ての生き物とヒトの遺伝子は近いものがあると。そして、進化の過程に存在しているはずの、進化の中間を示す化石の発見。それらの調査から考えられることが分かりやすく書かれています。
    ちょっと題名で損してる気がします。そんなに「魚」にこだわらなくても良かったのはないかな?

  • 話題がブツ切れ過ぎて、小粒感が半端ない。自分で再構成する必要がある。
    早川の本シリーズは、当たり外れが大きい。

  • 「毎日新聞」(2013年11月17日付朝刊)で、海部宣男さんが紹介していました。
    (2013年11月18日)

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著者プロフィール

(Neil Shubin)
古生物学者、進化生物学者。ハーバード大学で博士号を取得。現在、シカゴ大学教授。動物の解剖学的な特徴がどのように進化したかについて研究している。グリーンランド、中国、カナダ、南極、北米やアフリカでフィールドワークを行う。魚類と陸棲動物の特徴を併せ持つ生物「ティクターリク・ロゼアエ(Tiktaalik roseae)」の発見者の1人として知られる。著作に『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』(早川書房、2008年)『あなたの中の宇宙』(早川書房、2014年)がある。

「2021年 『進化の技法 転用と盗用と争いの40億年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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