神は妄想である―宗教との決別

  • 早川書房
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本棚登録 : 1402
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (578ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152088260

感想・レビュー・書評

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  •  生物学者による「神は妄想である」と論じた本。

     自分の人生において「神の意思」を感じたことはないけれど、わざわざ「神様はいない」とも否定はしないで生きてきた。
     けど、コレを読むと、私は無神論者なんだなぁと感じる。

     現代社会において、信仰について口にすることはタブーとなっている。けれども、その信仰がさまざまな弊害を生んでいるとしたらどうなんだろう……?
     たとえば、生まれた時から家族が信仰をしていて、子供もごく自然にその信仰をしている場合「信仰しない」という選択を選べるのだろうか。信仰について疑問を抱くことは出来るのだろうか?

     考えに考え抜いて「自分自身が信仰を選択する」のであれば、いいとは思うんだけど……でもやはり違うかなぁと。
     私が超自然現象が嫌いな理由は「自分では判断が付かないから」である。趣味や遊びで見る分にはいいけど、占いやら霊やら神の言うことが正しいか否か、自分には判断が付かない。「自分以外の誰か」に選択権をゆだねることの恐ろしさを、ほんとに考えてみて欲しい、と思う。

     その危険性について「神とは何なのか?」と考えるきっかけになる良い本だとは思う。が……分厚いので、あんまりオススメはしにくいのが難点。

  • 第1章 すこぶる宗教的な不信心者
    第2章 神がいるという仮説
    第3章 神の存在を支持する論証
    第4章 ほとんど確実に神が存在しない理由
    第5章 宗教の起源
    第6章 道徳の根源
    第7章 「よい」聖書と移り変わる「道徳に関する時代精神」
    第8章 宗教のどこが悪いのか?なぜそんなに敵愾心を燃やすのか?
    第9章 子供の虐待と、宗教からの逃走
    第10章 大いに必要とされる断絶?

  • 神がいないこと、宗教への敵愾心を著者が燃やす理由が爽快に書かれている。

  • 全体的に宗教への嫌悪感が溢れている。それが冷静な議論を妨げている感じがする。
    無神論、進化論が当然の前提として、宗教を非科学的、邪悪と決め付けている。
    しかし彼の宗教理解は幼稚であり、昔から言い古された批判も多い。
    また彼がやり玉に上げる「宗教」自体、広範囲なカテゴリであり、あいまいである。
    したがって彼が指摘する問題が宗教界の一部分であり、かつ宗教の本質からずれている。
    だから、彼の指摘は私には届かない。私の信仰は、彼の批判の対象になりえないものが多い。

    また彼は歴史の中で宗教が果たしてきた役割、良い面については全く触れない。これは公正さを欠く。

    彼の問題点は
    1、すべてを論理的に科学的に証明しようとしているが、それがすべてではない。
    2、宗教、信仰への偏見、憎悪に動かされており、公正さを欠く。

  • 文庫になるまで待てるか。

  • 『利己的な遺伝子』で有名なドーキンスさんの少し気負った感じのするタイトルの新刊です。

    途中までは共感しながらも、「もうそんなことはわかってますよ、ドーキンスさん」と感じるのですが、進めるうちに「ああこれは宗教家の回心ではなく、無神論者に対して連帯を呼び掛ける本なんだな」と感じられるようになります。特にアメリカのいわゆる知識人に対して書かれているのですね。あのドーキンスが、かなり退屈で冗漫な『祖先の物語』のような本をどうして上梓したのかという理由が少し分かるような気がする本です。

    最後の10章は著者が最も言いたいことのようにも思うのですが、和訳の問題なのか少し空回りしているようにも思いますが、どうなのでしょう。それにしてもやっぱり長いすよ、ドーキンスさん。

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    もう何年か前にアメリカに留学をしているときに、たぶんその学生のレポート作成のためのだったと思うのですが、日本人の宗教観について短いインタビューを受けたことがありました。そのときには、ものすごく当然のようにほとんどの日本人は本当に神様がいるなんて思ってなくて、この国(=アメリカ)の基準で言えば特定の宗教は持ってない、なんて答えましたのですが、少し不注意だったのかもしれません。

