新月譚

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163812908

感想・レビュー・書評

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  • ベストセラー作家、咲良怜花が47才で絶筆した。その真相は?

  • 美貌の小説家、咲良怜花。数々の文学賞を受賞し10年前の47歳で絶筆した咲良に、小説執筆を依頼した編集者渡部敏明が聞いた咲良の人生とは。
    読んでいる最中は、グイグイ引きつけられて面白かったが、読み終わってみると、残るものがあまりない感じ。

    小説中に新月についての記載があり、「新月はそこにあるけれど見えない」とあったが、誤り。昼間、太陽と一緒に動いているのでのが新月なので、昼間見えないという表現であれば、正しい。夜は、そこに無いから見えないのが新月だ。題名にも使っているキーワードであるなら、正確な理解が必要ではないかと感じた。やや白けました。

  • どういうストーリーなのか知らずに読んだが、女性小説家の一生の話だった。
    整形をしても、お面を誉められてるだけで劣等感は変わらない、むしろちやほやする薄っぺらさにあきれるような主人公。
    そういうところ、和子は純粋なのだと思う。
    他の作品も読んでみたい。

  • 結構分厚い本です。
    そこにびっしりと丁寧に書かれているのは一人の女性の半生。
    40代にして筆を折った咲良怜花という女流作家。
    ベストセラー作家であり有名な賞も取っている、さらにびっくりするような美貌の持ち主の怜花。
    現在57歳になっている怜花にもう一度筆を取らせたいと彼女の元を訪れた編集者の男性は思わず彼女の口からその半生を聞く事となる。
    そして始まった長い長い告白がこの小説の内容となっています。

    これは読んでいて小説というもの、小説家という職業について考えさせられる話でした。
    さらに、人の縁というものについてもしみじみと考えさせられました。

    ここには小説を作る作業、作家の心の流れみたいなのが丁寧に書かれていて、物を創りだす苦悩や喜びといったものを身近に感じる事ができました。

    さらに、告白をした女性の作家になった理由や経緯が本当に詳しく書かれていて、彼女の心情に共感できました。
    たった一人の男性との出会いが彼女の人生や運命を変えた。
    その男性というのが、
    不誠実だが優しい。
    そして、何度も彼女を裏切るが、支えてもくれる存在。
    彼女は何度も彼と別れつつどうしても離れることができない。
    何故?こんな男と・・・。
    そんな思いは湧きませんでした。
    彼女の気持ちが理解できた。
    そして、ただ一人の男性との馴れ初めやつき合いを長々と書いている、言ってみればそれだけの内容なのにキチンと読ませてしまう作者の力量にいつもながら感心しました。
    読んでいる時、私はこの告白をしている女性の目線で物語に入っていたと思います。
    ただ、後半にいく毎に話が冗長気味になったのが残念でした。

  • 一夜で読んだ。終わるまで離さないよって心を掴まれた気がした。

  • 貫井徳郎のあらたなる傑作誕生!
    絶筆した美人作家が隠し通した半生とは?
    八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。
    そこで明かされたのは、ある男性との壮絶な恋愛の顛末だった――。

    読ませる作品だったとは思うし、これまでの貫井作品と一線を画しているのははっきりとわかる。
    若い女性を主人公に、一人称で書くことにも成功しているのだとは思うのだけれど、
    直木賞の選評で、
    「女性作家が果たして、情念だけで小説を書いて成功するのかどうか。」
    「客観性なくして作家にはなり得ないはずなのだが、自己承認欲求が強いだけの女性にそれがあるのか。木之内との恋愛にエロスが描かれていないために、「情念」という語が上滑りして深みに至らない。」
    という点に激しく同意してしまった。
    この作品においては官能的な面があっておかしくなかったかと……。
    あとは、怜花の書く短編を作中作として挿入するなどすればよかったんじゃないかなあ……。

    ミステリ :☆☆
    ストーリー :☆☆☆
    人物 :☆☆☆
    読みやすさ:☆☆☆☆☆

  • 貫井徳郎はいろんな顔の作品が書ける!
    桐野夏生よりライト、乃南アサ寄りな作風、、男の人が書いたと思えない作品!
    こんな作品もあるのか、、、矜恃をプライドの同義語で使っているので、貫井徳郎の作品だと思い出させてくれたが、何回か表紙の作者名を確かめた。
    小説家はこんなにも精神的に大変なのか。
    同じように主人公と一緒に苦しまなければ、作品はできないだろう。かなりの精神力がいるんだな。暗い気持ちでないと、書けないというのは、わかる気がするを

  • これも恋愛小説なんだよね。

    木ノ内に執着する和子の気持ちは、なんだかまだ想像して手が届くところにある気がするけど、木ノ内は分からない。
    目の前にいる時だけの誠実って何。

    敦子さんは、とても賢くて、できる女性だったんだって事が、ラスト近くでわかっちゃった。
    木ノ内さん、それわかってなかったのか、都合よく目の前だけの誠実で、その時その時を見ないふりで過ごしてきたのか。

    新月って見えないけど、見えないから無いわけじゃないのよね。
    光の当たる仮面の裏側、新月のような和子さん。
    それをただ一人、見つめてくれていた人だったはずなのに。

  • 読み始めたときは
    また女性の美醜に関するテーマか、
    貫井徳郎が書くテーマでもないだろうに。。。と
    思いながら読んだが
    途中からテーマがそれだけではないことに気付いた。

    美醜の問題もそうだけど
    この作品は作家とは何か、
    なぜ作家は作品を書くのか、
    そして私が1番知りたかった
    なぜ人の闇の部分を書き続ける作家がいるのかと
    いうことに言及していて
    読んでてなるほどね~と納得できる作品だった。

    色々なテーマを持った作品だったけど
    とてもよかった。
    主人公の気持ちが分かるのが怖い。。。

  • わくわく。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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