新月譚

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
  • (67)
  • (168)
  • (172)
  • (22)
  • (8)
本棚登録 : 904
感想 : 211
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163812908

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いっや〜〜〜驚いた‼︎ 凄い凄い‼︎
    読んでる途中で、背表紙を確かめ、
    「これって本当に貫井さんの作品?」って思ったほど、今まで読んだ、ぬっくんの作風とは違いました。分厚い単行本560ページ。夢中で読み切りました。

    ミステリーとか推理小説ではありません。言うなれば、究極の恋愛小説。好きでない方もいるかもしれないけど、私は心を掴まれました!と同時に、ぬっくん、女性の目線での描き方も素晴らしい!どちらかといえば、硬質な男性的な作家さんだと思ってましたが、いやいや…凄まじい恋愛小説でした。

    ネタバレしたくはないけど、若干ストーリーに触れてしまうので、近々に読む方はご注意を。

    勤めた会社の社長である、木之内との恋愛で、苦しみながらも離れられない和子。潔癖な方から見れば、なんであんな男に?ってなるんだろうけど、恋愛ってそういうものですよね。自分の容姿に自信がない和子が整形手術を受けるあたりの、両親の…特に父親の言葉も非常に印象に残る。そして、誰もが羨むほど美しくなっても、それゆえに妬みや嫉みを買う。結局本人の心の持ちよう、人との付き合い方に尽きるのだと強く思わされる部分でもある。

    美しくなるのも、作家・咲良怜花となるのも、そこで向上したり変化していくのも、全て全て、木之内のため。もう、そのあたりは、胃のあたりをきゅう〜〜と捕まれた感じでキリキリと痛みも伴いながら読んだけれど、私個人としては「気持ち分かる…」となってしまい、結局、究極、人は1番好きな人に1番と認められることが幸せなんだということ、それを深く感じました。

    作家の産みの苦しみや、親との関係や、学生時代の女友達とのこと、第二の人生…となっても、だから全てが上手くいくわけではない。いろいろなテーマがあるけど、やっぱりこれは『愛情』の物語なんだよなあ〜と思ったのでした。切なく苦しかったけど…。
    ぬっくん、凄いな・・・‼︎

    印象に残ったところを少し。
    ーーーーー
    満足なんてできなかったわよ。だって、言葉で語れることは限界があるんだもの。

    かつてわたしは、恋愛の苦しみなど贅沢な悩みだと思っていた。苦しみを味わえるだけ、幸せではないかと冷ややかに考えていた。だが実際には、苦しみを甘美だと感じる余裕はない。苦しみは苦しみでしかない。

    もう一度産み直せと、お前は言ったな。そうしてやる。だから、顔だけでなく心も綺麗になって戻ってこい。

    正直に答える気にはなれなかった。(中略)ただ滑稽なだけだ。しかも至極ありふれていて凡庸な響きすらある。わたしにとっては天地を揺るがす大事件でも、言葉にしてしまえば小さくなる。

    言葉に囚われ、そして木之内に囚われている私。そのふたつ以外に、わたしを構成するものはないのだった。

    「わたしはいいんです。小説家だから」
    ーーーーー
    10年くらい前の作品なんですね。改めて、ぬっくんの別の面を見れたようで嬉しいです。

  • なんとまあモテない女のメンタルをえぐってくる、ジクジクした文章だこと。貫井さんには以前から女性的な感性を感じていたが、本作ではその面がスパークしている。49歳で断筆してしまった超美貌のベストセラー作家、咲良伶花。彼女はなぜ筆を折ってしまったのか。咲良という小説家が生まれて消えた物語。相反するようだけどネガティブなサクセスストーリーといった感じ。そして脇役陣が魅力的。木之内なんか嫌いなタイプのはずなのに憎み切れない。編集者の高井さんも素敵。読み終わってみるとありがちな話でそこは残念だったが、読み応えは十分。

  • 長い間一人の男性を愛し続けられますか?
    その男が不誠実だとしても...。

    この作家さんの本は初めて読みましたが、昔ながらの書き方と言うか、私の年代に合っているというか、読みやすく主人公の心情もシンクロしやすかったです。
    他の作品全て読みたいと思いました。

  • 途中までは一人の女流作家が、顔のコンプレックスを克復し作家として成功するサクセスストリーと思いきや実は外見を変えても心は満たされない辛さが長々と書かれている小説。主人公の心の闇がメインだけど、主人公と木ノ内との関係が気になって長編だけど暗くならず、読み進めてしまった。著者は男性だけどイヤな女を書くのが上手。

  • 縺イ縺輔@縺カ繧翫↓豼?字縺ェ蟆剰ェャ繧定ェュ繧薙□縺ィ縺?≧縺ョ縺梧ュ」逶エ縺ェ隱ュ蠕梧─縲ゅ≠繧峨☆縺倥r霑ー縺ケ繧後?譏シ繝峨Λ縺ォ縺ェ縺」縺ヲ縺励∪縺?s縺?縺代←縲∫峩謗・逧?↑豼。繧悟?エ縺ェ縺ゥ縺後↑縺??縺ァ縺昴l縺サ縺ゥ繝峨Ο繝峨Ο縺励◆諢溘§縺ッ蜿励¢縺ェ縺九▲縺溘?る?縺?─諠?r邯コ鮗励↓謠上¢縺ヲ縺?k縺ィ諤昴≧縲
    譛?蠕後?譛?蠕後?豼?ッ?↑謠丞?縺ォ縺励◆繧峨←縺?↑縺」縺ヲ縺?◆縺ョ縺?繧阪≧縺九?ゅ◎繧薙↑鬚ィ縺ォ縺ゅl繧?%繧後d閠?∴繧九⊇縺ゥ蠢?↓髻ソ縺?◆菴懷刀縺?縺」縺溘?

  • 断筆した女性作家の自伝的物語。独白的に半生を描く。長いけど飽きずに読めた。ただ深みや共感度はもう一つ。

  • 2018/2/18

  • 2017.11 小説だから求めていけないけれど、いきなり天才小説家になって、それが男に対する執着心というのはうまく入り込めなかったなぁ。

  • 厚い割りにすぐ読めた。和子の人生に共感は出来なかったけど、引き込まれた。

  • 面白かった。文章に引きずり込まれ、一気に読み終えてしまった。
    一皮剥けた時の鬼気迫る文章が素晴らしい。
    キャラクターごとのボキャブラリーがきちんと定まっているのがすごいと思う。

全211件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貫井徳郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×