- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163171807
感想・レビュー・書評
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辻仁成氏が祖父をモデルに、筑後川の最下流、有明海に接する河口の島・大野島を舞台に描いた大河小説。
「何のために生きるのか」、「死とは何か」という生きていく中で誰もが必ず行き当たる命題を絶えず考え続けた主人公・鉄砲屋稔の人生が、淡々とした文章で彩られていく。
地味だけど退屈じゃない、一人の人間の生き様がそこに在る。
戦争で敵を殺したことに悩み続け、愛する者たちを失った先にたどり着いた、遺骨で仏を作るという試み。実際に大野島にそれがあるのですね。画像を検索して見たら、白くて綺麗な仏様でした。
作中で稔が至った死の境地、
「死とは常にそばに在ることだと思うとです。生きたもんのそばに在ること、それが安らかな死だと思うとです」という言葉に深く感じ入りました。
死が絶望なら生きる意味はあるのか?という彼の一生の命題に対する答えだったのでしょう。
穏やかで満ち足りた読後感を味わえる作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
辻仁成、私的には五冊目。
デビュー当時の鼻に付く表現は、ぐっと影を潜めた。感情表現が、煩わしくなく、でも、ストレートに伝わってきた。
先入観なく(というかほぼ情報がない状態で)読みはじめたけれど、死を出発に生を思う主人公の人生に引き込まれた。
辻仁成は、角度を変えながら、生を語っているのかもしれない。
ただな、少し前に読んだ『右岸』とかぶるんだよな。だから、読むのは時々にしよ。生きることを真面目に考えたい時に(^^) -
彼のお薦め、構想や視点が面白かった。一度読み終えてすぐに「最初はなんだったかな」って戻って読んでしまう本って、巧いなって思うんだけど‥そんな本だった。
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読み終わったあとに、しみてくるかんじ。