血液と石鹸 (ハヤカワepi ブック・プラネット)

  • 早川書房
3.53
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本棚登録 : 233
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089571

感想・レビュー・書評

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  •  ベトナム系アメリカ人のディン氏によブラックユーモアとアイロニーに満ちた短篇集です。

    ■概要
    牢獄で一人、何語かさえ不明な言語の解読に励む男の姿を描く「囚人と辞書」。逮捕された偽英語教師の数奇な半生が明らかになる「"!"」。不気味でエロテックな幽霊とのホテルでの遭遇を物語る「もはや我々ともにない人々」。アパートの隣人が夜中に叫び続ける機会な台詞の小体に迫る「自殺か他殺か?」など、ブラックユーモアとアイロニーに満ちた37編を収録。

     「真面目さの足りない神」の視点を持つとは訳者柴田氏の評ではありますが、私にはこの作者からは不まじめさは感じない。むしろ、シリアルな問題意識と反骨精神を帯同した作者であると思う。

     「囚人と辞書」と「"!"」では、言葉のもつ定義の軽さを取り上げています。定義の軽さを指摘することは、言葉が武器である作家にとって重要であると思う。言葉は大体において、その内容よりも誰が言ったほうが重要である。いわゆる言葉は権威であり、権威と内容はそれぞれ耐え難い軽さを持っているいえる。これは、風刺にも見えるのです。

  • 屈折しまくってます
    ミステリー風のものあり、わずか1ページで終わる短文あり、リストで構成されたものあり、エキセントリックで異色な短編37編。
    とてもシニカルでアイロニーに満ちていて、ブラックユーモアが効いている。
    こんなに自虐的で屈折しまくりなのは、ベトナム戦争末期にアメリカに亡命した著者の経歴が、少なくとも影響しているようなのだが、
    ともかく、難しい事は考えず、さらりと気軽にディープな世界に持ってかれちゃってください。

  • こういうの結構好きだな〜短編で読みやすい。タブッキが好きな人にはおすすめ。タブッキより皮肉っぽいけど。

  • [ 内容 ]
    牢獄で一人、何語かさえ不明な言語の解読に励む男の姿を描く「囚人と辞書」。
    逮捕された偽英語教師の数奇な半生が明らかになる「“!”」。
    不気味でエロティックな幽霊とのホテルでの遭遇を物語る「もはや我らとともにない人々」。
    アパートの隣人が夜中に叫び続ける奇怪な台詞の正体に迫る「自殺か他殺か?」など、ブラックユーモアとアイロニーに満ちた37篇を収録。
    名高い詩人であり小説家としても活躍する著者が贈る異色の短篇集。

    [ 目次 ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • モンキービジネスで気になって読んだら、やっぱりおもしろかった。一番はパルメザンチーズです。皮肉っぽくて、陰気な感じがむしろいい。

  • いくつかタイトルが気になるものを拾い読み。
    文体は結構好き。

  • 短編集。数文のみで構成されるような超短編もいくつか含まれる。
    数個の文の集まりなのにくっきりと脳内に浮き上がる光景、思いがけない展開。とても不思議です。
    タイトルはちょっと怖い印象を与えますが、短編ということもあり、グロい描写が続いたりはしません。

著者プロフィール

1963年、ベトナム、サイゴン生まれ。詩人、小説家、翻訳家。ベトナム戦争末期の75年、アメリカに居住。2007年、詩集『Borderless Bodies』(未邦訳)でAsian American Literary Award受賞。2018年、ベトナムに戻った。著書に『血液と石鹸』(早川書房)、『Love Like Hate』(未邦訳)など。

「2018年 『アメリカ死にかけ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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