TVピープル

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163115108

作品紹介・あらすじ

得体の知れないものがせまる恐怖、生の不可解さ、そして、奇妙な欠落感…。生と死、現実と非現実のあいだ…。小説の領域をひろげつづけてきた作家の新しい到達点。

感想・レビュー・書評

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  • 「TVピープル」と聞いて、どんな人を想像するか?

    TVの中でしか存在できない、別世界の人。
    TVに夢中になりすぎて、TVの中に取り込まれてしまう人。

    現実世界の「こっちの人」と、TV世界の「あっちの人」の交流を期待して読み始めると、「ん?何か違うぞ!」と期待を裏切られる。

    人間よりいくぶん小さい「TVピープル」は、テレビを部屋に運び込み、設置し、点検していく。しかも、ソニーのカラー・テレビだ。

    いったい、何のため?
    最初のうちは、一言も口をきかず、ただ、テレビを設置していたが。。。


    あれ?
    今、誰か目の前を通っていった??

  • バージョンアップ版の『ねむり』を読んでから一年経ち、バージョンアップ前の『眠り』が収録された短編集を読んだ。

    最初に載っていた『TVピープル』は話の雰囲気が『アフターダーク』に似ている気がした。あれも確かTVのなかがどうのこうのという描写があったと思う(あいまいな記憶だからもしかしたらなかったかもしれない)。

    そのほかの短編も、バージョンアップ前の『眠り』も理解はできなかった。念のため一年前の『ねむり』の感想を読み直してみたが、やはり理解出来ていなかったみたいだ。自分のどうしようもなさに笑ってしまう。

    『眠り』の主人公の女はソファでお菓子を食べながら時間をかけて読書をする。読書の合間には運動もする。
    その生活スタイルに共感した。
    自分も何か食べながら本を読むのが好きだし、何時間か読んだらジムに行って運動をしてまた読書をする、という休日の過ごし方が一番好きだ(この読書スタイルを実践する際、本を理解しているかどうかは自分にとってあまり重要なことではない)。

  • 佐々木マキの表紙がかんぺき。

  • 川上未映子が絶賛していた”眠り”が収録されているので読む。
    ”眠り”歯科医を夫に持つセレブな妻が眠れなくなって2週間くらい一睡もしないのに眠くなく”アンナ・カレーニナ”を予後と読みふけり夜のドライブをし、不穏な感じで終わるんだけど、女性の心理描写がほんとに上手い。想像力でこれだけ書けるものだろうか。
    しかも、この短編集みんな面白かった。
    最近の長編よりもむしろ面白かった。

  • 短編集。幻想?ホラー?
    不思議な作品たち。
    「我らの時代のフォークロア」は『ノルウェイの森』を思わせる雰囲気。
    「加納クレタ」と「ゾンビ」は、ショート・ショートほどの短さのホラー。
    表題作が一番謎だった。

  • 二度目の「眠り」が染みた。
    きっとこの女性は昏睡状態か何かにあって、眠れない日を17日間過ごしているのだ、という仮定で読み進めると、「傾向」にずっと自分の時間を奪われてしまって、本来の自分らしさを損なっていることに気づく物語なんだとわかって、今の現代人になんてぴったりなんだろうと思った。

  • 「TVピープル」

    ある日、テレビのない家にテレビを運んでくる男3人組、またまた訳のわからない小説だ。
    結局、最後まで訳の分からないままで終わる。
    いったい何なんだ?

    「飛行機-あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」

    副題に”いかにして”とあるが、結局それはわからないまま。
    何を言いたいのか?

    「我らの時代のフォークロア-高度資本主義前史」

    みんなのレビューを見ると、一番人気のようである。
    処女性というか、そういう女性のひとつの生き方を提示する話。
    みんなこんなのが好きなのか?

    「加納クレタ」

    とても魅力的な女性がたびたび男から犯されることから、
    それに対処する方策に関してのお話。
    あまりに現実離れ(この話しだけではないが)しているため冷めた目で読んでしまう。

    「ゾンビ」

    マイケル・ジャクソンのスリラーのPVのようなお話。
    終わり方も同じ展開。

    「眠り」

    これも人気の作品のようです。
    この作品の中に出てくる「アンナ・カレーニナ」は誰もが聞いたことのある
    トルストイの名作。
    僕も小学生のときから気になっていたものの本の分厚さからなかなか読むのが
    おっくうになっていてまだ読んだことがない。
    僕だけでなくいろんな人が今一度読んでみようかな?と考えるそうだ。
    それはさておき、この「眠り」も終わり方が気に入らない。

  • 子供の時なぜか。

  • 我らの時代のフォークロアが良い。
    処女性の重視について。
    ある一線を超えると、何かを失ってしまったり、変わってしまうことがある。
    でも人間は成長していくもので、一線を超えようが超えなかろうがじわじわと変化していく。自分が望んでいなくても関係なく。
    恋人など、対人関係において、相手に望むタイミングが違っていても、それは個人の問題だから当たり前の事だ。

    キッカケとタイミング。
    性に限定せず、気づいた時から世界が違って見えた時など、日常的な色々なことのメタファーになっている作品だと思う。

  • 主人公が女だったり、語り手が登場人物ではなかったり。
    村上さんの作品にしては珍しいが
    それだけで、特におもしろくはなかった。

  •  以前、読んだことがあるはずなのに、こんなに新鮮に読めるのはなぜなのでしょう。私の記憶力が落ちているということもあるけれども、それだけ、この本の中身が日常からかけ離れているせいではないでしょうか。つまり、記憶に残そうとしても、記憶がすがりつく壁がないというか、何というか。あるいは、逆に言うと印象に残りにくい、よく言えばシンプル、悪く言うと淡泊というような面があるのかも。

