- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163293707
作品紹介・あらすじ
出逢い、別れ、そして流れゆく、川の水の如き群像の心。僧侶にして芥川賞作家がおくる、鮮烈な「一期一会」の作品集。
感想・レビュー・書評
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四雁川の周辺で暮らす人々の物語。義州という僧が著者のイメージと重なる。
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言外の想いが読み始めには心地よかったのだけれど、少ししつこかったかなぁ。最後、疲れました。A デールのやさしさが好きです。
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道尾氏が「無人島に絶対にもって行きたくない本」と言ったのがこれ。人恋しくなる物語だからだそうです。
印象としては薄くて軽い羽衣のような感じ。格調高いというのではないなあ。でも下衆なところがまったくない。やはり美しいという言葉しかないかな。
巫女さんに憧れる小学生の話など、これほどべたべたしない精通を描いたものは初めて読みました。ああ、これなら学校でも紹介できそうです。
寝る前に読むといい夢が見られますよ。 -
川の流れのように、キラキラと眩しく、優しくするりと物語は進んでいきます。
人との出会いや関わり方の大切さに気付かせらました。
「布袋葵」がお気に入りです。 -
四雁川が舞台の物語が7つ収められている。
どの物語も「死」が身近にある。家族や身近な人の死や老いが静かに、時に急速に語り手達の世界を変えていく様が淡々と、それでいてひどく丁寧に描かれている。
どの物語からも不思議と穏やかな印象を受ける。
悲痛な境遇に置かれた人物もいるのに、その語りは私を傷つけなかった。
玄侑宗久さんの著作は『アブラクサスの祭』のイメージが強くて少し身構えながら読んだが、『四雁川流景』は想像していたよりずっと読みやすかった。 -
結納を翌日に控えた千鶴が
グループホームの夜勤を務める「Aデール」
父が死に50年以上使われた義足だけが
実家の床の間に置かれている「残り足」
高校で一つ上だった憧れの葉子から
40年ぶりに手紙が来る「布袋葵」
娘が事故で死んだのは直前の自分の電話のせいだと
自らを責め続ける妻と近所の店で飲む「地蔵小路」
風穴に出かけたまま戻らない予備校の友人を探すため
彼の本にメモされていた整体室を訪れる「塔」
五年生の浩太は祭りに向けて神社に通うのだが
巫女の常世さんが気にかかる「スクナヒコナ」
和尚になるため義州が転がり込んだ寺では
和尚さんと元やくざと噂される谷さんが葬儀を営む「中州」
写真:サカネユキ 装丁:関口聖司
玄侑さん初挑戦です。やはり死生観とか神仏に関わる短編集。
「Aデール」が一番面白く温かかった。
結納という言葉が認知症が進んだ老人たちを
昔の元気だったころへ引き戻してくれる。
次に印象に残ったのは「残り足」です。
亭主関白かに見えた自分の両親が、
実は母親が主導権を握っていたこともあったと
父の死後知ることになる。
死を扱うストーリーって感動ものに走る傾向にありますが、
玄侑さんが日常的に死を考えているからかそんなことはなく
いいことも悪いこともひっくるめて死に向き合っている印象です。 -
初玄侑さん。
四雁川の傍に暮らす人々のそれぞれのお話。
切なくも暖かいお話ばかりでした。
一番初めのグループホームのお話が一番好きでした。
人生って色々。
大変なこともいっぱいだけど
きっといいもの。 -
110120byBS 短編集 亡くした人々への慰め・平安
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短編7作品から構成されているが、いずれも「四雁川」という名の
川、近辺での出来事により構成されている。
ときおり、作者のきらりと光る描写の場面で立ち止まり
ながら読み進めた。どれも強烈に心にせまることはないが
胸の奥の郷愁を呼び覚ます物語である。作者が僧侶だけあって
各所に宗教家としての片鱗がにじみ出る作品だ。-
私も読み終えました。
しっとりと落ち着いた情景が感じられました。
自分では選べない作品と思いました。
私も読み終えました。
しっとりと落ち着いた情景が感じられました。
自分では選べない作品と思いました。
2010/11/16 -
芥川賞「中陰の花」を読みましたが、もう
1冊は読んでみたいと思っていました。
この作者に関しては納得しました。芥川賞「中陰の花」を読みましたが、もう
