しらない町

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 150
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092533

感想・レビュー・書評

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  • 亡くなった老人の帯屋史朗の遺品を整理していた誠一は
    史朗が若い頃撮った8ミリフィルムを見つける。

    映写してみると、どこかの田舎である。
    田舎の道を40代くらいの可愛い女性がリヤカーを
    引いている。

    史朗はなぜ隠すようにしてこのフイルムを持っていたのか。

    誠一は史朗が撮ったこの女性に会ってみたいと思った。

    誰だって、自分の人生は自分が主人公である。
    誰だって、一番輝いていた時がある。

    人と人との感動の絆です。
    心に残る一冊となりました。

  • 映画監督を夢見る門川誠一青年は、アパート管理のアルバイトをしていたが、そのアパートで独り暮らしの帯屋史郎老人が亡くなった。その遺品整理をしていた時、8ミリフイルムとその映写装置を見つけ、思わず、そのフイルムを見て、その中の映像に惹かれてしまう。そして帯屋老人の人生を映画にする決心をして、帯屋老人の人生を振り返る為、関係する人々の調査へ乗り出す。
    独居老人の死亡に焦点を当てながら、一方で再び戦争を思い出す悲しい、しかし素晴らしい作品だ。

  • 「絵」でも
    「書物」でも
    「映画」でも
    戦争というテーマを中心に据えて書かれたものには
    つい手をだしてしまう

    たいがいのことは「想像」する力を発揮する中で
    自分の中に落とし込んだり、自分の中で思考したりしていくのだけれど

    この「戦争」というものは
    そんななまやしい「想像力」では及びもつかないものであるような気がしている
    でも その実体はそれなりに把握したい
    もちろん「体験」など絶対にしない方がいい

    それだからこそ
    きな臭く感じることの多い今だからこそ
    それなりに自分の中で考え続けておきたいものだ

  • 9月-10。4.0点。
    孤独死老人の過去を追うことになった、アルバイトの映画青年。
    老人の残したフィルムと、ノートを元に、
    戦友とか、前妻とかにインタビューしていく。
    結局ドキュメンタリーを撮ることになる。
    面白かった。もう少しボリュームがあった方が良いかな。
    恋愛感情とか、嫉妬とか、友情とか、いろいろ詰め込んであったけど
    上手く、まとめたと思う。

  • 映画監督を夢見ながら、アパート管理のバイトで生活する青年。ある日、アパートで「孤独死」した老人の遺品整理をしていると、部屋から古い映画雑誌と一緒に、映写機や8ミリフィルムを見つける。フィルムの内容に心惹かれて、老人の生きた人生のドキュメンタリーを作ろうと思い立ち、老人に関わった人たちを辿っていくと、思わぬ歴史の秘密に辿り着く。

    とってもおもしろくて、一晩でぐいぐい読めました。キネマ旬報の話や、たくさんの映画の話が散りばめられてて(ジプシー・キャラバンまで!)それも楽しかった。
    ---
    トコズンドコ
    深度十五メートル想いを抱いて
    消えたあいつの魂いづこ
    必ず生かすぞ生かします
    可愛いあの子に会える日まで
    和美、許してくれ。私はもう、君のかぶとの中での主張は、このまま飲み込むつもりだ

  • 和美が笑っていたところを読み返すと、また胸が熱くなってくる

  • 映画監督を夢見て、を理由にフリーターをしている門川は管理人のバイトで、孤独死した老人、帯屋の遺品整理をすることになる。そこで偶然見つけた古い映画雑誌、映写機、8mmフィルムが気になり持ち出す門川。雑誌に挟まっていたノートに書かれた不思議なズンドコ節や8mmの映像を見て、帯屋の人生に興味を持ち、ドキュメンタリー映画を撮りたい!と思うようになった門川は様々なことを調べ始める。
    門川はとにかく必死。こんな風にこだわって人に興味を持つっていう経験はないかも。人の死に様はその人の生き様。なるほどと思った。最後の帯屋の人生感が良いな。

  • 孤独死した老人の残した8ミリフィルムに惹かれたアルバイトの若者が、その人生を追っていく。ミステリーの要素もあるが若者の成長物語として読める。

  • 老人の孤独死について考えさせられる作品でした。お話のテーマは重いですが、作者のあたたかな視点が印象的でした。

  • 良い話でした。
    夏の反戦ドラマにしたら良いと思います。
    2時間の前後編で、ぜひ。

著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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