- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163646107
作品紹介・あらすじ
日本人を呪縛する「その場の空気」という怪物!「空気」とは何か?この超論理的存在の発生から支配にいたるメカニズムを根底から解明した「山本日本学」の決定版。
感想・レビュー・書評
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存在を知ったとき、そんな本があるんだ、と特に驚いた本。日本ならではの研究テーマなのかもしれないが、「その場の空気」は目に見えないながら重要な役割を担っており、それを解き明かそうとするのは大変面白い。
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日本人が事態を何に基づいて判断をしているか、を考える上で外すことの出来ない名著です。
但し説明に時事ネタを使っている所が分からなくなっているので(丸紅とか)そろそろ注釈が必要になっている。 -
●場や組織、社会を支配し、有無を言わさない影響力を持つ「空気」とは、一体全体何のかを研究した傑作。その着眼点と分析力、知見の深さに唸らざるを得ない。
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KYっていうけど、じゃあ「空気」って何?てのを突き詰めて考察した本。
日本人の心性として、感情の反応が一番正直、と認識する傾向があるらしい。で、自分の属するコミュニティの大勢が同じような感じ方してる、と思った時に「場の空気」が出来上がり、あとは相対的に考えることを放棄してしまいがち。
ある程度、皆で同じ方向向いてて大丈夫やった高度成長時代は良かったけど、何が正解か分からん成熟社会では、自分の考えを客観的に修正できず感情に左右される状態は致命的。と40年近く昔の著作やけど、今の日本を喝破した慧眼にはただただスゴい人がいたもんだ、と。
ちなみに、一神教の国では「空気」というものはあまりないそうです。唯一絶対なものは神だけで、あまねく全てのものは相対化される、てことでそらサンデル教授も大活躍するわな w -
私たちをときに支配する「空気」とは一体なんなのか。
どうして日本人はそうした空気を無自覚に醸成し、拘束されて行くのか。
実体のないものだからこそ、掴むのは難しい。
けれど、なにせ私たちの生活に根付いたものだから、読んでいて感覚的に分かってしまう部分が確かにある。
親切心に代表される、他者に対する「感情移入」の絶対化――そのことに気づかず、論理の前提として「臨在感的把握」を置いたまま議論を積み重ねることで醸成されていく空気。その恐ろしさを改めて考えさせられた。
だいぶ読むのに苦労したけど、読んで良かったと思う。 -
はじめて山本七平の著書を読む。とても社会洞察の鋭い感性に驚いた。また、中東文化に造詣が深い。物事を決めるのに、その場の「空気」に縛られることは、日本独特のものの考え方であり、多神教の文化にも通ずるものがあるようだ。「事実」よりも「実情」が優先される風土も「空気」に縛れている。内的言語、外的言語、そして中間言語なる表現が新鮮であった。「空気」に対抗する日本文化として、「水を差す」文化がかつてはあった。現在は、KYとして嫌われているが。。。同時に集録されている「あたりまえ」の研究も、日本の実情を鋭く風刺しており、著者の社会を見る目の鋭さに驚愕した。
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日本の社会の中に根付いている場の空気、その無形で形容しがたいものを臨在感的把握という言葉を用いて解明しようと試みた挑戦的な著作。
著作は、30年以上前のものであるが、内容は現在においても通用する、むしろ、停滞する社会の中で「空気」による支配は一層強まっているように感じます。
難解な文章で、理解できていない点も多いですが、とてもいい本だと思います。また時間をあけて読みたいです。