     とにかくすごいのは、絶対あり得ないことなのに、何の状況の説明もないこと。例えば、最後の「眠り」では、1週間も2週間も眠らずに過ごす女性が登場しますが、どうしてそうなったのか何の説明もありません。いやそれどころか、当の本人も理由が分からないまま話は突き進むのです。しかも、話が終わっても何ら解決しない(笑)。普通そこまでされると、違和感があってストーリーに入り込めないのですが、ハルキ・ワールドではノープロブレム。がんがん入り込んでしまいます。

     一度、村上氏の作品で国語の授業を受けてみたいな。小学校でも中学校でも、高校でもいいから。みんなで段落ごとに読んでいって、意味の解釈をしたり、主題を考えたり、国語の先生にじっくり解説して欲しいです。

     きっと、昔より国語の時間が好きになると思います。(でも、テストの点は取れないかも)

  • ちょっと抽象的すぎて難解であった。
    長編の方が、抽象的ながらも作者の言いたいことがわかりやすい気がしました。
    でも東京奇譚集は面白いですけど。

  • どれこれも最後がコワイ!どうなったんだろうか気になる…

  • 実家に帰ったついでに本棚の奥から取り出して、再読した。再読といっても、最後まで読んだのか、途中で放り出したのかほとんど覚えていない。ましてやそれぞれの短編のストーリーは全く記憶の外である。
    改めて、読み直して見て、それぞれの短編が後の長編、多くはネジマキ鳥クロニクルに散りばめられている材料の断片ばかりだということに気づいた。また、どの小説もはっきりとした結論がなく、中途半端な状態で小説が終わっている。これは村上春樹の小説の特徴なのか。

  •  社会の隙間から引っ張り出してきたみたいな短編の集まり。「我らの時代のフォークロア」「眠り」が好き。見えない悪が描かれ(ているように思う)、「ねじまき鳥〜」「1Q84」の土台と感じられる。

  • ★TVピープル
    TVピープルとそうでない人、TVの画面と内と外とかが曖昧になっていく? よくわからなかった。
    ★飛行機──あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか
    結婚生活は上手く入っている、子供も愛している、でも僕と寝る彼女。彼女は僕の前で泣く。彼女は僕自身気付いていない独り言を指摘。僕自身気付いていない独り言とそれを聞かされた僕と彼女が考えた(連想した)ことの同一性に彼女は又泣く(?)おセンチ(笑)
    ★我らの時代のフォークロア──高度資本主義前史
    60年代、処女性について結婚までは信仰がまだ半分ほど女性に残っていた。そんな前提で僕の知り合いの話。オール5の彼はオール5の彼女と付き合って、互いに初めて気の置けない仲になれた。けど彼女は処女性を信じ彼と繋がることを拒否していた。結婚すると言っても拒否、大学生になってもしつこく迫ると彼女は言った、処女で結婚するが、あなたのことはずっと好きだから結婚した後で浮気する、と。彼には当時理解できなかったが僕は「かわいそうに」という。彼も頷く。そして28歳のとき彼女から電話をもらい彼女の家に行くが、彼らは繋がれず、さよならを言う。そして彼は女を買う。以下103頁引用参照のこと。
    ★加納クレタ
    ねじまき鳥に出てきたことは覚えているが忘れた。
    ★ゾンビ
    マイケルジャクソンのPVよりどろどろしてる
    ★眠り
    不眠になってから自分の自由を謳歌する主婦だが、主人の老けによる醜さや子に受け継がれた血筋を厭わしく思ったり、最後は深夜止めた車をひっくり返そうになりながら自分の変化に泣く。
    不眠により自由時間が増えたと錯覚したが、異常は異常であり「何かが間違っている」「でも何が間違っているのか、私にはわからない」。
    結局異常は幸せではないってこと?

  • 「TVピープル」「飛行機ーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」「我らの時代にフォークロアー高度資本主義前史」「加納クレタ」「ゾンビ」「眠り」以上6編。読んだことあるのもありましたが、ないのもあり、楽しかった。1作1作もしこの立場ならと考えてしまう、気持ちの入り込み方。さすが、村上春樹。

  • ある日突然眠れなくなってしまった。
    眠らなくてもすっきりしているのだ。
    頭は働くし体も軽いしなんだか綺麗になってきた。
    傾向をリセットするだけの人生なんて飽き飽きだ。
    睡眠に当てていた分の人生を拡大するのだ。
    「睡眠」ほか全6編。
    装画:佐々木マキ

    空想と現実が入り混じったような話ばかり。
    「飛行機」もわりかし好き。散文のような。
    長いひとりごとを全く覚えていないということがあるのか。

  • 初読のとき、TVピープルがなんだか知らないけど本当に怖くて寒気がした。

  •  

  • ねじまき鳥クロニクルを読んでいる途中に気分転換として読んだので、加納クレタの話にかなりびっくりしました。てっきり番外編的なものだと…そういえば村上さんもあとがきで短編から長編に発展するどうこう言ってましたよね…。社会的に見たら堕落しているものも村上さんが書くとスマートに見えてしまうのはなんでかなぁ。

  • 個人的に、ここに収録されている『ゾンビ』という話の印象が拭えません。その短さからは想像できないような衝撃を受けました。短編で「すごい」と感じたのは、この作品が初めてだったと思います。『TVピープル』や『飛行機』は相変わらず抽象的で意味を含んだ、『眠り』と『加納クレタ』からは寂しげな印象がありました。

  • 非現実的な現象が目の前で起きてふわふわした感じのまま終わる。不思議な感じの小説だった。

  • いちばん好きなのは「ねむり」かな。

  • 「眠り」が好き。

  • 怖さを感じつつも、不思議さの漂う異空間が私は好きです。

  • アフターダークを思わせるTVピープルを含む短編集。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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