偽りの名画 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151751028

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  • ギデオンシリーズの作者の違うシリーズ第1作。
    今度の主人公はシアトルの美術館で学芸員をするクリス・ノーグレン。バロック美術が特に専門。

    のっけから彼は人生の岐路に立たされている。
    10年連れ添った妻と離婚調停を行っているのだ。しかも泥沼に陥っている。犬をやるから家をくれ、だの以前出版された彼の著作の印税の数パーセントをくれ、だのというやりとりに嫌気が差していたクリスに、ベルリンでの名画展の仕事が舞い込んでくる。
    過去ナチスによって徴収されその後行方不明になっていた名画が発見された。その名画を集めて展覧会をするのだが、その主任が彼に「この中に贋作がある」と言い残して謎の死を遂げてしまう。
    クリスは贋作を発見するために、主任の死の真相を暴くためにちょっとした冒険をくりひろげる。

    このシリーズを読んで初めて知ったのだが、第2次世界大戦後、アメリカ陸軍に史跡および古文書部隊という、ナチスによって略奪された絵画やその他の芸術品などを探し出し、本来の持ち主に返すという任務を背負った部隊があったのだそうだ。

    そんなちょっとした専門的なことも知ることができるシリーズになっている。

  • 学芸員のクリスは、ヨーロッパで米軍が主催する「略奪名画展」の準備のためドイツへ向かう。それは第二次大戦当時ナチスに奪われ、最近になって本来の持ち主であるイタリア人蒐集家に返還されたもの。クリスの仕事はチーフの助手だが、到着する早々クリスは侵入者に襲われて負傷、チーフは「出典作品の中に贋作が混じっている」と口にする――。

    学芸員クリス・ノーグレンシリーズ第1作。贋作をめぐって、ああでもないこうでもないと迷走を続ける主人公の言動が面白いですが、それ以外はあまり印象に残らず。

    ヨーロッパに駐留する米軍の文化(教育)活動に協力する主人公、という舞台設定には、スケルトン探偵の第1作 "Fellowship of Fear" と共通するものがありますが、作者の実体験でもあったのでしょうか?

  • スケルトン探偵が贋作事件に巻き込まれるのかと思った……いやほんの一瞬ですよ、一瞬。エルキンズだし。

    こちらは美術探偵。クリス・ノーグレンシリーズの第一作。贋作!薀蓄!レンブラント!ナチス!!という、大がかりな贋作事件(フィクションで)といえばこれよねーのお約束がたっぷり出てきてなかなか楽しめる。こういったストーリーである以上、絵画の知識(それもマニアックな)がずらずら出てこないとね!事件に関係なかろうと、主人公が学芸員なんだから、オタク的知識をがんがん披露してくれてナンボだよ!と思っているので、その部分は大変楽しめた。

    展覧会のために集められた、超がつく名画の作品群を見ながら「この中に贋作が」とお約束の言葉を残して殺されてしまう主任。殺人犯人誰よ?贋作どれよ!という、ふたつの軸を追うことになる。
    正直贋作については「そっちそっち」と言いたくなることもあり、さほど意外ではなかったのだが、オチが多少読めても楽しく読める。もともとこういう薀蓄シリーズが好きだからってこともあるだろうけど、これはまたシリーズ読むだろうな。

  • 贋作や美術史というテーマが大好きなので読んでみたが、
    自分の求めているものとは多少ズレがあったものの、それなりに楽しんで読めた。
    主人公が実に市井の人、という感じでよいと思う。

  • エンターテイメント性が高く、読んだあと何かしらの知識が身に付いているミステリを書いているという作家さん。まさにそういう小説が大好きなので、楽しませていただきました。贋作の謎については「なんでそっちを調べないんだろう」と早い段階で気になってしまい、それほど意外という感じは受けませんでしたが。それにしても展覧会のために8ヶ月のヨーロッパ休暇…。休暇といえども仕事しなきゃいけないのはもったいないし、滞在費負担しなくていいのは羨ましい。

  • エルキンズのクリス・ノーグレンの美術学芸員シリーズ第一作。
    もう一つのベン・リヴィアの学芸員シリーズと比べてしまいがちだが、そっちより幾分軽めの感じで、アクションも抑えめ。
    しかし主題や貴族が絡んでくる辺りはテーマとしてはほぼ同じ。
    ドイツの米軍基地が舞台の贋作に関する殺人事件を解決していく話。
    同じく脇役の人物描写が達者なので、読んでいてつっかえる感じがないので、すんなり読める。

    絵画の蒐集家というやつがどんなにオタクかというのが垣間見えておかしい。
    ベルリンやフィレンツェの情景が思い浮かべられるくらい情景描写も上手い。フィレンツェのホテルのモデルになったところにどうやら泊まったことがあるので余計そう感じたのかも。

  • 軽妙な文体で読みやすかった。

  • こっちのクリス・ノーグレンシリーズももちろん好き。

  • 学芸員の資格取っておけばよかった!と思わせるような美術館の裏話も丁寧に描かれている。ただ爆弾に狙われるような仕事なら嫌だが(笑)
    レンブラント、という単語を聞くと落ち着かなくなる方へ。

  • クリス・ノーグレン

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