- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151200212
感想・レビュー・書評
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私には理解不能な世界。不思議すぎてついていけず。
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とても良い小説だった。
前半は、主人公の「図書館」での「仕事」の話。誰でも、自分の書いた本を受け取って、置いてくれる図書館。図書館での主人公の仕事は、本を受け取り、記録を取り、本を持ってきた人に気持ちよく帰ってもらう。それだけ。持ち込まれる本は実に多様である。
ところが後半、その図書館から、主人公と、図書館で出会った美しい彼女ヴァイダとの旅の物語へと展開する。旅の目的は、堕胎。主人公の仕事仲間フォスターの紹介で、ティファナの医者のところへ行くのだ。
前半の静的な図書館の描写から、堕胎のための旅という動的な物語へ。この対照的な展開に、まずはっとさせられる。
また、前半に描かれる、図書館に持ち込まれる多様な物語の存在によって、この「堕胎の旅」もまた、多様な人生のひとつであると位置づけられる。ひとつの命を棄てること。その衝撃もまた、多様な物語のなかのひとつなのだ。しかしそれは、堕胎が多くの人々のなかに埋もれる大したことのない出来事だ、ということではない。それぞれの人生には、それぞれの重大な出来事があって、軽重をつけるべき事柄ではない、ということだと思う。
この小説の原題を直訳すると『堕胎ーある歴史的な1966年のロマンス』という。これは、おそらく主人公によって、数十年後、図書館に収められる本のタイトルを意味しているのではないだろうか。 -
人生の勝者じゃない人が自分の書いた本を持ち込み、自分の好きな棚に置いていく図書館、という舞台設定がとても素敵。その図書館に閉じ籠って働く主人公の男が、そこへ本を持ってやってきた絶世の美女、だけど主人公と同じくコンプレックスを抱えたヴァイダと出会うことで変わっていく様子と、その変化がもたらすラストは爽やかなようで少し物悲しくて良かったと思う。が、特に劇的に描かれるわけではないところがかえって残酷さを感じさせる堕胎のシーンが持つ、この作品における意味が私にはあまり読み取れず…。また再読したい。
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「わたし」は誰にも読まれることのない孤独な本に囲まれた図書館のなかで満たされていた。ヴァイダに出逢い、ちょっとした用事を済ませに旅立ち外の世界に触れたわたしは、静かで満たされた図書館に帰りたかったのに、戻れなくなった。
日常の描写や言葉の端々から60年代のノスタルジーな空気が匂い立つ、懐かしいような、ずっと浸っていたいような、そんな一冊だった。 -
ビブリア古書堂の事件手帖に取り上げられていたので読んだ。
ちゃらっとした物語を期待していると裏切られます。
いくらでも深読みできる本ですが、ストーリーで読ませる本ではないです。
生活の一瞬一瞬を切り取って、文字に起こしたらこんな感じなのでしょうか。うまく表現できません...。
好き嫌いがはっきりするかも。 -
恋愛小説ではないです。タイトルで損してる。
解説に、「――アンチヒロイック、アンチドラマティックに描かれている」とありました。
まさに!
図書館の設定はとても興味深いです。 -
原題『妊娠中絶 歴史的ロマンス1966年』
ラストが物悲しい。大人になるとはこういうことか、と。 -
未読のブローティガンも段々少なくなってきたので大切に読んでいる。この「愛のゆくえ」も私にしっくりと馴染む文章。ブローティガンの書いた文章を読んでいる時が、私は本当にくつろげる。
名も無き老若男女がのっぴきならない理由によって書き上げざるを得なかった、世界にたった一冊の本を収めに来る、世界の果てにあるような図書館。そこで世の中と断絶して暮らす図書館員の「わたし」の元に、本を携えて現れた絶世の美女ヴァイダ。
たちまち恋に落ちて同棲するが、ほどなく避妊に失敗。二人がメキシコへ堕胎手術に向かうロード・ムービー風の物語であるが、「堕胎」という目的に向かっているものの悲壮感はあまりなく、ユーモアさえ感じさせる。ヴァイダにぞっこんで、深く愛してると思わせつつも常に半分上の空な「わたし」はいつものブローティガンだ。
悲しいことや劇的なことは起こらない。堕胎手術が終わって帰国し、何故か図書館員の仕事を追われても、ヴァイダは「わたし」を責めることもなく二人の生活は続く。一見前向きで幸せそうだけれど、ぼんやりとした不安が常に付きまとっている感じ。眩しく輝く宝物のような女性ヴァイダを手に入れること無く、あのまま世界の果ての図書館で世捨て人のように生きている方が心落ち着いて過ごせたのではないか……。「わたし」がそう考えているように思えてならない。ファンタジーの住人なのだ。
結末まで読んでもこれが小説として面白いかどうかはよく分からない。しかし散りばめられた渇いたユーモア、そして目から入った情報がどうやったらそんな言葉に変換されるのかというブローティガンお得意の天才的な比喩を何度も何度も、ずっと読んでいたくなる。ミルク味の飴玉をずっと転がし味わうように。 -
「ビブリア古書堂の事件手帖」第5巻登場作
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ビブリアの流れで読んだけど
楽しくない 恋の話…
なんで 全部読む気持ちに
なれない…
個人的には ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…
本の一部を切り取るのと
その本とは違う… -
ブローティガン好きなのに、この本の存在をいままで知らなかったなんて……