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    こういう話でときに思い出すのは若かりし頃に読んだウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』の次の一節です。
    「世界がいかにあるか、ということは、より高次の存在にとっては、全くどうでもよいことだ。神は世界の中には顕れない ... 世界がいかにあるかが神秘なのではない。世界があるという、その事実が神秘なのだ」

    ドーキンスはあの書物を乗り越えて「語りえぬもの」についても語ろうとしているのでしょうか。そうなのかもしれません。ただし、宗教の有害性について明白にして指弾することがここでの第一の目的であることは間違いないところなのですが。

  • 2007/12/23 購入
    2007/12/31 読了 ★★★
    2009/12/15 読了

  • 正直なところ内容はわかるが、宗教が身近に浸透していない私にはよく理解できないところ。しかも著者の考えでは、多くの日本人が信じるところの仏教や神道(神社)は宗教というよりも倫理観や道徳ということみたいです。

    もっと宗教、歴史について見識を深めたいと思う一冊でした。中東で起こる戦争など、それらの知識がないと深く理解できない事柄も多いですし。。。

  • 2009/9/15図書館で借りる
    2009/9/22読まずに返却

    借りたが読む気にならない。分厚すぎる・・・(笑)。時間の無駄だと感じた。他に読むべき本がある。

  • 500を超えるページ数でひたすら科学的視点、分析に基づいて論理的に神と宗教の存在がいかにダーウィン進化論的に不合理であるかを考察している。

    初めのうちにはリチャードドーキンズ(ちなみにこの人はかの有名な「利己的な遺伝子」を書いた)の論理展開がきわめて複雑で斜め読みを許してくれないくらい緻密なので辟易とするが、中盤あたりから神の存在・及び宗教が道徳を形成する矛盾とその存在を否定しようとする論理展開が、膨大な著者の知識背景と事実に基づいた科学的議論に則っているだけではなく切れ味鋭く白熱してくる。最後の最後になり、初めて事実と論理という枠組みからはずれ修辞によって科学の素晴らしさはブルカ(イスラム教の女性が着る黒い服)の視野を広げることである、という比喩を使い科学の面白さを語るときに読んでいて本当に好奇心が刺激され、高揚感を覚えた。

    量子論にたとえられるシュレディンガーの猫(箱を開ける前は死んでもいないし、生きてもいなく、すべては確率)、多次元的宇宙論、生物ごとにとっての「色」を認識するソフトウェアの違い、などの話は本当に唸るくらい刺激的。

    科学は真理を解明することであるという、著者の信念が伝わって来て自分も理系の院生なので少しはその気持ちに共感を覚えたり、いまさら科学って素晴らしいななんて、懐古してみたり笑。

    科学は趣味として、読み物として接する分には最高に面白いのですが、いざ自分が時間かけてやるとなると進歩が遅すぎて性分に合わないなと感じるわけです。


    内容は間違いなく☆5つなのですが、4つにしておきます。
    それは著者の主張する内容と対象とする人物があまりにもかけ離れていること。神を信じ科学を否定する人間にこのような論理展開をしても論理そのものをわかっていないので彼らにはなにも伝わらないでしょう。つまり、この本を読んで納得する人は論理展開と科学的背景をかじっている人であるということ。


    よくよく読みこむと、著者の論理の展開の美しさがわかります。でも、斜め読みじゃ意味不明なのでじっくり、生物の教科書を読むような気持で取り組まないと、何を言っているか意味不明になる。

    著者の公開討論は一回は聞いてみたい。

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著者プロフィール

英国の進化生物学者。世界的ベストセラー『利己的な遺伝子』で知られる。ほかの著書に『盲目の時計職人』『神は妄想である』『遺伝子の川』『進化とは何か』など多数。

「2022年 『これが見納め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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