シモネッタの男と女

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163729008

感想・レビュー・書評

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  • 著者が出会った6人の人々のお話。
    イタリア人、イタリア人よりイタリア男子たる日本人、そして親友米原麻里氏。

    人生は若く輝いているときが永遠に続くわけではなく、老いていくし、健康も損なう。
    また、今の幸せも永遠ではないのだと感じさせられる、ひりひりする話ばかりです。
    今は良かったとしても、10年後20年後どうなるかわからない。
    けどだからこそ、今生きている時間は将来振り返ったとき、その日に繋がる過去であることを自覚しなければいけないなと思いました。

    読み取るものの多い本です。
    そして最終章の追悼記は涙なくしては読めません。
    私が読んだ中で、こんなにも喪失感、無念が溢れ出す文章はないかもしれないと思うほど、
    米原さんを亡くした悲しみが伝わってきます。

    田丸さんの本を読むと、人生は出会うの人の数だけ深く、色鮮やかになるんだと感じます。

    http://www.horizon-t.net/?p=1616

  • イタリア人が面白いのか田丸さんの文章が面白いのか。
    いや、どっちもですね。
    こんな人もいるのか、こんな人生もあるのか。

    最後まで飽きずに楽しく読めました。

  • 2022年あたまにはまった田丸公美子の著書3冊目。

    前回までの2冊と違い、下ネタ具合も薄まっていてくすりと笑えるというより、人間の栄枯盛衰が描かれていて、最後はちょっぴり哀しさただよう短編エッセイが6話おさめられている。

    中でも日本人ミラネーゼのアキヒロと、親友の米原万里の話が印象に残る。(同じ日本人でこんなにあっぱれな人がいるのが嬉しい)

    まだまだ彼女の本を読みたいし、読破したら親友の米原さんの本を読まなくっちゃ!

  • 2013年刊行。伊語通訳・エッセイストの著者の、個人的知己たるイタリア人列伝。真似などできるはずもないし、したくない気もするが、イタリア人の異性に対する情熱には目を見張らされる。その結果か、老境に到り、辛い現実(私から見ると)に直面することもある。この起伏の激しさが良くも悪くもイタリア人としての個性を際立たせるのだろうか。なお、米原万理氏と著者の人生での邂逅(「はかなき露の字に代えて」)は涙なくして読めない。

  • イタリア語の翻訳家なのかイタリア男性の話がおもしろかった。

  • エッセイ?
    フィクションとノンフィクションの狭間。

  •  最後の章(米原さんとのこと)が 格別によかった。

  • イタリア語通訳者の筆者がイタリアで日本で、著者が出会った忘れえぬ男女―“シモネッタ”がとらえた人間劇場のユーモア&ペーソス!をつづったエッセイです。しかし圧巻は盟友・米原万里を追悼するくだりでした。

    シモネッタこと田丸公美子女史のエッセイです。ここに描かれているものは彼女がイタリアで知り合った男女のことで、女同士の友情あり、2人のイタリア女性を手玉にとって「ウタマロ」の名を冠した日本人男性のお話や、エステサロンの女王といわれたある女性の恋をはじめとする6編のエッセイが収録されております。

    その中でも圧巻だったのは癌で他界した盟友の故米原万里にささげたエッセイで、僕は佐藤優→米原万里→田丸公美子の順番で著作を読み進めてきていますので、なんとも感慨深いものを感じました。出会いから交友、通訳から作家へと緩やかにステージを変えた盟友の見つめるまなざしが暖かくこういう人と後何人出会えるか?ということを考えさせられました。

    僕の考えるハイライトはやはり、米原万里さんが闘病をする箇所で、あらゆる治療法を試し、万策尽きて抗癌剤治療を施すという決断を筆者に言う場面にはページをめくる手が鈍りました。これは、佐藤優さんの本に詳しいのですが、自らの運命を覚悟した彼女が病床に佐藤優氏を呼んで、
    「仏教が無心論者であるということを納得の行く形で説明してくれ」
    というお願いをしていたお話はこうしてみると、最後まで彼女は自分を貫いて逝ったのだなぁと感じました。

    少し、説明を加えると、彼女が彼女も両親ともども無神論者で、葬式は無宗教で済ませたのですが、彼女が気に入るような無宗教の霊園が見つからず、自宅近くの真言宗の墓に決め、両親とともにお墓に入るには真言宗にのっとって葬儀を行わねばならず、それが自分の信念と矛盾していないか、という確認をしていた、という箇所に改めて彼女の精神力の強さに衝撃を受けました。

    この本で筆者は自分が下ネタを飛ばしていたのはひとえに米原万里の笑うところを見たかったからだ。という箇所があり、まだまだ彼女の「シモネッタ」振りが見たい反面、大事な人が旅立ってしまうということは残されたものに大きな喪失感を抱かせるのだということを改めて思い知ったしだいでございました。

  • イタリアの酸いも甘いも人生の酸いも甘いも噛み分けた人でなくては書けない描けない本。

    ワクワクする内容では無かったが、他の本より心に染みた。

    米原万里は名前と仕事しか知らなかったが、これから色々読んでみようと思った。

  • 友達にもらった本。

    イタリア語通訳者の彼女の本は初めてなんだけれど、
    最近イタリア語会話のテレビを観ているのでそういうのも
    楽しい。そして、内容自体、面白かった。
    米原さんへの追悼文がまたなんとも。。

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著者プロフィール

(たまる・くみこ)
広島県出身。東京外国語大学イタリア語学科卒業。イタリア語同時通訳の第一人者であり、エッセイスト。大学在学中から来日イタリア人のガイドを始めた。著書に『パーネ・アモーレ―イタリア語通訳奮闘記』『シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ 』『シモネッタの本能三昧イタリア紀行』『 シモネッタのドラゴン姥桜』『シモネッタの男と女』イタリア語通訳狂想曲 シモネッタのアマルコルド』などがある。軽妙で味わい深いエッセイのファンは多い。

「2014年 『シモネッタのどこまでいっても男と女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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