第三の嘘 (ハヤカワepi文庫 ク 2-3)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200168

感想・レビュー・書評

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  • 20180630読了。

    悪童日記3部作の最終作。
    下手したら駄作となってしまうくらい、今までの前2作をひっくりかえすような内容。
    内容のどこまでが真実かわからなくなってしまう。

    物語の捉え方について読者によっていろいろ考えさせる余地があるが、個人的には余地を与えすぎていて面白みを失っているような気がする。
    もう少し収束感があったほうが気持ち良い読了感になったと想う。

  • 三部作の最終巻。『悪童日記』はゆっくりと、『ふたりの証拠』の途中で停滞するも後半はテンポよく読み進め、そして『第三の嘘』は時間を忘れて一気読みしました。
    『悪童日記』を読み終わった後は「全巻をまとめ買いしたのは失敗だったかな」と思っていたけれど、実際はそんなことはなく、むしろ『悪童日記』より『ふたりの証拠』、『ふたりの証拠』より『第三の嘘』とどんどん引き込まれていき、現在は「『第三の嘘』を読んだ後に読む『悪童日記』『ふたりの証拠』も面白いんだろうな」と思いを馳せています。
    何が真実で何が創作なのか、大変興味深く読ませていただきました。

  • 「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作の最終刊(どうでもいいけど,「ふたり」「第三」ってなってるんだな).三作ともトーンが異なるのだが,結局何が真実で嘘なのか.
    本書の一部は亡命したリュカの,二部は残ったクラウスの物語であって,交わることのなかった不幸な双生児の時間線が交錯する.本書を読めば,「ふたりの証拠」に若干無理があって,中途半端であるような印象(最後のどんでん返し頼みの内容)であった理由がよく分かる.
    「悪童日記」だけで止めておくか,三作ともキッチリ読むかの二者択一だと思う.

  • 「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く3部作。
    「悪童日記」は二人で一つの存在のような双子自身の記述による物語。
    「ふたりの証拠」は、国境近くの街に残ったリュカの物語が殆どを占める。終盤に不在と思われたクラウスの話になるが、公的文書はこれを否定する。

    さて、本書の最初は別の国から戻った死期の近い男。村はずれのお婆ちゃんの家で住み始めるまで、そして国境を越えた国で歳を重ねた彼の物語は、「悪童日記」とも「ふたりの証拠」ともまったく異なる。
    後半のもう一人の物語も、まったく違った話。二人の邂逅も永年の時間を埋めるものとならない。一心同体のように語られた物語はあっさり否定される。
    自分のかつての家を探して歩く子供。失われたものは帰ってこない。

    双子が重ねた嘘が「悪童日記」「ふたりの証拠」だったのだろうか。

    後書きにミステリー的に書かれた作品でなく、作者は双子の物語を書き続けなければならなかったとある。
    失われた母国の生活や少年少女期。自分の場所が何処にもないと感じながら、懐かしく哀しい物語だった。

  • あの終わりかた大好き。

  • まだ続きそうだけど、これで完結。何度も読み返す3冊になりそうです。奇跡みたいな作品。

  • 一気に読見終えた。面白い。悪童日記から続く三部作最終巻。この作品の良さを語るのは難しい。読めば分かる。是非、悪童日記を読んで欲しい。そうすると自動的にここまで来れると思う。読んできっと損はない。そう思います。

  • 完全にクラウスとリュカがどっちがどっちだか分からなくなる。どこまでが虚構や嘘で、どこからが本当なのか、あの日記は何だったのか、二人が二人なのか、祈るように読んでいた。

  • 「悪童日記」の主人公である2人の双子の兄弟の成長した姿を描く3部作の最終作。

    3部作とはいっても、3部の間で描かれる兄弟の姿にはかなりの矛盾点があり、いったいどれが本当の話なのか、読み手には全く理解できない。この不思議な感覚は、カズオ・イシグロが得意とするような「信頼できない語り手」の技法に近く、読み手を最後まで混乱させる。

    そもそも「第三の嘘」というタイトル自体がそれを暗示しているわけで、そうした緊張感の中で、兄弟が辿った(と思われる)それぞれの人生の悲しみがシャープに伝わってくる。

  • 『悪童日記』に始まる三部作目。完結篇。双子がついに再会する。物語が進むにつれて今まであった嘘が明かされていく。
    とはいえ自分に理解力がないのか、非常にややこしい。何が嘘でどれが本当なのかなんだかもうよくわからない…
    解説もさっと読んでみて、自分のアイデンティティや帰る故郷について語られていると感じた。それらをなくすことは想像を絶するほどつらいもののようだ。

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著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

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