その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ

著者 :
  • 文藝春秋
3.12
  • (4)
  • (32)
  • (76)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 294
感想 : 54
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163805603

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 風呂敷畳みきってない。尺間違えた?
    とても穏やかでほんのりした雰囲気、のわりに底辺で進行しているのはどろどろとして欝な流れ。
    で、とてもよかったのにやっぱりオチが……
    残念。

  • ソフトカバーなのに書き下ろしだから高くなったの? 表紙には草と久実,後ろに描かれているのは由紀乃~草は日課の散歩で三頭身の裸の人形を拾いマフラーを巻いて置いてきたが,翌朝見ると小汚い就学前の子どもが手にぶら下げていた。話し掛けると放り出してアパートの一室に逃げ込んで,後日,毛糸をほどいて編んだ小さな洋服をアパートのノブに掛けようとした時に中から声が掛かり,姉の子を預かって手を焼いている田沼の話を聞くと,自分は建築デザイナーだったが,故郷に戻って何でも屋をしており,長野で蕎麦屋を経営している姉夫婦は双方に連れ子がいる再婚同士であるが,義理の姉を慕っているのに,タケルに蕎麦アレルギーが出てしまい,離婚騒動にまで発展しているらしい。住まいが別に見つかった姉夫婦にタケルは引き取られていき,和風雑貨の店「つづら」が近くに出来ると聞き,自分が断った福祉作業所の蝋燭をつづらが引き受けたのが気になる。勝手に送りつけてきた陶器に蝋を流し込んだら4200円で売れると踏んだ。つづらでは持て余した挙げ句におまけで客に与えているらしい。乃木坂で展覧会を見た帰りに,20年会わなかった地元出身の彫刻家に出会い,高校時代に父を捜してNYへ渡る自分の前で絵の道具を焼いた女子高生を捜してほしいと依頼された。妹の情報から同級生を訪ねてみても,閉店直前の鮨屋の女将に収まっている無気力なノリコは怠そうに自分たちではないと答える。姉ナオミに嫉妬した妹の仕業と分かった時にナオミには死の影が忍び寄っていたが,駅前とNYにはナオミの「揺れる緑の旗」の光る彫刻が建った。息子の命日の6日に骨の入っていない杉浦家の墓を訪ねた帰りに声を掛けてきた男性は6日が後輩の命日で,その奥さんが切り盛りしているカレー屋に草を連れて行くが,女主人は元の持ち主に強請られている。売値を値切って手付けを打ち,高値で買い取ると云ってきた第二の客に売り主の心が揺らぎ,手付けの倍返しをしても多くの金が手に入ると踏んだ売り主は,口約束に脅された挙げ句に,損をする形で第一の客に売らざるを得なくなったのだ。悔やむカレー屋に近所で優しく寄りそう男は染め師だったが,詐欺には40代に無理矢理見合いさせられた元呉服屋の藤原・今の金貸しのマルフジと不動産二軒が絡み,つづらも関係者だと分かってくる。つづらの元の持ち主の和菓子屋も鮨屋のノリコも同じ手口で財産を安く買い叩かれたらしい。どの物件にも係わっている田沼に事情を聞くと,草の店に嫌がらせとしてダンプが土を置いていく。これは藤原に直接談判しなくてはならないと決意するが,藤原は死の床に就いているのに,自分は死ねないと他人として死ぬ決意をしている。考え直させようという試みは失敗したかに見えたが,東京の建築事務所で働いていた田沼は藤原の次男で,産業廃棄物不法投棄をしている業者を似せ電話で藤原の土地に捨てさせて藤原の奸計の一部を切り崩そうとした田村は死地に踏み込んでいた~やはり相性が悪いみたいで「あれ,どうしてこうなるの」と戸惑う。表紙を飾る絵でイメージは固まったが,髪の団子は盆の窪あたりにあるんじゃなかったっけ。挿画の杉田さんは盆の窪の位置を知らないのだろうか? いやいや,髪を団子にするとなると,この部分しかないが,後頭部というか・うしろ頭と云うしかないので,ちょっと外れていても,作家は盆の窪と書いたのだろう。読み手をバカにしているように感じるのだが,考え過ぎ? 自分の事を「お草さん」と呼んでくださいとは,70歳を過ぎた女性は云わないだろう。商才があっても,パソコンを使いこなしても,あちこち遠出をしても良いけど,慎みのない対応は好かない・・・だから不自然でダメ。由紀乃が未だ前橋にいる前提で書かれていると云うことで,コレは10年前のお話よ・と云っているのも嫌。否,2006年頃の話ですか,どちらでもいいや

  • 紅雲町ものがたり、面白かったので続きを読んだ。

    前作は時期も様々な1話完結の短編集だったが今回は連作短編集といった趣き。

    一話ごとにちょっとした「日常の謎」が起こり納まりがつくのだが、その背後に引っ掛かりを感じる作りになっている。

    主人公・草(そう)さんの息子への思い、もうひとつの親子のすれ違う思い・・・単純に「泣ける」とかハッピーエンドではないが、しみじみと人の生について考えさせられる。

    ところで、同じ主人公のシリーズもの?なのに、装丁のイメージが全然違うのは良くないな・・文庫化された第一作はこっちの装丁に合わせてあるようだが。

  • 表紙と珈琲屋のおばあさんが主人公という設定だけで判断するとほのぼのを想像しがちだけど、実は何やら物悲しい。
    それというのも、お草さんがいわゆる「おばあさん」ではなくてまだまだ現役の「オンナ」だからである。
    年経たことを憂う場面が随所に出て来るわけで…明日は我が身。

  • 全編書き下ろしの「紅雲町のお草さん」シリーズ最新作。副題に「紅雲町珈琲屋こよみ」とあるように、如月から師走までのほぼ一年間、お草さんを取り巻く日常的な事件がミステリともいえぬタッチで描かれてゆく。元々、コージー・ミステリーという狙いで書かれ始めたシリーズだけれど、お草さんが年老いてくるにつれ、次第に重い話になってきたようだ。おまけにこの表紙。このカバー・デザインはいただけない。なんだかイメージが崩れてしまうので、このイラストはやめた方が良い。内容とのかい離がはなはだしくて、どうしてもなじめない。

  • ほのぼのでは決してないところがいいね。

  • 前作より面白かった。

全54件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉永南央の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×