グロテスク

著者 :
  • 文藝春秋
3.55
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本棚登録 : 2436
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163219509

感想・レビュー・書評

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  • いくらもがいても満たされない日常。その中で、実は自分には違う一面があり、それが支えになる‥わかります。推し、副業。
    思春期の女の子の残酷さ、中年といわれる年齢になったてからのもがきなどの描写や観察眼が鋭い。グロテスクに身をやつしても毅然として潔い女たちへの密かな応援の気持ちが芽生えます。

  • 相変わらずの救いのなさ…
    気持ち悪くなるのはわかってて、読んでみようかと思わされる不思議なクセになるやつ。
    どいつもこいつもこんなに闇ってあるか?

  • 名前に惹かれて読み始めたが、自分には読み進めるのがきつい。
    好みの分かれる小説。

  • 全編を通じて主たる登場人物の3人(私、和恵,ユリコ)の男性(世間、男性社会)に対するスタンスを基本とした価値観や生活スタイルに改めて考えさせられる。
    本作の時代背景が1980年代だったことから40年たって現代どれくらい変わったのかは著者の他の著作を読んで確認していこうと思う。
    ユリコを殺した中国人の章はあまり必要ないかなと思った。彼の告白が嘘に塗り固めた自己弁護のもののようで余り本作の日本女性のメンタルと差異がありすぎるかなと思った。
    最後の章もあまりに唐突で主人公の私が盲目の美少年の甥と組んで立ちんぼになる件は意外性を狙っただけで尻すぼみな印象だった。

  • 桐野さんの作品を何冊か読んだけど、代表作の一つだけあって、ドロドロしたいかにも桐野さんらしい話だった。

    複数の人の視点で語られることと、それぞれ少しずつ供述が違っている点が貫井さんの愚行録と似ていると感じた。学校内のカーストを描いている点も同じだし。(グロテスクの方が先だけど)

    主人公の視点で語られるパートが一番多いけど、それがユリコや和恵、ミツルの言葉でどんどん解釈が変わってくる。

    前半では主人公が和恵を苛めてるのがいい気味と思ったりもしたけど、Q女子校という階級社会で苛められてるのは主人公も一緒だった。

    和恵について散々現実認識能力が足りていないと言っていたけど主人公も相当だと思う。
    こうはなりたくないなって、反面教師…。

    ユリコが賢く強かな人なのはよかった。

    主人公がユリコの息子・百合雄を溺愛するようになったのは控えめに言っても気持ち悪かった、、
    結局一番美醜に拘っているのは主人公だった。

    主人公の名前、このままずっと出てこないのかなと思っていたら和恵でさえも「ユリコの姉」呼ばわりだった。でも主人公の名前が最後まで明かされない作品って大抵面白いですよね。。

  • 人間、自分が悲しむことや傷つくことを恐れて、それを人生の中から切り離した瞬間からこの世で戦うということしかできないのかなと思った。幼い頃に出来上がってしまった歪んだ「社会」像。子どもの頃は世の中を俯瞰できないし、自分の環境こそが全てで、そこで勝たなければいけないと思うのは当然のことだと思う。常に勝ち負けや優劣が存在している世界。でも、いつまでもそこに囚われ続けて生きること、自分らしく輝ける居場所を見つけられないことの虚しさを感じた。あるいは、そこにある歪みに傷ついてるのに、傷ついてるって言えないことの辛さ。

    自己愛をベースに自分の喜びから何かを選択することを決意できない限り、永遠にその囚われの中で誰かに自分の存在価値を認めてもらうことを求め続けなければいけないのだろう。世界と壁を作りながら、その中で幸せを掴むことは恐らくできないのに、いつまでも外側の価値観に従って認められた瞬間こそが自分の幸せだと勘違いしながら生きる…やっぱり虚しいことだなぁと思った。悲しみや傷つきを見せたくないから誰とも繋がらなくなる。虚勢を張って誰にも本音を言えないし、人を寄せ付けないような人たちの心をのぞかせてくれた桐野夏生さんに感謝したい。

  • 「東電OL殺人事件」をモチーフにした小説。タイトルどおり、精神的にグロテスクな内容で、本の引力にがっつり引き込まれますが常に気分が悪くなります。
    小説としての出来は素晴らしいです。人間関係がうまくいっている時に読むのがいいです。

  • 気持ち悪くなりながらも、最後まで引きこまれて読んだ。ラストが何とも…こわっ…

    性産業に肯定的、前向きな女性の発信を見ることもあるけど、わたしはやっぱり体や性を商品にするということを肯定できない。
    ただ、男女交際が唯一の娯楽でありステータスだったあの学生時代、幸か不幸かそういったスターテスを得ることなく孤独だったことを思い出す。
    もしあの時、ユリコのような美貌を持っていたら…和恵のように勘違いを重ねてたら…
    自分も同じ運命を辿ったかもしれない、と恐ろしい。
    出てくるのは極端な人物と環境ばかりだったけど、どこかリアルで、ゾクゾクと怖くなる小説だった。私を一人の人間として認めてくれる職場や夫に感謝したい気持ちになった。

  • 2019年2月10日に紹介されました!

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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