1冊は読んでみたいと思っていました。
この作者に関しては納得しました。2010/11/16
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あるウエブ友さんのブログから読むことになった本である。
芥川賞作家だが私はこの人の作品は初めてである。
四雁川の流れのように日々の営みも流れていく。
優しい筆致のなかに宗教の深みも感じさせてくれる。
読み終えて心地よい、これは私の作品を評価するときの
物さしであるが、どの作品も(短篇)心地よさが残った。-
どの短編も落ち着いていて、何ごとにも左右されないような安定感は、やはり、仏門に入られ僧侶の経験をつまれているからでしょうか..。読みおえて心...どの短編も落ち着いていて、何ごとにも左右されないような安定感は、やはり、仏門に入られ僧侶の経験をつまれているからでしょうか..。読みおえて心地良い〜ということが小説の基本のような気がいたします。2010/11/18
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読み始めてすぐに今回は介護かぁ・・・と残念に思った。前作の小説、解離性同一性障害が題材の『阿修羅』を読んで消化不良をおこしていたからまたかという想い。読み進めるうち軸が介護でないことが見えてくる。
古くから川のそばに人は住み着き、水と共に生きる。
四雁川が流れる盆地に龍ヶ淵公園・稲荷神社・権現橋・地蔵橋・地蔵小道と延命寺がある。木々が茂り、四季に咲く草花、川の中に生きるものとそれを狙う鳥の羽ばたき、水音が聞こえ風が匂う。そこにありきたりの生活があり、個人にとっては重大な事件や死も繰り返された自然の一部として土地にしみ込んだ長年の歴史にのみ込まれていく。
景色を同じくして7つの短編からなる本
私が一番好きなのは最後の「中洲」
延命寺に修行見習いとして来た義洲(ぎしゅう)25歳。葬儀のあるたび寺へ手伝いに来ている70過ぎの谷と出会う。谷の背中には龍の彫り物がある。葬儀が入ると義洲は、30半ばの陽子と一緒に住んでいる谷の自宅へ知らせに行く。その玄関先には水槽があり巨大な真鯉が泳いでいる。
4年が経ち、義洲が寺の副住職となった夏のある日、谷が亡くなる。延命寺で和尚夫婦、義洲、陽子とで谷の葬儀をする。
初秋、義洲が谷の自宅を訪ねるとそこに陽子は居ず、家財道具もなく水槽も綺麗に洗い片付けられていた。陽子は町を出た。帰り道、義洲は四雁川の中洲にある見慣れない大きな石を発見する。生前、亡くなったらあの川に骨を撒いてくれと言っていた谷の言葉を思い出し、あの石の下に谷の骨があると義洲は確信した。寺に帰り報告する。和尚さん、奥さん、義洲は、あの巨大な鯉を抱え川まで運んだ陽子に想いを馳せながら三人で一緒にお茶をすすった。
四雁川が実在するのか調べてみたが見つからない。それでも今も四雁川に真鯉と谷の背中の龍が泳いでいるのか、鯉が龍になる伝説を思い出しながら読み終えた。
玄侑宗久さんのお坊さんの出てくる小説が好きです。「中洲」はこの一編だけでも一冊の小説になる血がかよった作品だと思います。 -
「Aデール」 で、ホロッときました。玄侑さんの話は生活の中に死が自然に存在します。流れるような文体も読みやすく、好きな作家さんです。
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2010/08/20読了。
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出逢い、別れ、そして流れゆく、川の水の如き群像の心。僧侶にして芥川賞作家がおくる、鮮烈な「一期一会」の作品集。
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「Aデール」 「残り足」 「布袋葵」 「地蔵小路」 「塔」 「スクナヒコナ」 「中洲」
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四雁川の周りに暮らす人々を主人公にした短編集である。
四雁川で繋がっているというだけで、登場人物たちにはなんの関わりもないのだが、同じ川を身近に感じながら生きているという背景が、全体の雰囲気を作り上げているように思われる。それぞれの物語のなかで、人々は自分に与えられた人生を健気に生きている。取り立てて華々しい出来事や事件があるわけではないが、人々の暮らしぶりのひたむきさが胸に迫る一冊である。 -
道尾さんのツイートで紹介されて読みました。短編集でどの作品も心に染み入る内容でジーンときます。四雁川の描写もすてきです!