そして今まで読んだ作品とはなにかがちょっと違ってひっかかった。最後の一文を読んだ瞬間にまた最初のページに戻りたくなるあの衝動があまり起こらなかったなあ。
あるいは藤本さんの訳だったら……なんて。 -
ずっと、読み手も語り手も、フラットなまま進む。
なにもドラマティックにしてくれない。
いっそ目が覚めるほど。 -
素晴らしい小説でした。本好きにはたまらない一冊。
訳者の青木日出夫さんのあとがきで、ブローティガンの小説を官能的(感覚的な柔らかみを意味している)と表現し、また苦難な主題をアンチ・ドラマティック、アンチ・ヒロイックに描いているという文章を読みました。
その通りだと思います。
アンチ、という批判的な言葉を使いたくないのですが……
ブローティガンの、あたたかい血の通う文章、強い大木を思わせるような文体に包まれるような読後感は、ずっと大切にしていきたい感覚です。
どうして今まで読まなかったのか、謎です(笑
いえ、でもこのタイミングで出会えたからこそ、きっとすんなり受け入れられたのだと思います。
苦悩する人間は、もっとも人間的。 -
細部とかは覚えられないけど、なんとなく良い描写あったなーって印象が残る小説。いかにもフラワージェネレーションな内容だけど、独特な描写だったりストーリーテリングで、今読んでも変な感じはあまりしない。村上春樹がいかに影響を受けたかを確認できる。
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雰囲気のような 風景を ぼ~っと眺めているような 不思議な現実感のない物語。
なんで 図書館なんだろう・・
深い意味があるのかなぁ・・・ -
西瓜糖の日々と同時に買った本。図書館へ引きこもっている主人公がヴァイダと巡り合い、堕胎をきっかけに引きこもりを脱する様は、現代のネット社会とリアルな社会のつながりと共通点があるように感じた、なんとなく。
機内での描写が気に入ってます。 -
本のまくらにて、出会いました。
冒頭が素敵。からっとした文章が素敵。青木日出夫の訳が素敵。この図書館の設定が素敵。
外国文学は苦手と思っていたけど、会話がおもしろいし、いいね。 -
会話の部分がおもしろかった。筋自体は単調。ラストの主人公の状況がよくわからないが。フォスターだけが喋る(フォスター以外の人物の台詞が伏せられている)シーンが好き。
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世界に一冊の誰にも読まれない本の図書館っていうのがいいね。私もそこで働きたい。でもとんでもなく美しい女性(しかもその容姿のせいで不幸だという)と出会ってしまったためにそこから出る羽目になる。
これも一種のファンタジーだと思う。 -
誰にも読まれない本を保管する図書館に閉じこもる主人公、という設定が好き。いっそずっと閉じこもっていてほしかった。
なんだか安っぽい邦題だけど、原題はすごい。
「妊娠中絶―歴史的ロマンス1966年」
でも題名に似合わず、文章はとてもふわふわしている。 -
久しぶりに小説を読んだ!!
しかも洋物なんてどのぐらいぶりだろう…。
原題だと「The Abortion~」って(◎_◎) 確かにそのまま邦題にしたら
お話の内容とちょっと違う印象になりすぎるだろうけど、
よくよく考えると、主人公とヴァイダが出会う図書館は
誰でも自分が書いた本を「置きに来る」事を目的として
運営されていて、その本は置かれたっきり読まれない様や
自分の一部であったものを、他者の介入で剥ぎ取られること
で変化する主人公の様子は「堕胎」っぽいっていう解釈は
すっごい私的な私の感覚です。
4部構成でしかも小さい題目で細々区切ってある
ので読みやすい。古い映画を見ているみたいな
雰囲気のある小説です。 -
本を受け取り、保管することが生業の彼も、子供を授かり、育てることは出来なかった。
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泣いてる人には、ハンカチと棒キャンディーをあげるようにしているというエピソードが好き。
淡々とした印象を受けるけれど、どこか引き込まれる。
もやもやする -
いつまでも図書館でしんとして生きていくわけにはいかない、という話。しずかなやさしい本。
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ヴィアンの「うたかたの日々」に雰囲気似てると噂を聞きつけ購入。
うーん、あたしはうたかたの日々の、ラストに向かって崩壊していくところが好きなので、ちょっと違うかな。
不思議な図書館が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」みたいでどきどきした。世界の終わり〜が読みたくなったよ。
09.01.18 -
あまりぴんとこなかった。主人公が働いている図書館がひとつの重要な設定になっていて、そこはだれもが自分で書いたこの世で一冊の本を持ち寄って所蔵できるというコンセプトで、一瞬すてきかもと思ったけれどよく想像してみると、面白くない図書館かもしれないなんか嫌だなあと思ったということと、主人公の恋人ヴァイダが絶世の美女で街を歩けば通りすがりの人がひっくり返り4歳の男の子も釘付けになるぐらいの美しさということになっているが(私は『マレーナ』のモニカ様を想像した)、主人公の男が薄らボンヤリしていて嫉妬もしないし気も利かないし、ヴァイダが中絶手術を受けたあとに、彼女にはクラムチャウダーを注文して自分はバナナスプリットを食べているところにちょっとそういう人には主人公になってもらいたくないなあと感じた。
http://jp.youtube.com/watch?v=wP49hwm7JeA -
よく覚えてない・・。
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わたしのヴァイダは
花のように美しかった