アルベール・カミュ (1) カリギュラ (ハヤカワ演劇文庫 18)
- 早川書房 (2008年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151400186
感想・レビュー・書評
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実在のローマ皇帝カリギュラをモチーフにしたカミュの戯曲。権力者ゆえの狂気という面では、現代的な「異邦人」などよりも、心情的には理解しやすかったように思う。いわゆる暴君なのだけれど、ただわがままにふるまっているわけではなく、カリギュラには哲学があり、自身の人生に苦悩している憎めなさがある魅力的な人物。彼の暴虐に苦しむ家臣たちも、カリギュラを憎みながら愛しており、その愛憎・葛藤に共感ドラマがとても良い。
カリギュラの太鼓持ちのようなポジションだけどシニカルで機転が利くエリコン、年上の愛人セゾニア、冷静で客観的な人格者ケレア、カリギュラに父親を殺されカリギュラを憎みながらも愛している若き詩人シピオンなど彼をとりまくキャラクターたちもそれぞれ魅力的。
日本では蜷川幸雄演出で何度か上演されていたと思うけど、今やってる大河ドラマの義経を見るにつけ、菅田将暉のカリギュラはさぞやはまっただろうなと思う。見てみたかったな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カミュの<不条理三部作>(『異邦人』『シーシュポスの神話』『カリギュラ』)と位置づけられるうちの一冊。
訳がよいためか、たいへんに読みやすい。
しかし、それが劇の内容のわかりやすさを意味しているわけではない。
それだけにいっそう、実際の舞台が見てみたくなった。
解説は、われらが内田先生。カミュがどうして演劇に熱情を注いだのかという問いを論じておられます。 -
難しかった
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人間の存在に価値も意味もない。だから私達は夢を通して生きている。芸術と愛と積み重ねてきた歴史から生まれた物語と周囲の人との繋がりが、私達の夢の支えとなる。
カリギュラが最初の一歩を間違えたことが残念だ。 -
幕切れの台詞・場面が好きです。小栗旬や菅田将暉の主演で上演もされています。
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カリギュラは最愛の妹ドリジュラを失い暴君と化す。
愛とはなんだ?おれは月が欲しいと言い出す。
久しぶりの脚本。場面展開が多くイメージするのが少し難しい。
この年になると、人生なんてそれほどいいものじゃないって、わかってる。でもこの世に悪があるのに、わざわざそれを増やすことはないでしょう。 -
菅田将暉さんの舞台観劇の予習として読みました。
演劇文庫を読むのが初めてだったのでなかなか表情や情景を思い浮かべるのが難しく、また内容も難解だったのでさらっと読んでから観劇しました。
予習してよかったと思ったし、観劇後、この本を読みながら舞台に浸っています。
とても深い戯曲です。
好きです。 -
歴史に名を残すローマ帝国の皇帝カリギュラの戯曲です。
古代の皇帝にセリフを与え、蘇らせた作家カミュの想像力ってすごいな、と思ってしまいます。
最愛の妹の死をきっかけにして、
3日間野を彷徨って
帰ったカリギュラは、暴君と化していました。
手始めに市民の財産相続権を剥奪し、無差別に処刑するなどの非道なふるまいをするカリギュラが、何処か陶酔しているようにも、覚めているようにも、読みとれます。
古代に思いを馳せつつ、自ら不条理の真ん中で生きようとする、年若きローマ皇帝の苦悩をお楽しみください。
ペンネーム・マメ -
舞台がみたくなった。