- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152092533
感想・レビュー・書評
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映画監督を夢見る門川誠一青年は、アパート管理のアルバイトをしていたが、そのアパートで独り暮らしの帯屋史郎老人が亡くなった。その遺品整理をしていた時、8ミリフイルムとその映写装置を見つけ、思わず、そのフイルムを見て、その中の映像に惹かれてしまう。そして帯屋老人の人生を映画にする決心をして、帯屋老人の人生を振り返る為、関係する人々の調査へ乗り出す。
独居老人の死亡に焦点を当てながら、一方で再び戦争を思い出す悲しい、しかし素晴らしい作品だ。 -
「絵」でも
「書物」でも
「映画」でも
戦争というテーマを中心に据えて書かれたものには
つい手をだしてしまう
たいがいのことは「想像」する力を発揮する中で
自分の中に落とし込んだり、自分の中で思考したりしていくのだけれど
この「戦争」というものは
そんななまやしい「想像力」では及びもつかないものであるような気がしている
でも その実体はそれなりに把握したい
もちろん「体験」など絶対にしない方がいい
それだからこそ
きな臭く感じることの多い今だからこそ
それなりに自分の中で考え続けておきたいものだ -
9月-10。4.0点。
孤独死老人の過去を追うことになった、アルバイトの映画青年。
老人の残したフィルムと、ノートを元に、
戦友とか、前妻とかにインタビューしていく。
結局ドキュメンタリーを撮ることになる。
面白かった。もう少しボリュームがあった方が良いかな。
恋愛感情とか、嫉妬とか、友情とか、いろいろ詰め込んであったけど
上手く、まとめたと思う。 -
映画監督を夢見ながら、アパート管理のバイトで生活する青年。ある日、アパートで「孤独死」した老人の遺品整理をしていると、部屋から古い映画雑誌と一緒に、映写機や8ミリフィルムを見つける。フィルムの内容に心惹かれて、老人の生きた人生のドキュメンタリーを作ろうと思い立ち、老人に関わった人たちを辿っていくと、思わぬ歴史の秘密に辿り着く。
とってもおもしろくて、一晩でぐいぐい読めました。キネマ旬報の話や、たくさんの映画の話が散りばめられてて(ジプシー・キャラバンまで!)それも楽しかった。
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トコズンドコ
深度十五メートル想いを抱いて
消えたあいつの魂いづこ
必ず生かすぞ生かします
可愛いあの子に会える日まで
和美、許してくれ。私はもう、君のかぶとの中での主張は、このまま飲み込むつもりだ -
和美が笑っていたところを読み返すと、また胸が熱くなってくる
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映画監督を夢見て、を理由にフリーターをしている門川は管理人のバイトで、孤独死した老人、帯屋の遺品整理をすることになる。そこで偶然見つけた古い映画雑誌、映写機、8mmフィルムが気になり持ち出す門川。雑誌に挟まっていたノートに書かれた不思議なズンドコ節や8mmの映像を見て、帯屋の人生に興味を持ち、ドキュメンタリー映画を撮りたい!と思うようになった門川は様々なことを調べ始める。
門川はとにかく必死。こんな風にこだわって人に興味を持つっていう経験はないかも。人の死に様はその人の生き様。なるほどと思った。最後の帯屋の人生感が良いな。 -
孤独死した老人の残した8ミリフィルムに惹かれたアルバイトの若者が、その人生を追っていく。ミステリーの要素もあるが若者の成長物語として読める。
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老人の孤独死について考えさせられる作品でした。お話のテーマは重いですが、作者のあたたかな視点が印象的でした。