実りの庭

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163736006

作品紹介・あらすじ

歳をかさねることで実る果実あり、味わうべき人生がある。親を看取り、家族がそれぞれ自立していく季節を迎えたとき、痛みと喜びを抱きつつ生きるには-『実りを待つ季節』から10年、光野桃の最新エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • ファッションジャーナリストでもある著者のエッセイ。
    家族のこと、海外生活のこと、介護の果てに見送った母親のこと、遺品整理のこと、巣立った娘のこと…など、50代のリアルと、少しの過去回想。

    私ももう少し歳を重ねてからまたこの本を読めば、今よりももっと深く感じ入ることが出来るだろう、と思った。
    ただいろいろと迷う世代ではあるから(結婚や出産はするのか?とか、この先仕事はどうするのか?とか)自分より少し上の世代の人生を垣間見ることで、自分と照らし合わせて多少想像することは出来る。
    今のままの状態でいっても必ず直面する問題、親の介護や自分の更年期なんかは、年々迫ってくるんだなぁということをにわかに感じたり。

    失敗とか、後悔とか、振り返ってみて初めて省みることが出来る様々な過去を、その時は間違っていないと思っていたことも含めて、正直に綴っている辺りは好感が持てた。
    自分だってそうだ、と思うことも沢山。
    失敗ほどその時は認めたくないし、言い訳もしたくなる。でも振り返った時、当時のずるさも一緒に正直に反省出来るようでありたい、と思う。

    素敵っぽく見えるおしゃれな人の生活。にも(もちろんそうじゃない人にも)、当然のことながら現実的な問題が山のようにある。
    それらをひとつひとつ乗り越えた先に何らかの実りがある。
    そう信じて生きていくことは、今のうちからでも出来る、と思った。

  • 40代で記された「実りを待つ季節」の続編という「実りの庭」。
    50代を迎えた光野さんの心の揺れと変わらない自分自身との葛藤が
    だんだんとひとつのところに落ち着いてくる感じがぐっと心に迫りました。
    夫や娘との関係、仕事との距離のとり方、
    そして母親の介護と最後を看取るところなど
    本当に私自身はもちろん、40代からの女性なら誰しもが、確実にやって来る近い未来の自分と重ねてしまうことだろうと思います。
    そんな、変化していく家族の形を受け入れ、浄化していくかのような気持ちの持ち方をこの一冊が提示してくれたような。
    やがて自分にも少しずつしのび寄ってくる老い・・
    それを上手に受け容れ、自分の体の声を聴きながら、穏やかに歳を重ねていくことができたら。
    そのとき、私の庭にはどんな果実や花が実っているだろう。(Y)

  • ただ前を向きたいと もがいてきた人生から
    更年期という時期を迎えて
    今までとは、明らかに違う流れになる。
    介護だったり、自分の体力の衰えだったり…。

    ちょうどジャストな私。
    今、この本に出会えたことが
    とても不思議。
    読めてよかった。

    もう、大きな夢を見ることは出来ないし
    見るつもりもないけれど
    命のゆたかさを新たに知る
    その始まりが今なのだ
    と教えてくれた本だった。


    なんだか、真面目なレビューで照れるな(〃▽〃)

  • 蔵書あり
    傍から見たら恵まれた人生に思えるけど、本人にしたら波乱万丈の人生なんでしょうね。
    書きにくいこと、実家のお母さんとの関係も赤裸々に書かれてる。融通きかせられない、著者に親近感持ちました。

  • 自分の母親とほぼ同じ年齢の著者のエッセイ的小説

    子どもは独立し、親を看取り、
    これからは自分のための第2の人生を送る

    そんな新しいライフステージの入り口で
    ここまでの人生や、これからの自分について
    ふと考え直してみると、なんだか感傷的な気持ちになってしまう・・・

    母親も同じようなこと考えたりするのかな

    タイトルは人生を式に例えると、
    実りを迎えた秋という意味らしい

    後は冬だけと考えることもあるかもしれないけど、
    歳はとりたくないねって言うけれど、
    それでも秋は四季の中で一番いい季節だと思う

  • 光野さんのエッセイは昔から大好きで、よく読んでいたのですが、ここのところ離れてしまってました。若い頃に読んだ、光野さんの若いころのエッセイはあこがれの対象で、どこか遠くの世界の話だったけれど、このエッセイは娘さんとの関係性や母親との関係性、女友達との関係・・・とても身近・・・というか、ああ、自分と似てるとシミジミしてしまいました。

  • なーんにも知らずに借りてきたらエッセイだった……とても読みやすいエッセイではあったけれど今の私が求めていたものではなかった。2013/427

  • 母の介護、家族との思い出、自分の鬱、更年期。

    経済力が違うので真似できないことは多々あるけれど、これから来る日々にどう向き合っていくか考えさせられました。
    特に後半が好きでした。
    「ピンクのストーリー」は自分の服や持ち物に思い当たる部分があるのです。実は着たいのかな、ピンク。

  • 雑誌ヴァンサンカンの創刊にかかわり、結婚退職後は夫の任地の外国で暮らし、ファッションエッセイストとして活躍。女の子の憧れを一身に集めたような暮らし。
    50代半ばには介護と親の亡き後家を片付けるという大仕事が。

    私にとっては素敵だなっていう暮らしと、私にもあるあるという経験の混ざった不思議なエッセイでした。

    親の家といっても東京の自由が丘という比べることもできないようなファッショナブルな場所だし、経済基盤も違うのだけれど、老いていく親をみとる一人娘の葛藤、思春期の子との気持ちの擦れ違いや子離れなどに共感する場面も多々ありました。

    最も、一つのステップが終わった後はまた全然違って別の世界の人になってしまうのですがそれはそういうもので、人の縁とは不思議なものです。

    読んでよかったと思いました。

  • 光野さんのエッセイ。はじめの印象はかっちり、しっかりした印象の女性なのかと思っていたが、読み進めていくうちに、母の影響を強く受けてもがく女性.女性も女性から産まれて、生き方にも多くの影響を知らず知らずに受ける。子供は選ぶ権利もなく母親に型をはめられてしまう。一生の間、それが大きく自分とは?本当に望んだ生き方なのか?と、問い続ける人も居たり、母親を100%受け入れる生き方の人も居たり。続編らしいので本編を読んでみたい。

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著者プロフィール

作家・エッセイスト。東京生まれ。小池一子氏に師事した後、女性誌編集者を経て、イタリア・ミラノに在住。帰国後、執筆活動を始める。1994年のデビュー作『おしゃれの視線』(婦人画報社)がベストセラーに。主な著書に『おしゃれのベーシック』(文春文庫)、『実りの庭』(文藝春秋)、『感じるからだ』(だいわ文庫)、『おしゃれの幸福論』(KADOKAWA)などがある。2008年より五感をひらく時空間をテーマにしたイベント『桃の庭』を主宰。

「2018年 『これからの私をつくる 29の美しいこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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