神は妄想である―宗教との決別

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (578ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152088260

感想・レビュー・書評

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  • 明解な筆致で、ユダヤ教からキリスト教各派、イスラムまで俎上に載せて、バッサリと切り刻んでいく
    もちろん聖書から宗教の関わる他国の事件、過去の科学者の宗教観まであらゆる方面から引用する労作

    それでもダニみたいに宗教が生き残って、この本よりも細木ナントカや血液型差別本がケタ違いに売れる何処かの国に関しては手遅れな感じですね

  • なんだかイデオロギーっぽいね。これは、無宗教というよりも、無宗教という名の新興宗教だ。
    キリスト教文明の中で「宗教と訣別する」とか叫んでるから、こうなるんだろうね。

    ほんとうの無宗教というのは、こんなんじゃない。
    もう、キリスト教にもイスラム教にも、その他のどんな教条主義にも、いっさい触れないし、触れる必要もないし、全く興味ないし・・・・という生き方だ。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(立花隆選)11
    現代科学論
    「神は人間がつくった妄念」でないと思っている人は必読。

  • 宗教が、進化上得られた副産物であるという話は面白い。ピンカーあたりも読もうと思った。
    結論を先に書くとか主張を箇条書きにするとかしてほしかった。索引無いのは無理ゲー。斜め読み、拾い読みも難しい。

  • サブタイトルは『--宗教との決別』。

    無神論者であることを語るのにこれほどのエネルギーを費やさなければならないとは…アメリカ人を心から哀れむ。八百万の神を無意識にも理解できる日本文化は、彼らにとって「寛大」と目にうつりつつ謎も多いだろう。当然、「無神論」という言い方も怪しくなってくる。そうカテゴライズすること自体、宗教寄りの考えを主体とした偏見なのではないだろうか。

    タイトル(『神は妄想である』/"THE GOD DELUSION")の解釈を、筆者の「神」や「妄想」の位置づけから読み解くことに大した興味もないので、第1章の途中からはもう斜め読みです。

  • 「神」といっても、トイレの神様とかではなくて、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教という一神教がターゲット。著者は自分自身の考えや行動を起こすときに、「神」や「聖書」や「聖典」というものを持ち出す人にイライラするようだ。
    無神論は別に悪くないと思うし、逆になぜ人が宗教を頼りたくなるのかも知りたかったのだけど、文体がとっても攻撃的。そして執拗。なので、ちょっと飛ばし読みしてしまった。
    著者はダーウィン主義の人なので、科学と宗教の関係については興味深かった。自分の解らないことを神様のせいにしてしまうのは精神の安定上必要なことなのかもしれないけれど、それで考えることや探求することを止めてしまうのはダメだと思う。
    この本を読むことで、ひとつの宗教や考え…当然著者がモーレツに信じてる無神論だって…に取り付かれてしまい、柔軟性やバランス感覚を失ってしまうほうが恐ろしいと思った。

  • 年始からとても考えさせられました。元々漠然と疑問に思っていたことが一気に晴れる気分でした。哲学的・科学的・聖書解釈的・社会的な側面からの検証のどれをとっても論理的で違和感が無かったです。賛同ですね。そろそろ一神教的神の存在は限界なのでは?次は世界最大のベストセラーを読んでみたいです。

  • 進化生物学者のドーキンスが、
    自身の信ずる、そして世界の人々にとって価値があると信ずる
    科学の名のもとにおいて、
    「宗教」を全力で斬って捨てる本。

    いかに宗教(ほぼ本書では一神教を指す)、そして神(唯一神)を
    信じることによって、プラスではなく、歴史の中で、
    そして今でも悲劇が蓄積されてきたかを、多くの人々の事例や声を
    取り上げながら、
    「なぜ人は神にとりつかれてしまうのか?」
    「なぜ社会はそれを動かしがたいものとして進んでしまうのか?」
    を分析し、力強い言葉でその誤りを指摘し続ける。

    本書でドーキンス自身が「よく言われること」として
    「なぜあなたは神や宗教を攻撃することにエネルギッシュなんですか?」
    と問われるらしいのだが、
    おそらくその問いの発することが自然であるという状況自体が
    ドーキンスにとっては耐え難いのだと思う。

    本書を読んでいると、いかに一神教の教えが無茶苦茶でありながら、
    それに引き摺られて人生や世に無茶苦茶を発生させてきた歴史が
    長いのか、そしてそれが続いているのかということの実態を知り、
    びっくりするし、ところどころゾッとする。

