ヘル

著者 :
  • 文藝春秋
3.13
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本棚登録 : 115
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163223605

作品紹介・あらすじ

ある日突然、あなたは「ヘル」に迷い込む。ここでは、あなたを殺した奴が平然と暮らしてる。妻は不倫を続けてる。幼なじみはまだイジメを怨んでる。逃げても逃げても追っ手はやって来る-。「もうイヤだ」と思ったって無駄、「ヘル」から逃れるすべはない-七五調にのせていざなう恐怖と哄笑の筒井ワールド。

感想・レビュー・書評

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  • 筒井康隆デビューしたくて、装丁がイカしてるやつ購入。 時系列前後しまくり、夢(地獄)に時間の概念がないことを強く感じた。 57調がカッコ良すぎる。もし自分が曲作るんだったら絶対サンプリングしたいフレーズが多すぎる。

  • 人間の願望や欲望がそのまま現実になって時間を前後にしたり、時には生死飛び越えて物語が進んで行く、まさに筒井ワールド。バーチャルな世界とリアルな世界が入り乱れ、その先には…

  • 混沌としている
    それを楽しめるかどうか

  • 怖いの借りてきちゃったー。
    でも最後までリズムにのるように読んだ。

  • 期待はずれ。老境小説みたいで面白くはない。

  • 死んで、気づくとヘルにいる。そこは天国でも地獄でもない。欲望もなければ、時間もない。
    現実とヘルの間は夢で移動できるような、できないような。
    惚けてしまった人間はヘルには行けない。

    メタだとか、ヘルだとか、拷問だとか、初めから最後までよくわからなかった。”メタ”の意味を調べても理解できないし、そのわりに簡単に読めてしまうし、時間の感覚はなくなるし、ここはヘルなのかと思ってしまった。
    けれども、わたしは欲望まみれなのでまだまだ現世にいることがわかった。拷問はいやだ。

  • 生と死は境のないもので、夢を通じて行き来できるもの。
    死に方も、死とわかるものもあれば、もしかしたら死んだのかもしれないというもの、苦しくても死ねないものもあり、行けるようで行けず、遠いのかというと近いようであり…。
    誰にもわからない混沌とした世界。現世と浮世の描写が続く。
    後半「ボケる」がキーワードとして出てきて、この世界の謎を解く鍵になりそうだが、死者はこだわりのないのが特長で、謎を深くは追求しない。
    読み進めるに連れ、覚めない夢の繰り返しにとらわれ、だるい苦しさの中でもがくような混沌とした感じが濃くなり、この世と死後の境目はきっとこんなものなんだと思われてくる。
    物語の中の時間があっちこっちに飛ぶのも、5次元界を感じさせる。

    騙されたような、夢のような、でも納得させられてしまう内容。
    泡のような後味の作品。

  • うーん、内容があたふたしたまま終わった。オチとかってないのかな?推理小説ばかり読んでるから、オチを求めたくなってしまうのだけれど…。これが筒井さんワールドなんだろうか。

  • 久しぶりに筒井長編(中編?)

    普通の小説家と思って読み始めたら、
    だんだんメタな感じになってきて、ついていけるか心配になりましたが、
    メタかと思ったのは、ヘルがそういう世界だったからでした。

    ヘルは、死んだ人が行く世界。
    いわゆる地獄とも違う様子。
    ヘルは夢とつながっていて、時間の感覚がないので、
    時空を簡単に飛び越えて、同時に存在していたりします。
    小さかった子どものころと今が一緒に在る。
    そして、殺した人も殺された人も一緒に存在し、
    恨んだり恨まれたりも薄れているかのよう。

    もうすぐにでもヘルに行っていいと思います。

  • “ヘルとはつまり神や仏の不在のことだから信仰心のない日本人にとっては現世もここもたいして変わらない”が欲望や嫉妬など情念の消えた死後世界。相手を見ていると相手の死んだ理由などが分かってくる。そういう背景を絡めながら昔仲の良かった3人、一人はまだ生きている呆け老人、一人は若くして殺されたヤクザ、一人は幼いとき二人に跛にされた重役、の視点を中心に物語が続く。更に芸能界やらなんやら色々な欲望の蔓延る死ぬ前の世界と、ヘルに来た人たちの対比が面白い。死んだら欲望が消え恐怖も消える、とすると現世はひどいものだ(笑)

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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