- Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163825007
感想・レビュー・書評
-
万城目さんの好きそうなモチーフ全部乗せな作品。
まだ物語の余韻から抜け出せない。
いろんな想いがどっと流れ込んでくるラストシーンに飲み込まれてしまった。
思えば「約束」について、万城目さんは繰り返し繰り返し書いて来たのではなかっただろうか。
それがこの物語を読見終わって真っ先に思ったこと。
風太郎が交わす約束の重さをどうしたって感じずにはいられなかった。
正しいとか、間違っているとか、いいとか、悪いとかじゃない。
ただただ約束を果たそうとする姿に我が身を振り返る。
風太郎だけじゃない。
皆がいろんな約束によって立たされてるようにも思える。
もう嫌だ、駄目だ、と思った時に私を動かすのはいったい何か。
それが「約束」なのではないか。
まだ今はここまで。
でも万城目さんの書く物語がまた次の場所に連れて行ってくれる。
そんな気がするから今は日々の想いを掬いながら待ちたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装画が中川学さん…ということに惹かれて、久しぶりに万城目作品を読みました。
伊賀の落ちこぼれ忍者の風太郎と、その忍び仲間たちの活躍を描いた作品です。
最初のうちは伊賀を追い出された風太郎が、ヘンテコなひょうたんを手に入れたことから、なぜかひょうたんの栽培を始めることになり…と、展開が全く予想できませんでした。
でもきっとコメディタッチで進むのだろうなぁ…とぼんやりしているうちに、物語はどんどん不穏な空気が満ちてきて、最後のページは半ば呆然としながら読み終えたのでした。
大坂夏の陣で燃え盛る天守閣の周りで起こったドラマに胸が熱くなりつつも、同時に悔しさも残る読後でした。
けれど、この物語の何百年か先に『プリンセス・トヨトミ』があるのだと気付いたとき、すうっと救いの風が吹いてきたような明るい気持ちになれたのでした。
余談ですが、最後まで風太郎を「ぷうたろう」と読むことに馴染めなかったのは私だけでしょうか… -
ひょんなことから、伊賀を追われた忍・風太郎が大阪で活躍する時代小説。
登場人物は、誰しもがこんなはずじゃなかったという思いを抱え、色々なものに縛られている。自由に生きることは、平和な時代にのみ許された身に余る幸福なのだろうかと感じさせる。忍として与えられた任務を全うするため、友との約束を果たすため、友を生かすために、自分の命を捨て投げ出す。コミカルな作品が多い万城目さん作品の中で、突拍子もない設定はとても少ない。そこにいわゆる“万城目作品”を期待した読者で、残念に思った人もいるのでは。
文藝春秋12月号内のエッセイで、万城目さんは早乙女貢さんの「歴史小説を書くとき、資料は捨てるべき」という言葉を引用して時代小説に対する考えを語っている。
資料を調べなければ小説は書けない。資料を調べるには手間がかかる。人間、手間をかけて知った内容を、どうしても作品の中に取り入れたくなる。俺はこれだけ知っているのだと誇示したくなる。でも、それは小説のためにならない。
この言葉の通り、本作ではまどろっこしい時代背景の説明等をほとんど省いているように感じた。登場人物についての描写が多く、とてもキャラクターが立っている。時代小説であっても、読みやすく誰にでも読みほぐすことが可能なエンターテインメント作品であった。(それにしても前半部が長すぎですが…) -
日本が統治され戦国の世が収まりつつある時代に、食い扶持のかかる忍者は道具のように扱われ、そでも必死に、時に使命と感情の間で揺れながら任務を遂行する姿に泣けます。『プリンセス・トヨトミ』でも描かれていましたが、大阪の人って太閤さんに親しみがあるんじゃないのでしょうか。昔、大阪につとめてたときにランチで出前を取っていたお店が、その名も『太閤はん』でした。読んだ後は、ちょっと豊臣家贔屓になります。ただ、ちょっと話しが長かったな~。
-
2013.10.9am5:45読了。一気に読んだ。徹夜。授業ヤバし。
万城目学の最新作ということで手に取った。長い。746ページもある。ハリポタ並み。ちょっと物足りなかった。プリンセス・トヨトミに繋がる物語。先に現在を描き、後にその現在につながる過去を描く、という手法を使う物語が最近多い。漫画もシリーズの長編も。この方法は確かに面白いんだけど、そろそろ飽きてきた。
以下、感想。
結局一気読み。時代小説。キーは忍者とひょうたん。が思うに『しゅららぼん〜』『ホルモー〜』の方が面白い。展開がゆるやか。がっついて先へ先へと読み進める感じではなかった。長い割には…という感が拭えない。もののけの類が絡むが、同著者の他作品を読んでそのような展開に慣れているので、あまり驚かなかった。インパクトに欠ける。想像をふくらませつつ読んだら楽しいかも。最後に因心居士がひょうたん屋に願掛けをしたことで店が繁盛し、プリンセス・トヨトミでは大量のひょうたんを合図に用いたのか、とか。『プリンセス・トヨトミ』も合わせて読むことをおすすめします。あと本編とは関係ないが、各章ごとの扉絵のデザインが好き。 -
最初は本の分厚さに圧倒されたが、意外とすいすい読み進み、読み終えた。時代劇仕立てだが、登場する人物は現代的な万城目ワールド。
-
後半は良いが、それまで辛い。