    とはいえ、純粋に「科学的に」面白い話もたくさん詰まっている。
    たとえば、人の道徳観念はなぜ発生するに至り、それは宗教のおかげか
    そうではないのか?というあたりについて、哲学者の実験や
    進化生物学者としての自身の研究成果を組み合わせながら読者に
    伝えてくれるあたりは、さすが!と思う。

    生物学がここまで進んでくる以前の哲学というのは、
    結局人間そのものをフラットにメタることができていなかった時点で、
    その閉鎖系の中の「不可知論」が、勝手な思いつきを許していたわけだな、
    と気づく。
    そしてそれが、宗教からなかなか離れることができなかった大きな理由でも
    あるわけである。


    おそらく、著者は主にアメリカ人…2タイプに向けて、
    つまり「宗教に縛られて苦しむ人」「無神論者だけど少数派でつらい人」に対して
    本書を書いていると思われる。

    さて、日本人であり、信教の強制を受けることなく育ち、
    あるいは周囲にもそんなに生々しいそういう事例を見てこなかった私からすると、
    著者が本書で述べる内容は「自身の救済」や「知人の救済」といったことに
    繋がるわけではない。

    であるとするなら逆に、日本に生まれて、そういう環境で育ったことに対して
    本当にありがたいな、というのが率直な思いである。
    日本人は言語として、世界の広い地域を占める印欧語族から切り離され、
    「グローバル経済」なんていうごく最近の価値観の中では大損ぶっこいているんですね、
    なーんて思いやすいのだけれど、
    とんでもない、この「宗教紛争がもたらす人的損失」をほとんど蒙っていない
    と考えれば、とてつもないベネフィットがあったわけではないか。

    高い教育水準を受け、それなりの人口キャパシティを持ち、妙な教義の蔓延さえなければ、
    ある国家というのはどれだけ成長できるかというのの見本みたいなものだともいえよう。

    日本の戦後の発展の理由を、ある人々は「憲法九条のおかげ」といい、
    またある人々は「日米同盟のおかげ」といい、
    また別の人々は「勤勉さとものづくり精神のおかげ」といったりする。

    だが本書を読んで私が思ったのは、一番には、上述の
    「人口キャパシティ×教育水準×宗教的損失の少なさ」
    という式の投入変数の問題じゃないか、ということだ。

    本書では、日本についてはほとんど触れられていない(ちょっと神風特攻隊の話が出るだけ)。
    おそらく上述のように、一神教の打破に目的があり、エネルギーを注ぐのが主であり、
    著者が科学者だから、というのも大きいとは思うけれど、
    もし彼が日本に生まれていたら、きっと楽しく人生を送ってそれで
    終わっていたに違いない(笑)。
    (って2011年12月現在、まだ著者は健在です、念のため)


    彼の科学者としての探究は、時代や文化を超えた普遍的真理に到達するための旅であるが、
    彼の言論者としての闘争は、まさにこの時代や文化そのものを正したいという情熱に始まる
    苛酷なるランといえよう。
    その強さに、心からの敬意を。

  • 圧倒的な論理を武器にして、タブーを恐れずに科学的な姿勢を貫き通すドーキンスさんかっけー。過激すぎて狂信者に命を狙われないか心配になるがw

    特に前半の、神が存在しないことの証明や、宗教の進化論的起源についての話は非常に面白かった。

    私にとって、『利己的な遺伝子』 http://blog.livedoor.jp/froo/archives/50894182.html に次いで2冊目のドーキンス。ミームについても昔から興味あって、スーザン・ブラックモア『ミーム・マシーンとしての私』 http://blog.livedoor.jp/froo/archives/50866307.html もすでに読んでいた私にとって、興味深い内容だった。

  • ドーキンスの理論は、進化論的、生物学的にはほぼ穴がない。その意味でドーキンスはすごい学者です。
    そしてキリスト教を中心に一神教圏における宗教の弊害は凄まじいものがある、それも確かなこと。
    この本でもそれら一神教に限定する、と冒頭で明言されています。
    でも、東洋の多神教文化圏に属する者からみれば、ドーキンスさんのやり方はいささかオーバーキル気味です。「やりすぎ」なんです。
    それに進化論的、生物学的に見れば穴のない理論も、量子物理学的にはとても完璧とは言いがたい。
    目に見える、それと認識できる「物質」だけを対象とする生物学なら、「目に見えない存在」など一笑に付してればすみますが、この宇宙でそのような「物質」はたったの4%を占めているに過ぎません、物理学的には。

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著者プロフィール

英国の進化生物学者。世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』で知られる。ほかの著書に『盲目の時計職人』『神は妄想である』『遺伝子の川』『進化とは何か』など多数。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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